3話【魔女になりました。とりあえず、形からですが】
平原でサバイバル生活を始めて1ヶ月が過ぎた。
スライムや平原の雑魚魔物を使い捨ての炎弾の杖で倒していたが、遂に、使い終わった杖で物理で殴る方が効率がいいレベルまで上がった。
そして、毎日不思議な木の実を食べ続けた結果、レベル上昇と合わせて1200魔力量に達した。
「さて、今度はもう少しマトモな装備を作ろうかな」
平原をチマチマとサバイバルしていたが、拠点周りを炎弾の杖で焼き払い、そこを踏み固めてテントを張り、創造で生み出した木材やロープなどで柵を作ったのだが、思ったよりもたつく。
正直、今の自分の体が12歳くらいの幼さ残る女の子であるために、少々手足の長さが短い気がする。
「子どもの体だと不便だなぁ。まぁ、成長するよね」
自身の手足が伸びるように背伸びをして、とりあえずの拠点周辺を整備したところで、今度は装備も【創造魔法】で作ることにした。
「私が必要なのは、もっと強い装備――《クリエイション》!」
そしてできあがったのは、真っ黒なローブである。
だだっ広い平原にいるので日除けにもなるし、寒い夜には包まって使うにはちょうど良さそうだ。
「――《クリエイション》!」
最後に、綺麗に磨かれた樫の木の杖だ。
今までの【炎弾の杖】より太くて丈夫で殴りやすそうである。
「なんか、恥ずかしいな。中二っぽい格好」
身に着けると、フード付きのローブは、耐熱・耐寒効果のあるマジックアイテム。
綺麗に磨かれた樫の木の杖は、魔法の制御力向上や威力向上などの効果をイメージして創造した。あと、殴っても丈夫。
全身黒ずくめのために怪しいが、性能は悪くないはずだ。
「うーん。そう言えば、【創造魔法】を気軽に使ってるけど、それ以外の魔法って全然使えないんだよね」
創造したアイテムに込められた魔法を発動しているために、本当に魔法使いらしい魔法は使ったことがない。
「えっと……どうやって魔法を発動するんだろう?」
【創造魔法】を使う時の魔力の流れや感覚をなぞるようにして、掌に魔力を集める。
「うーっ! ――《ファイアー・ボール》!」
ポフッ――小さい火が掌からちょっとでて消えた。
これだけで魔力量10くらい使ったので、実戦では全然使えない。
「むぅ、魔法って練習して上手く使えるようになって初めて実戦で使えるのか。そう考えると、炎弾の杖って便利」
まぁ、少しずつ練習しよう。
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