表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/83

62匹目

投稿忘れててた☆

 きなこが我が家に来て、1カ月ほどたった。

 ずいぶん慣れたきなこは、俺が学校に行っている間も大人しく家で遊んでいるようだ。

 母さんとテレビを見てたり、編み物する母さんを眺めたり。

 そしてよく昼寝する。

 ごはんもしっかり食べているようだった。


 きなこは夕方から活発になるようだった。

 夜帰ってきた父さんの膝に乗り、背中を撫でてもらっている。

 そして機嫌がよくなったのかきなこは歌う。

 そんな歌声に家族みんなで耳を傾ける。


 家族の中で、きなこはかけがえのない存在になっていた。


 † † †


 それが起きたのは、唐突だった。

 俺が、帰宅途中のことだった。

 駄菓子屋に寄るかなー、あ、きなこ連れてからの方が良いかなーとか考えていたらふと、サテライトが音声チャットを受信したのだ。

「?」

 学校だったので、サテライトのチャットを非通知にしていた。

 のだが……非通知にし忘れたか? と思ったら

 緊急チャットだった。


 道のわきによって応答する。

 相手は母さんだった。


「どうしたの?」

『ハルト、きなこちゃんの様子がおかしいの!』

 と、焦った声がした。

 様子がおかしい?


 なにか、嫌な予感がした。

 胸騒ぎがする。


 幸い家の近くまで帰ってきていた。

 だから俺は家まで駆けだした。


 † † †


「きなこっ!」

 ドアを蹴破る勢いでリビングに転がり込んだ俺がみたのは

 あせってきょどっている母さんと

 ぐったりとしたまま動かないきなこだった。


「なんか変なもの食べさせた?」

 きなこを抱きかかえながら母さんに問いかける。

 学校に行く前は元気にしていたはずだ。

 夜はちゃんと寝ていたし、朝はきゅっきゅきゅっきゅと鳴きながら体操をしていた。

 朝ごはんもちゃんと完食している。

 いつも通りのトーストとヨーグルト、ミルクにうさぎのリンゴさん。それにレタスサラダ。

「いいえ、いいえ。今日はチャーハンを食べたのよ。おいしそうに食べてたわ」

 チャーハンはきなこもよく食べているはず。


 原因がわからない。


 きなこの体温は低かった。

 浅く、短い息を繰り返している。

 

 ……

 

 このままじゃきなこが死んじゃう。

 直感で悟ってしまった。

 きなこの衰弱っぷりは、やばい。

 これは、冗談とか、寝れば治るものでは明らかにない。


 しかし、しかし、だ。

 きゅっきゅちゃんはまともな動物ではない。

 元、魔物だ。

 そんなきゅっきゅちゃんを病院に連れて行っても……

 そもそも、周知の生き物ではないのだ。


 俺が頼れるのは……




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ