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魔力チートな魔女になりました~創造魔法で気ままな異世界生活~  作者: アロハ座長
4章【掘り起こされた機械侍女と女神の依頼】
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24話【地脈制御魔導具】


 思わぬ大雨で足止めされた私たちは、廃坑の町の住人たちに見送られて、町を出る。

 魔力を含む大雨は、畑や周囲の木々の生気を取り戻し、以前よりも豊かな森に作り替えていた。


「チセちゃん、テトお姉ちゃん。忘れないでね」

「ええ、ここでの出来事は忘れないわ」

「はいなのです! ここでの出来事は楽しかったのです!」


 すっかり私とテトに懐いたアリムちゃんは、泣きながら私たちと別れる。

 旅を続ける冒険者ゆえに、また会いに来るという保証はないために、下手な約束はしない。

 だけど、互いに忘れずに楽しい思い出として残しておくことにした。

 そして、町を出てある程度歩き進んだところで私たちは、空飛ぶ絨毯を取り出す。


「さて、近くの冒険者ギルドに寄って依頼をこなしながら、海の幸を食べつつ、王都を目指しましょう」

「はいなのです! ついでに美味しい料理があったら、ベレッタに教えるのです!」


 そうして私たちは、空飛ぶ絨毯に乗って、街道を進んでいく。

 私は、空から地上の景色を眺め、テトは、廃坑で取れた虫の魔物の魔石を飴玉のように口の中に入れていく。


「マザーが地脈を吸い上げていた影響は、あったのね」


 この数十年で【不思議な木の実】を食べ続けた結果、増えた魔力を目に集中させ、地脈を見るために焦点を合わせるように調節する。

 今まで見ていた魔力の流れ――それよりも更に一段深い魔力の流れを見ることができる。

 最早、魔眼とも言える魔力視認能力で見下ろす地脈は、緑の太い筋が大地に脈打っていた。


 元々は、廃坑の地下の鉱石に魔力を吸わせて金属を変質させていたが、その余剰魔力をマザーが吸収し、更に地脈の魔力までも吸っていたために、地脈の下流に流れる魔力が減っていたが、それが徐々に正常に戻っているようだ。


「最近のローバイルでの不作は、これで解消かしらね」


 ガルド獣人国まで逃げてきた盗賊を思い出して、そう呟く。

 いずれ地脈の流れも正常に戻り、不作が解消すればいいなと思いながら、空飛ぶ絨毯で進んでいく。

 そして旅の途中、街道から逸れた場所に土魔法で小屋を建てて結界を張り、【虚無の荒野】に一時帰還する。


 …………

 ……

 …



『ご主人様、テト様。お帰りなさいませ』

「ベレッタ。お願いがあるんだけどいいかな?」

『なんでございますか?』

「巨大魔物を倒したから、その死体を解体しましょう」

『わかりました。今より、メイドたちを呼び集め、手伝わせましょう』

「お願いね。それとこの生き物も森に放してね」


 急な帰宅にも驚かず、移動の途中に探して捕まえた野兎の番い数組や土鳩の番い数組などの生き物を預ける。


「よーし、やるのです!」


 そしてあの廃坑で倒した母体魔物のマザーの死体を外で取り出し、テトが魔剣である程度解体しやすい大きさにぶつ切りにして、メイドたちが各部位を分けていく。


『ご主人様、特大サイズの魔石が発見されました』

「わかったわ。――《サイコキネシス》」


 私は、切り開いた体から重力魔法で現れた紫色の魔石を持ち上げ、その後、水魔法で洗浄する。

 巨大魔物であるマザーの魔石は、推定Sランクだ。


「綺麗な色なのです、食べたいのです」


 テトは、一通りの解体を終えて、私が浮かべる魔石を見つめる。

 30階層級のダンジョンコアよりも二回りほど大きな巨大魔石に涎を垂らしているが、これには使い道を考えているのだ。


「テト、これはダメよ。【虚無の荒野】の地脈制御用に使うんだから」

「そうなのですか、残念なのです」


 そう言うとテトは、マジックバッグから倒した虫の魔物の魔石を取り出して、ポリポリと食べる。

 ここ二ヶ月で倒した五万匹を超える虫の魔物の魔石は、量だけなら巨大魔物を凌ぐので、それで我慢してもらおう。

【虚無の荒野】の地表は少しずつ植樹による森林再生と共に、動植物が発する魔力が空気中を満たしている。

 だが、空気中には魔力が少しずつ満ちているものの、地脈の魔力の流れは途絶えたままである。

 放置しても地表に魔力が満たされつつあるために、その魔力が次第に地中に染み込み、地脈が自然と再生するだろう。

 だが、その過程で魔力の滞りなどで、ダンジョンや魔物の活性化が起こる可能性があるし、手を加えた方がより早くに再生する。


「それなら、先に地脈制御をこちらから主導でやればいいわよね」


 初期は、地脈を再生させるために、制御装置の魔石に魔力を与えて、地脈の根を広げる。

 地脈が再生した後は、逆に地脈に溜まる余剰魔力を吸い上げて、蓄えるつもりだ。


「さて、作りましょうか。――《クリエイション》地脈制御魔導具!」


 私は、自身の魔力と蓄えた魔晶石の魔力――合計150万魔力量を使って魔導具を作る。

 そして、その管理魔導具――正確には魔石を固定して台座形制御魔導具を作る。


「ベレッタ、これの設置に適した場所を教えてくれる?」

『それでは、館の裏の別館に制御装置を設置しましょう。それから現在私が管理している制御魔導具とリンクさせて、こちらでも常にモニターしておきます』

「ありがとう、ベレッタ」


 こうした管理や制御に関しては、奉仕人形だったベレッタに任せるのが非常に安心だ。

 そして、早速設置した制御魔導具を管理用魔導具でモニターした結果、【虚無の荒野】の地脈は、壊滅状態だった。

 千切れた地脈が赤い点線のようになっている。

 

 ただ地表で生成される魔力が少しだけ地中に染み渡り、千切れたライン同士が伸びて再生の兆しは見える。


「ふぅ、あとは、地脈が再生するようにこちらから制御魔導具で誘導を掛けたり、不要に繋がって、魔力溜まりができないように吸い上げたりすればいいかな?」


 魔力災害の原因である魔力溜まりを発散し、未然に防げれば、その分の魔力での地脈の再生が進む。

 魔力は、あればいい影響を及ぼすが、溜まり過ぎれば悪さをする。


「さて、それじゃあ、片付けましょうか」


 奉仕人形たちの解体で分かったことだが、マザーは産卵機能に特化した存在だったようで、魔石以外に使える素材は無く、全て火魔法で焼却して、清潔化のクリーンの魔法で綺麗に土に還す。

 そして、解体の臭いが気になり、テトと一緒にお風呂に入り、夕飯を取ってから、虚無の荒野の屋敷で一泊した。

 寝る前に、私の魔力を地脈制御の魔石に注ぐと、紫が一瞬、緑色に変わり、そして地脈再生に使われたのか再び紫に戻る。

 そして、この屋敷を中心とした地脈が制御魔導具で僅かに伸びたのを確認してから、テトと一緒に眠りに就いた。

魔力チートな魔女になりました1巻は、GCノベルズ様より12月26日発売となります。

イラストレーターは、てつぶた様が担当し、とても可愛らしくも大人びたチセが表紙を飾っております。

書店購入特典には――


ゲーマーズ様より、SSペーパー

虎の穴様より、SSイラストカード

TSUTAYA様より、SSイラストカード

メロンブックス様より、SSイラストカード


――以上の書店で配布予定となっております。

また書籍のアンケートにお答え頂くと書き下ろしSSを読むことができます。

ぜひ、よろしくお願いします。

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GCノベルズより『魔力チートな魔女になりました』7巻9月30日発売。
イラストレーターは、てつぶた様です。
作画、春原シン様によるコミカライズが決定。

魔力チートな魔女になりました 魔力チートな魔女コミック

ファンタジア文庫より『オンリーセンス・オンライン』発売中。
イラストレーターは、mmu様、キャラ原案は、ゆきさん様です。
コミカライズ作画は、羽仁倉雲先生です。

オンリーセンス・オンライン オンリーセンス・オンライン

ファンタジア文庫より『モンスター・ファクトリー』シリーズ発売中。
イラストレーターは、夜ノみつき様です。

モンスター・ファクトリー
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