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魔力チートな魔女になりました~創造魔法で気ままな異世界生活~  作者: アロハ座長
3章【荒野に住まう魔女と幼女】

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28話【夢見の神託でお茶会を】


『ふふふっ、やったわね、チセ。【虚無の荒野】の再生完了予測がまた縮んだわ!』


 夢の中でリリエル神が出てきて上機嫌に話し掛けて、楽しそうに笑みを浮かべる美人のラリエルがいた。


『まさか、現世に顕現した悪魔をただ退治するだけじゃなくて、魔力分解して悪魔殺しを達するとはな!』

『人間の発想力には、驚かされるばかりね。完全に滅する【不死殺し】の剣を創造するには、作り出す魔力が足りないための方法でしょうが、それでも悪魔を滅ぼす道筋を作るんだから』


 褒め称えるのは、快活そうな女神のラリエル。

 そして、悪魔殺しの方法に感心するリリエル。


「久しぶりの夢見の神託ね。リリエルに、ラリエル。こんばんは、かしら」

『ええ、こんばんは。ここまでの成果を出すとは思わなかったわ』

『だからな。そろそろ私の方の領域の再生も手伝ってくれよ』


 労いの言葉を掛けるリリエルと、再び以前言っていた手伝いを頼んでくるラリエル。


 はぁ、と気のない溜息を吐き出す私に、ラリエルは断られると思ったのか、言葉の勢いが増してくる。


『なぁ、チセ! 前に頼んだ、私の管理領域の再生も頼むよ! もうあの娘を狙う悪魔教団もいないんだし、来てくれよ!』

「そうね。……セレネのお披露目の社交界が終わって、本格的に王族として活動するでしょうし……そうなったら、また旅を再開しようかしら」


 この【虚無の荒野】の再生システムは順調に回り始めており、植林と世界樹、結界魔導具の三点セットを定期的にセッティングして見回る以外にやることがない。

 また大きな変化は、数十年スパンになるだろう。

 それなら、今回のイスチェア王国の王都の生活のように、十年ほど別の地域と【虚無の荒野】を行き来する生活もいいだろう。


「あ、そう言えば。聞きたかったんだけど、神にとって悪魔ってのはどういう存在なの?」


 精霊、悪魔。そして天使などと呼ばれる魔力生命体がこの世界に存在する。


『精霊は、自然。天使が人の善なる感情を、悪魔が人や魔物の欲望を司っている存在ね』

『まぁ、結局は魔力の塊だからな。精霊や天使、悪魔も存在するのに疲れれば、その自我と魔力を分解して、世界に還って新たな魔力生命体に生まれ変わる。魔力生命体にとっての転生よね。けれど、その転生も上手くいってないのよね』


 リリエルから順番に、ラリエルが説明を引き継ぎ、溜息を吐きだす。


「それはどういうこと?」

『これはチセにも関係があることなんだけど、【虚無の荒野】の地下の地脈がズタズタで魔力が流れていない。いえ、チセのお陰で薄らとだけどその流れが直りつつある状態になっているわ。そして、少しずつ魔力が巡れば、【虚無の荒野】の大地からも精霊や妖精とかが生まれ始める』

『魔力は世界の大気を巡り、そして地中に戻り、また大気に放出される。星の呼吸みたいなものだ』


 ラリエルが掌に惑星のイメージ像を生み出し、その星の表面に気流や海流の流れのような地表の魔力の流れと、北極点から南極点に広がる磁力線のような地中の魔力――地脈の流れを現わす。


『本来の魔力は、こんな風に世界を巡っているんだ。だけど2000年前――』


 星の各所で爆発のような閃光が起こり、巡っていた世界の気流や海流の流れに沿った魔力が薄くなり、動きも乱れている。

 そして、磁力線のように流れる地脈がズタズタにされてしまっている。


『地表の魔力不足は、今のチセの方法で回復を目指せるけど、地脈の流れが乱されているの』

『この乱れた状態で魔力が通ると、天変地異が起きたり、魔力が詰まってそこで様々な魔力災害が引き起こされる』


 ただの地震、津波、噴火などだけではなく、ファンタジー的な災害だ。

 地脈の魔力が貯まった結果、起きる魔力災害としては――


 ・地脈の魔力が結晶化してダンジョンコアになり、ダンジョンが誕生する。(ちなみに貯まっていた魔力の大きさによって生成されるダンジョンの階層の多さが大体決まる)

 ・地脈の魔力によって地中の魔物が活性化して、スタンピードが起きる。

 ・地脈の魔力が鉱物化して、その特殊な鉱物がその地域に多大な影響を与える。(例えば、浮遊石が生成されて地面を持ち上げて浮遊島が誕生する、とか)


『魔力災害を放置しておくと、この世界の全ての地表が全部空に上がっちゃって、地表は人の住めない大地になっちゃうのよね』


 なんか、そんな設定だか世界観のゲームや作品を幾つか見たことあるが、そんな感じの理由だっただろうか。


『だから、神々がある程度魔力が貯まったらダンジョンになるように世界の設定を弄って、貯まった魔力をダンジョンの魔物の魔石で放出させているのよ』

『まぁ結局は、放置されたダンジョンがスタンピードを起こして、強制的に地中に貯まった魔力を魔物の魔石として放出して調整してる感じだ』


 それでも放出された魔力で地表の魔力濃度は一時的に上がるが、結局は、再び星を巡って貯まってしまうので、動植物の生命活動で発せられる魔力の増産が必要らしい。

 なんと言うか、世界の真理の一つに触れてしまった気がする。


「それ、私が聞いて良いの?」

『いいも悪いも、チセはいずれ【虚無の荒野】の地脈を整えて直すために、そうしたことを考えなきゃいけないのよ』


 どうやら今は空気中の魔力が不足し、地脈もズタズタで魔力が流れていない状態らしい。

 そのうち、空気中の魔力が満たされ、地中の魔力の通り道が少しずつ直っていけば、それを整える作業も必要らしい。


『そして、そのノウハウを学ぶついでに、あたしの領域も再生してくれ』


 そんな感じで世界の真理? なのか女神たちの愚痴なのかを聞きながら、何もない夢見の空間にテーブルを【創造魔法】で作り出し、お茶やお菓子なども揃えて、小さな女子会をする。


 そして最後に――


「それじゃあ、また暇ができたら来るわ。今後の発展楽しみにしているわね」


 そう言って、神々との女子会が終わり目を覚ますと、夢見の神託のせいでごっそりと魔力が減っていたので、その日は一日休んだ。


読んでいただきありがとうございます。

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GCノベルズより『魔力チートな魔女になりました』7巻9月30日発売。
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― 新着の感想 ―
ラリエルは神らしい傲慢さと考え無さだね。何の報酬も提示せず、何の関係も無い神が命令したところで動こうとするはずないでしょうに
[気になる点]  女神が【不死殺し】の剣について話していますが、今までの話に出てこなかった物をいきなり出されても読者が置いてけぼりにされてしまいます。  例えば「教会の魔法書に悪魔を滅ぼす剣について書…
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