49匹目
9わめだね?
「きゅっきゅちゃーん」
きなこは上機嫌だった。
いろんな場所に連れてってもらえるからか?
まぁ、生まれてからずっとあんな牧場しか知らないなら、なぁ……。
そら、機嫌も良くなるか。
……休みの日はいろんな場所に連れてってやろう。
次の休みの日は公園に行くのもいい。
ちょくちょく商業区にいくことはできないけれども、近場でも楽しめる場所は結構あるのだ。
そういえば、ちょっと行った場所にミント専門店なんてあったな……
あ。
「な、ユウキ」
「あ、え? 何!?」
体を跳ねあげつつ過剰に慌てるユウキ。
……あんのぉ……ほんと、お前……。
「大抵の動物ってミントダメだけど、きゅっきゅちゃんってミントもいけんの?」
「ごめん、話の流れがわからない……が、まぁ……スライム……ってか、魔物ってさ食事してるわけじゃなくてな。分解した存在を食ってるから。魔力とか、生命力とか、そういうの。流石に魔導書食わせたら腹下すけどさ。毒なんかも大体無効化するな」
半目で抗議の声を漏らしつつ、ユウキはやっぱり説明してくれる。
「あぁ、スライムが毒矢効かないのもそういう……」
魔物って、やっぱスペックおかしいよなぁ……。
「ん。で、スライムなんかはシステムの優樹(俺)に近いから、魔術も無効化してくる」
「近い?」
近いってどういうことだ?
疑問が尽きない。まぁ、それもユウキは解説してくれる。
やっぱ、詳しいなぁ。流石創造神。伊達に長生きしてねーなぁ。
「……濃いっていうかな。血じゃないけど、存在? 成分? なんしかそういうの。だから俺の魔術も無効化される」
「え、対処法ないんでは?」
魔術も無効化されるって、スライムそんなにやべー存在だったか。
あれが爆発的に増えてないのがありがたいことだな?
「いや? キャパオーバーになるまで魔力を食わせてやればいい。システムの優樹(俺)本人じゃないんだから、流石に容量も限度あるしな。つか、きゅっきゅちゃんのほうが容量多いくらいだぞ?」
「流石進化系」
呆れ気味にきなこを見ればきなこは自慢げに鼻息を荒げていた。
「きゅっきゅちゃん」
「あいあむちゃんぴおんはやめれ」
「……その、あいあむちゃんぴおん、って何だ?」
ちょこちょこ聞くけど、なにそれ。
首を傾げる俺にユウキは「見たことない?」と首を傾げる。
「あ? あぁ、きゅっきゅちゃん特有の勝鬨? 高いとこに上って両手をこう……あげてな? 鳴くんだよ。あいあむちゃんぴおーん、って」
と、両腕をガッツポーズ的に挙げてユウキが説明する。
「きゅっきゅちゃーん」
きなこが勝ち誇ったかの声で鳴く。
え、その鳴き声、ちゃんぴおんって言ってたのか?!
「あいむ、じゃないところがかわいい」
「その感性は良く分からないけど……きゅっきゅちゃんって不思議だな」
きなこのわき腹をもにもにと揉みながら俺は呟く。
こそばゆいのかきなこは「きゅっきゅっきゅっきゅっきゅ」と鳴いているが、やっぱきもちいいな。
ほのかにあったかくって、短い毛がすべすべで。
……あんまり笑わせすぎるのも、アレだしこの辺でやめとくか。
暫く歩いていると目的の場所が見えてくる。
「……駄菓子屋、なのな」
ユウキがその建物を見て、呟く。
だから俺は、そんなユウキに半目を向けた。
「……そういってるじゃんか」
つづくんじゃ




