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57/83

53匹目

作者の頭はごちゃごちゃだ!

 そう予測を立てて、俺は二階へと向かう。

 階段から廊下に出て、そこからベランダに通じる扉を開ける。


 ベランダに、母さんはいた。

 ただ、洗濯物を取り込んでるわけではなく、ただ、外を眺めていたらしい。


「ただいま、母さん」

「あら、お帰り」

 俺の声に、母さんは笑みを浮かべて返してくれる。

 それから「お父さんと先にたい焼きたべちゃった。おいしかったわ」と言ってくる。

 まぁ、その心算だったし「気にしないで」と笑顔で答える。

 きなこは触手を母さんに伸ばしていた。

 伸ばされた触手を掴んで母さんがシェイクする。

「きなこちゃんもお帰り~」

「きゅっきゅちゃ~」

 嬉しそうになくきなこ。

 きなこも大概母さん好きだよな。

 まぁ、人がいいし美人さんだ。

 母さんを嫌いになる人はまま少ないだろう。


 ……かわいいモードに入った母さんは若干厄介だが。


「何か見てたの?」

「んー? 別にそういうわけじゃないんだけどねー」

 と母さんはベランダから中に入りつつ答える。

 長い黒髪を腰辺りまで伸ばし、束ねている。

 アーモンドの瞳に輝く光は知的そのものだが、慈愛にも満ちていた。

 白いTシャツにジーパン。動きやすい服装を好むけれど、お出かけの時は結構おしゃれをしていたり。

 そんな、俺の母さん。

 生まれた時から美人さんだと思っていたが、俺が学校に行くようになって余裕ができたのか、化粧もばっちり決めるようになって磨きがかかっている。

 そんな母さんが階段を下りながら「ご飯の用意するわね」と笑う。

 それを見送ってから俺はきなこを見下ろした。

 きなこは首を傾げる。


 何となく、くびれは見えないが首っぽいのがあることに気づいた。

 ほんと、不思議な生物だきゅっきゅちゃん。


「ちょっと時間あるし、部屋にいようか」

「きゅっきゅ」

 きなこともども、部屋で休憩することにした。



「……んぁ」

 ベッドに座ってきなこと戯れていたが、いつの間にか寝落ちしていたようだった。

 目を開けると、窓の外は暗くなっていた。

 ……7時、か。

 時計を見て時間を知る。

 それからあたりを見ればベッドの近くにきなこが転がっていた。

 寝相だろうか?

「おーい、きなこー」

「きゅきゅっ」

 即座に反応して起き上がるきなこ。

 ……起きてたか。

「きゅきゅ?」

 首を傾げて俺を見上げるきなこ。

 ほんとかわいいなぁ。

「きなこ、母さん呼んでないよな?」

「きゅっきゅちゃん」

 こくり、ときなこが頷いた。

 まぁ、呼ばれたら流石に起きるし、だよな。

 ごはんの用意手間取ってるのかね?

「ふーむ。とりあえず様子見に行くか」

「きゅっきゅちゃん!」

 触手を伸ばして「だっこ」のポーズをするきなこの、脇を掴んで抱きかかえて俺は一階に降りる。


 リビングに行くと、ソファーで父さんがまだ船を漕いでいた。

 おおう、珍しいくらい熟睡……


「父さん、なにがあったの」

「んー……ちょっとお疲れなのよねぇ……休日出勤あったし?」

 

 困ったように笑んで、母さんは片頬に手を当てる。

「でも、そろそろ起こさないといけないわねぇ……ごはん食べてもらわなくっちゃ」

 ハルトも遅くなってごめんね? と母さんが謝ってくる。

 それに俺は気にしないで、と手を振っておく。

「ほら、貴方。いい加減起きて」

「……んぁ……おはよう……」


「きなこ、ここにいて」

「きゅきゅ?」

 起こしている二人をよそに俺はキッチンへ向かう。

 箸とか、配膳を手伝おうと、そう思ったのだ。


でもつづくなん

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