62匹目
投稿忘れててた☆
きなこが我が家に来て、1カ月ほどたった。
ずいぶん慣れたきなこは、俺が学校に行っている間も大人しく家で遊んでいるようだ。
母さんとテレビを見てたり、編み物する母さんを眺めたり。
そしてよく昼寝する。
ごはんもしっかり食べているようだった。
きなこは夕方から活発になるようだった。
夜帰ってきた父さんの膝に乗り、背中を撫でてもらっている。
そして機嫌がよくなったのかきなこは歌う。
そんな歌声に家族みんなで耳を傾ける。
家族の中で、きなこはかけがえのない存在になっていた。
† † †
それが起きたのは、唐突だった。
俺が、帰宅途中のことだった。
駄菓子屋に寄るかなー、あ、きなこ連れてからの方が良いかなーとか考えていたらふと、サテライトが音声チャットを受信したのだ。
「?」
学校だったので、サテライトのチャットを非通知にしていた。
のだが……非通知にし忘れたか? と思ったら
緊急チャットだった。
道のわきによって応答する。
相手は母さんだった。
「どうしたの?」
『ハルト、きなこちゃんの様子がおかしいの!』
と、焦った声がした。
様子がおかしい?
なにか、嫌な予感がした。
胸騒ぎがする。
幸い家の近くまで帰ってきていた。
だから俺は家まで駆けだした。
† † †
「きなこっ!」
ドアを蹴破る勢いでリビングに転がり込んだ俺がみたのは
あせってきょどっている母さんと
ぐったりとしたまま動かないきなこだった。
「なんか変なもの食べさせた?」
きなこを抱きかかえながら母さんに問いかける。
学校に行く前は元気にしていたはずだ。
夜はちゃんと寝ていたし、朝はきゅっきゅきゅっきゅと鳴きながら体操をしていた。
朝ごはんもちゃんと完食している。
いつも通りのトーストとヨーグルト、ミルクにうさぎのリンゴさん。それにレタスサラダ。
「いいえ、いいえ。今日はチャーハンを食べたのよ。おいしそうに食べてたわ」
チャーハンはきなこもよく食べているはず。
原因がわからない。
きなこの体温は低かった。
浅く、短い息を繰り返している。
……
このままじゃきなこが死んじゃう。
直感で悟ってしまった。
きなこの衰弱っぷりは、やばい。
これは、冗談とか、寝れば治るものでは明らかにない。
しかし、しかし、だ。
きゅっきゅちゃんはまともな動物ではない。
元、魔物だ。
そんなきゅっきゅちゃんを病院に連れて行っても……
そもそも、周知の生き物ではないのだ。
俺が頼れるのは……