57匹目
……。
きなこに早く会いたい。
頭のなかはきなこ一色である。
ここまで堕ちるとは……ほんと意外。
つか、ここまで熱中するなにか、あったかな。
前世も含めて。
……はじめてかも。
頭のなかをきなこのことでいっぱいにして幸せ気分で学校へ歩いていく。
そこまで長い道のりではないが、まあ近いわけでもない距離を一人。
かつての世界だと、集団登校していたが、この世界わりとそこらへんゆるゆるで、集団登校なんて概念がなかったりする。
まあ、種族的に自衛できるものが多いのと
なんだかんだ言って誘拐や殺害などできないシステムになってるのが理由だろう。
すこし余裕をもって学校についた。
まあ、いつもどおりの時間だと言えなくもない。
教室に入って、当たり障りない範囲で挨拶なんかして席につく。
一限目は国語……と。
……。
…………。
きなこのことを思い、ノートにきなこのイラストを落書きして授業は終わった。
あ、黒板の板書はしてるし先生の言葉もちゃんとメモってるよ。
ノートの端にきなこの顔を延々と書き連ねていたが……かわいいな。
今日の授業は5限目まで。
だいたい5時限だが、水曜だけ4時限で帰る。
ここらへんは前世と一緒だ。
学校の仕組み自体は前世と何ら変わらない。
特に俺の通う学校は普通の学校だし。
そういう……魔法や武器の扱いなどの技能特化の学校もあるのだけれども。
俺、所詮村人だしな。
冒険者目指す気もなかったので、こういう塩梅というわけだ。
5限目までの授業を終え、俺はそそくさと荷物を纏めると教室をでた。
きなこが待ってる家に一刻も早く帰るのだ。
んでから、きなこと近くの公園へ行こう。
そう思いつつ、学校を飛び出した。
……。
「ただいまー」
全速力で走って参りました。
20分掛からなかったね!
ゼーハーいいつつ扉を開けると、玄関できなこが溶けていた。
おん?
玄関マットと同化したように平べったくなったきなこは、俺に気がつくと緩慢な動きで起き上がる。
そして一言。
「きゅきゅちゃん」
ごめん、まじなにいってるかわからない。
きゅふん、と鼻息を立ててからリビングの方へ這っていく。
……あんれー。
めっちゃ急いで帰ってきたのに、反応……
あんま嬉しそうじゃないですね?
まあ、そういうところも可愛い。
別にきなこの為じゃないし、ね。
俺がきなこに会いたいから早く帰ってきただけ。
少し肩を竦めてから俺もリビングに向かうことにした。




