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30話【次なる旅先を決めるのは、倒れた杖の先】


 オットー市に戻り、依頼の達成を報告した。

 Eランクの開拓の後方支援の依頼は、1日銀貨1枚だったので、二人合わせて約60枚ほどだ。

 Eランクの依頼ということで、Dランクの私たちにとっては、ランクが上がることには直結していない。

 けど、ソレとは別でガッシュさんが現地で依頼した魔法による開拓事業の手伝いは、一日当たり、Dランク相当の1回分として受理され、上乗せされた報酬額と合わせれば、二人合わせて小金貨15枚ほどになる。


「日本円で150万ってところか。結構な高給取りの仕事だったのね」


 まぁ、日本で考えるなら、高性能な重機を個人で携行しているようなものだ。

 またしても小金持ちになった私たちは、必要な分だけ銀貨で手元に残し、それ以外はギルドカードに預けておく。


「さて、地図を買いましょうか。私たちが住むのに相応しい場所を探すために」

「はい、なのです!」


 私は、テトと一緒に、町を巡り、地図を探す。

 だが――


「そうね。地図ってあるわけないか……」


 基本的に、多くの住人が自分の生まれた町から出ずに一生を終えるのが普通なため、一般市民には地図の必要性はない。

 あっても、どこどこの街道をどのくらいの距離で進めば隣町とか、その途中の道を行けば森とか村がある。その程度のメモ書きだ。

 また、戦争などの侵攻ルートの決定にも使われるので、正確性の高い地図は、戦略物資の一つであり、極秘情報でもある。

 なので、一般には売られていない。


「手に入ったのは、冒険者ギルドで売られている、周辺の概略地図か。それと、どこぞの誰かが書いた旅行記か」


 こうなったら、手に入れた地図に書かれていない方向を目指し、そこで新しくご当地の地図を手に入れて繋げる他ないだろう。

 または、王侯貴族との繋がりを得たら、国土全体の地図が手に入るかもしれない。


「それに案外、旅行記ってのも悪くないヒントかもしれない」


 筆まめな作者が書いたのだろう。

 流し読みした中に、一つ気になる場所に訪れたことが書かれていた。


『虚無の荒野。そう呼ばれる場所に足を踏み入れた。色褪せた大地だけが広がっている場所だ。ある境界線を境に、草木の一本も生えない場所。人も住めない最果ての地。神罰や神の呪いで不毛の地となったと言われる場所だ。あまりにも何もない場所に私は、恐ろしくなって逃げ出した。あの大地の奥には、邪神が住まうのではないかと想像してしまう』


【虚無の荒野】――その単語がやけに私の心をとらえる。


「どこか住みやすそうな森を探すのもいいけど、この虚無の荒野は、本当に誰も居ないなら、そこに行ってみたいなぁ」

「魔女様、どうして行ってみたいのですか?」

「うん? だれも居なさそうだから、かな」

「魔女様の行きたい場所に、私も行くのです!」


 だが【虚無の荒野】がどこにあるのか分からない。

 そのために私は、地図の方向を確かめて、その場に杖を立てる。


「神様頼りで方向を決めましょう。はい――」


 杖から手を離すと、杖がゆっくりと倒れて、南東の方角に倒れる。

 方角は、王都に近い、ダンジョン都市の方角だろうか。


「さて、行こうか。次の場所に」

「はい、なのです!」


 南西方向に続く道を進むように私たちは再び旅立つ。

 ただ、今回は乗り合い馬車ではなく、街道から外れた場所を歩き、目に付く薬草の類いや魔物を倒して進んでいく。


 次の町で薬草を納品して小銭を稼ぐのと、テトが取り込むのに適した小さな魔石を集めるためだ。


「魔女様~、魔女様~」

「テト、なに?」

「あのヒドラって魔物の魔石、一つ欲しいのです」

「あー、大きいのはダメだけど、小さいのならいいわよ」

「やったー、なのです!」


 私は、討伐したヒドラの頭部の魔石を二つ渡すと早速テトは小さめの魔石を大きく口を開けて呑み込む。

 ゴリッ、バリッとあまり聞きたくないような音で咀嚼して呑み込んだテトは、幸せそうに目を細めている。


「ああ、体に染み渡るように美味しいのです~」

「そ、そう……それと……」


 ダンジョンのゴーレムの魔石やダンジョンコアを取り込んで急激な変化したテトだが、今のところ外見的な変化はない。

 ただ――


【テト(アースノイド)】

 ゴーレム核の魔力14400/14400

 スキル【剣術Lv4】【盾術Lv3】【土魔法Lv3】【怪力Lv2】【魔力回復Lv1】【従属強化Lv1】【身体強化Lv5】【再生Lv1】……etc


 冒険者相手の模擬戦で魔力で体を強化する【身体強化】を覚え、たった今食べたヒドラの魔石からヒドラの特性である【再生】スキルも得た。

 他にも、今までの経験から様々な細々としたスキルを得ていた。


「本当に、テトは優秀ね」

「ほへっ? 魔女様、褒めてくれたのです! 嬉しいのです!」


 言動がややアホの子っぽいが、一度言われたことはすぐに覚えて、身に付ける天才である。


 そして、私も自分のステータスを確認する。


 名前:チセ(転生者)

 Lv50

 体力750/750

 魔力6250/6250


 スキル【杖術Lv1】【原初魔法Lv6】【身体強化Lv3】【調合Lv3】……etc

 ユニークスキル【創造魔法】


 総合力は、テトの方が強いだろう。

 だけど、私もちゃんと成長している。


「老いが遅くなるってことは、成長も遅くなるのよね」


 魔力が増えれば、老いが遅くなると言われているが、それはどの程度なのだろうか?

 これから魔力量が増えれば、より老いが遅くなり、一定の魔力量を超えると不老になってしまうと予想する。


「永遠の12歳、ロリババァになるのね。想像するだけでゾッとするわ」


 幼い外見から侮られることが多くなりそうである。

 いつかはその対策が欲しいものだ。

 不老は、人間の身体能力が最も高い17~20歳くらいで固定化してくれることを望むが、それは無理かも知れない。


「最悪、魔力量を膨大に増やして、実体のある幻影魔法でそれっぽく見せるか」


 まさに魔力の無駄遣いだろうが、【不思議な木の実】ならそれも可能にしてくれるだろう、と思いながら、新たに一個創造し、齧りながらテトと一緒に進んでいくのだった。



この一ヶ月、ありがとうございました。

この続きは、未定ですが、気が向いたら書こうかと思います。


読んでいただきありがとうございます。

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