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魔力チートな魔女になりました~創造魔法で気ままな異世界生活~  作者: アロハ座長
4章【掘り起こされた機械侍女と女神の依頼】
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27話【港町での散歩】


 私たちが滞在するローバイル王国の港町は、この国でも五本の指に入るほど大きな町だ。


 海辺には、漁業を中心とする漁港と浜辺の製塩設備や獲れた魚介類を干物などに加工する工場区画。そして、貿易港の三つが区分けされている。

 漁業を中心とする漁港には、小型船が並び、夜明け前から漁師たちが海に魚を捕りに出かけている。

 加工区画では、この町の女性たちが海水を製塩プールに運び、日光と風の力で水分を蒸発させて、濃度の高い海水を作っている。

 貿易港では、ローバイルの王都や南方の貿易港、更に大陸を沿うように航行してきた大陸南部や西部の国々の船が泊まり、商品を積み卸し、商人たちが商売のやり取りをしている。

 また、海に流れ込む河川は、流れが緩やかなので、船で遡上して上流の町々にも物流が生まれている。


「魔女様、活気があるのですね」

「そうね。落ち着いたら商業区画の方に行ってみましょう」


 私とテトは、朝の散歩として海岸近くまでやってきて、この町の人々の活気を見つめていた。

 そして、漁師たちが朝の漁を終えて戻ってくるので、私とテトは、そのまま朝市の方に出かける。

 取れ立て新鮮な魚が並び、それを屋台で調理しており、私とテトは、屋台を巡っていく。


『いらっしゃい、いらっしゃい! 新鮮な魚の炭焼きだよぉ!』

『魚介類のトマトスープだよ! 漁で冷えた体にはいい一杯だ!』

『こっちは、貝の網焼きだぞ! 秘伝の塩辛調味料が絶品だぞ!』

『これは、南方の調味料で作られたソースを掛けた魚のフライだぞ!』

『南方名産の穀物を平鍋で炊き込んだパエリアだぞ!』


 秘伝の塩辛調味料とは、魚醤の類いではないだろうか。他にも複数の野菜や果物を熟成させたソースの類い、それに米まであり、食文化も中々に高いようだ。


「古代魔法文明の崩壊を逃れた食文化の片鱗が残っているのかな。それともこれまでに来た転生者たちが伝えたのかな」


 もしそうなら、この港町の露店にある多様な食文化には、歴史とロマン、先人の転生者たちの逞しさを感じることができる。


「魔女様は、何を食べるのですか?」

「そうね。魚の塩焼きとパエリアを食べたいわね」


【創造魔法】で作り出せる米とは、少し品種が違うかもしれないが、人が作る米料理に出会えたことは嬉しく思う。


「テトは、トマトスープと魚のフライと貝の網焼きを食べるのです!」

「じゃあ、買いましょうか」


 私とテトは、それぞれの屋台に周り、それらを購入し、屋台での食事を助けてくれる屋外テーブル席で朝食を取る。


「うん。新鮮な魚ね。ふんわりと焼けていて美味しい。パエリアもトマトと魚介スープの旨味が染み込んでいて美味しい」

「トマトスープは優しい味なのです。これは、好きなのです。それとこっちの貝の網焼きと魚のフライは美味しいですけど、魔女様の持つ調味料を掛けた方がもっと美味しくなるのです!」

「ああ、醤油とソースね。まぁ、アレは、特別だからね」


 日本の食品メーカーが研究に研究を重ねた醤油とソースを【創造魔法】で再現したのだ。

 安心と信頼の調味料は、我が家の家庭でも人気である。


「後で市場で食材を買って、醤油やソースを試しましょう。それにイカとかエビを買って、シーフードカレーにしてもいいかもね」

「おー、カレー好きなのです! 楽しみにしているのです!」


 そうして朝の屋台を楽しんだ後、鮮魚を仕入れに朝市に向かう。

 そこでは、朝に食べた食材の他にも少し内地側の村々から運ばれた野菜、貿易港の方から流れてきた商品なども並び賑わっている。


「どれも美味しそうね」

「魔女様、どれを買うのですか?」


 テトは、様々な食材を吟味する私を楽しそうに見つめている。


「いらっしゃい。この時期の取れ立て野菜は旨いよ!」

「こっちの朝に水揚げされたばかりの鮮魚だって負けていないよ」

「これは、旬の食材ね。美味しそうだから、これを四本ずつ貰えるかしら?」


 旬の野菜やこの時期に美味しい魚などを八百屋や魚屋のおじさんたちに尋ねながら、購入する。

 ローブ姿の変わった格好で買い物に来た少女である私とその買い物を見守る美少女のテトを見たお店の人たちは、にこやかに対応してくれる。

 市場の人と話す時は、フードを外して視線を合わせて、食材について尋ねるので、市場の人たちからは、魔法使いの弟子か何かと思われる。

 そして、お店の人がオマケをくれる時は、この成長しない不老の体であることに少しだけ得した気分になる。


「魔女様、魔女様。あのお魚、美味しそう」

「あー、時期は早いけどサンマっぽいわね。調理法としては、サンマの塩焼きや開いて蒲焼き、竜田揚げ、梅肉煮とかもあるわね」


 私も白いご飯と一緒に食べる場面を想像して食べたくなり、それらを買って帰る。

 そうして当てもなく次々と食材を買っていくと気付いたら、庶民的な市場から貿易港の商店街に入り込んだようだ。


「ここから先は食べ物はなさそうだけど、テトはどうする?」

「うーん。行けるところまで行くのです!」

「わかったわ。掘り出し物がないか探しましょう」


 自国や他国の船で運ばれてきた商品が集まるこの場所で面白い物がないか、探しに行く。



GCノベルズ様より『魔力チートな魔女になりました』1巻が発売しました。

またガンガン・オンラインにて春原シン様の作画でコミカライズが決定しました。


ぜひ、よろしくおねがいします。

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GCノベルズより『魔力チートな魔女になりました』7巻9月30日発売。
イラストレーターは、てつぶた様です。
作画、春原シン様によるコミカライズが決定。

魔力チートな魔女になりました 魔力チートな魔女コミック

ファンタジア文庫より『オンリーセンス・オンライン』発売中。
イラストレーターは、mmu様、キャラ原案は、ゆきさん様です。
コミカライズ作画は、羽仁倉雲先生です。

オンリーセンス・オンライン オンリーセンス・オンライン

ファンタジア文庫より『モンスター・ファクトリー』シリーズ発売中。
イラストレーターは、夜ノみつき様です。

モンスター・ファクトリー
― 新着の感想 ―
[気になる点] そして、猟師たちが朝の漁を終えて戻ってくるので、私とテトは、そのまま朝市の方に出かける。 猟師ではなく漁師ですね
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