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5匹目

ここから1話。

いよいよ異世界転生だな!?


 ……

 …………

 ………………。


 ……なるほど。


 息苦しくて、喘いで。

 寒くて、驚いて。

 腹が減っては声を上げ。

 気持ちが悪くて、叫んだ。


 本能のままに、俺の意識とは関係なく生きる体。

 こう、不思議なもんですな。

 意識とは別に本能のままに動く赤子生活。

 こう……言いたいことを言えないもどかしさが……思考はできるんですけどね?

 口を開いても「あややや、あびゃぁ」とか、意味のない……喃語っていうんだっけ?

 しかでてきませんわ。……むむむ。


 母親は体質なのか、なんなのか、俺を粉ミルクで育てているらしい。

 哺乳瓶に吸い付くのもなれた。

 つか、母乳とか……ちょっと思春期だった俺の意識的に抵抗があるので哺乳瓶サイコーっす。

 罪悪感ないよね。まぁ、ミルクないと餓死するんですが!

 転生したこの世界……優樹がいうにはパンドラだったか。

 結構文明レベルが発達しているようです。

 確かに建築物は一昔……江戸時代とか、戦前? の日本を連想させるんですけどね。

 ガスコンロあるし、電気製品もバリバリある。

 冷暖房完備だから寒くもないし、暑くもない。

 いやぁ、恵まれた環境ですわー。


 テレビを見ながら俺をだっこする母さんは、わりかし美人さん。

 黒髪に色白で、アーモンド型の目はぱっちりとしてて……いつも化粧を欠かさない。元がいいから薄化粧だけどね。つか、俺がいるからあんまり手の混んだことできないっぽい。

 うーん。極力大人しくしてるつもりなんだけどなー。でも出たもんは片付けてほしいし。

腹減るし。


 まぁ、こんな態度だから母さん心配して役所通いなんだよなぁ……。

 他の赤ちゃんに比べて大人し過ぎるとかなんとか……。相談してるみたい。

 心配しなくてもぉ……食べるもんは食べるしぃ……出るもん出たら教えてるじゃん?

 他は静かだけど。や、なんていうか、思春期だったかつての俺が叫ぶんですよ……泣くなんてはずかしぃ……ごにょごにょ。

 夜寝れない時も、ぼんやりと天井みて過ごすことが多い。まぁ、生まれたてで寝返りすらろくにできないからね! 早く動けるようになりたいです。

 でも、このお布団寝心地いいんだよなぁ……

 寝れないことなんてあんまりなかったり……すやぁ。



 あれから数ヵ月。

 寝返りが出きるようになりました! どうも、ハルトです。

 母さんが俺のことを「ハルト」と呼んでいるようなので、俺の名前はハルトらしい。

 前世と奇跡の一致。やばい。

 違和感が無さすぎて、転生した感覚が最早……ありがたいけど。

 あ。父さんはなかなかのイケメンでした。

 っていっても、やっぱ有色人種っぽい。

 髪の毛は亜麻色で、瞳は茶色。すらっと長い体躯細マッチョだった。

 俺は父親似らしい。

 そら、母さん射止めたんだもんなぁ……納得。

 父さんはあまり俺に感心がないようです。というか、俺に……ってか子供に対して恐怖心を持っているような? あんまり構ってくれません。

 動けるようになったら要検証だな……とか思うけど、あれか。こんなこと考えてるって勘づかれてる? 普通じゃないって気付かれてたり? だから寄ってこない? それは困るなぁ……。俺父さんにも構ってほしいんですがー。

 前世もそうですが、今世も構ってちゃんな俺です。三つ子の魂百までってなぁ。そうそう死んでもかわりませんとも。




 いやぁ、不老不死、いいですね。

 たいした……どころか全くの無病息災。

 5才になりました。

「いやぁ、我ながらすげぇ健康……ってか、怪我すら即治癒しちゃうもんなぁ……。これ、ろくにこけることができません。人間じゃない……」

 あ。回りに誰もないことは確認済み。

 だから素でしゃべってます。


 鏡で見た俺は、控えめに言っても美少年でした。

 ありがとう黄金律。

 ありがとうスキルくれた神様……優樹かな? じゃぁ、感謝しなくていいか。


 父さん譲りの亜麻色の髪は癖がなくて、母さん譲りの大きな瞳は茶色。

 美形二人からいいとこどりをしたっぽい。やったぜ。

 細い肢体は子供らしく軟弱だけど……不自由はない。

 

 しっかし、普通の5才児ってどんなんだ?

 演技も楽じゃないっすね。

 ところで、この-8番街-。保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と、教育機関は充実しているそうな。

 まぁ、義務教育は小学6年に中学3年の9年間しかないんだけどね。

 俺は保育園も幼稚園も通ってないので、小学校から本格的に集団生活が始まります。

 つまり来年からだね! 超緊張!

 人間だけど普通の人間じゃないって理解してるので、なんというか……どう、人間に擬態したらいいのだろうか……


 ……。


「なんて思ってた時期が俺にもありました」


 どうも、6才になりました。ハルト・アーバインです。

 ……小学校、人間だけだと思ってたんだー。

 回りはみんな人間だとー。

 違うわー。

 むしろ人間俺だけー。


 言ってた。言ってたわー。

 人間の総人口10万人にも満たないんだったなー。

 -8番街-の人間の人口は約1万弱。

 そのほとんどが大人だからねー!

 -8番街-も、日本と同じくらいの規模あるみたいだし。そりゃ、小学校に人間俺一人もまぁ、あるよねー!


 どこもかしこも、異種族ばっかである。

 いやぁ、ファンタジーって実感させられるぅ。

 文明レベルが前世とあんま変わらないから実感なかったけどー!

 エルフ超エルフだし。

 ……ここだけの話、発育良いエルフもいるけど、揺れない震源地もいるから……個性いろいろなんですね。

 ドラゴニュートとかカッコイイよなぁ……

 竜人っていうの? 変形するのまじやばい。

 わりと人型とってるのが多いけど、獣寄りだったり完全にトカゲもいたりする。面白い。

トカゲが鉛筆やらシャープペンシルやら持って勉強してるんだけど……昔の感性からするとシュール。

 いや、この世界じゃこれも普通らしいんだけど。

 猫又も、そのまま2本の尻尾を持った猫が工事現場で働いてたりするしな……。

あれ、危なくない? 大丈夫?


異世界っぽくねーな?

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