29匹目
つづきー
部屋に戻ってもまだ20時である。
流石に寝るには早い。
し、やることもないことはない。
まあ、宿題なんだけどね。
勉強机に腰かけると、きなこが不思議そうな顔をして近づいてくる。
「きなこ、俺は勉強するから。適当に遊んでても良いし、さきに寝て良いからな? 寝るとこは……」
しまった。ベッド無いわ。
「俺のベッドつかって良いから。俺も寝たいから、真ん中で寝られると困るけど」
「きゅきゅっ」
わかってくれたのか?
明日も休みだし、ベッド買いにいくかなあ……
これから暑くなるし、夏用の、冷やかいベッド……。
きなこはベッドには行かず、俺の後ろでとろん、と溶けた。床の上に。
骨、あるのか? ってくらい、平べったくなっている。
うわーあ。
一応、耳……は残っていた。
……もう、あんま気のしないでおこう。
俺はしなきゃいけないことがあるのだ。
「……」
まあ、小学生レベルの問題なんて……書く時間考慮しなけりゃ秒で終わるんだがな。
前世の記憶様々だぜ……
いや、歴史は除くけど。
1時間もかけずに2日分の宿題を終わらせた俺はきなこへ呼びかけつつ振り返った。
「きなこー」
「きゅきゅきゅちゃー?」
名前を呼ぶときなこが答えるように鳴く。
相変わらず、何を言っているのかはわからない。
そして、どういう状況なのかもわからなかった。
みょーんと天井へ向かって体を伸ばして、海中で揺らめくワカメみたいになったまま反応するきなこの姿は……
かわいいより、怖い。
え、なにそれ。おおよそ生き物から逸脱した動きをしている。溶けてるのも意味不明だったけど、こっちのほうが意味わかんない。
「きなこ、それ、さすがに怖いわ」
考えるよりさきに、感想が口を吐いていた。
……
数拍の、沈黙。
そして
「きゅきゅん!?」
シュッと音が出そうなほど素早く元に戻った。
そしてぽろぽろと涙を流している。
って、泣いたぁあああああ!?
「きゅきゅーん」
「ちょ、泣くほどのことか!? ごめん、ごめんって!」
きなこを抱えあげ背中を撫でてやる。
きなこは泣き止まない。
ぽろぽろと涙をこぼし続けていた。
「きゅきゅーんきゅきゅーん」
「や、嫌いにならないから。かわいいから!」
「きゅっきゅちゃあああああ……」
滂沱の涙へと加速していく。
びょわっと。
えぇ……そんな泣くぅ?
とりあえず、きなこが泣き止むまで背中をなで続け、きなこは2時間程泣き続けたのだった。
「ぎゅっぎゅぢゃあああああ……」
つづくー




