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68匹目

「あ、ハルト君や、学校送るっていったけど、さ」

「おん?」

 言ったけど? えらく不穏な響きである。

「いや、俺学校の正確な場所しらねーのよ。だから一旦お前ん家に飛んでそっから移動するねー」

「あー……了解」

 ちらりと時計を確認する。

 まぁ、家からならまだ余裕かなー。

 澪夢にトーストと牛乳をもらい、もそもそと食べる。

 ユウキもトーストだった。

 が、澪夢はおにぎりを用意して食べ始めた。

 ……いちいち朝から握ってるのか。

「澪夢は米じゃないとダメな派?」

「いえ? パンも食べますよ? まぁ、米が好きっていうのは否定しませんが」

 おにぎりを食べる合間に答えてくれる。

「でもまぁ澪夢は基本和食だな……俺はどっちでも好きだけどー」

「貴方はどっちかと言えばジャンク好きでしょうに」

「否定しない」

 くっく、と喉の奥で笑みを転がすユウキ。

 ……。

 こう、俺の印象に残っているのは、息するのも大変そうにしている、病弱な優樹で。

 しんどいのに、強がって脂汗を滴ながらも笑う優樹で。

 今、ここにいるユウキはなんだか、全身で今を楽しんでいる雰囲気があって。

 ……ギャップを感じてしまうというか、不思議に感じてしまう俺がここにいて。

 ……まぁ、いいことだと思うけどね。

 しっかし、もはや別人のようだ。人格的にはこのユウキがオリジナルらしいけど。

「ハルト君や、ハルト君やーい」

「……うぇ?」

「そろそろ、学校行こうぜ?」

 いつのまにか食べ終わってたのか、ユウキが俺を覗きこんでいた。

 深海の青が、穏やかに揺れている。


 きなこを見やると、きなこは相変らず寝息を立てていた。

 ……早く目覚めてほしい。


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