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魔力チートな魔女になりました~創造魔法で気ままな異世界生活~  作者: アロハ座長
4章【掘り起こされた機械侍女と女神の依頼】
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17話【盗賊団の追跡】


 森から逃げてきた子どもたちの話を聞けば、町への盗賊の襲撃と合わせて、森の方にも盗賊が現れて、子どもたちを誘拐して逃げていったのだ。

 その中には、宿屋の娘のアリムちゃんも含まれており、自分の無力さや苛立ちを感じる。


「とりあえず、町に戻りましょう」


 今は目の前の子どもたちを安全に町まで送り届ける必要がある。

 悔しさと攫われた子たちへの焦りを感じながらも、町に戻れば、テトたちが既に盗賊たちを捕まえて、地面に頭だけ出したような形で埋めていた。


「魔女様~、こっちは、全部片付いたのですよ!」


 そう言って、手を振るテトは、盗賊たちを一人も殺さずに無力化したようだ。

 そして今は、ドワーフの自警団たちによって尋問されており、詳しい話を知ることができた。


 今回の盗賊たちは、ガルド獣人国で出会った【黄牙団】と同じ、元々不作で食い詰めた者たちだ。

 そんな彼らの目的は、かつて魔法金属の鉱山として栄えた町に残された名工が作った魔法金属でできた武器を手に入れるために襲ってきたそうだ。

 それを手に入れて売り払えば、多額の金銭を手に入れる――と唆されたそうだ。


「それで被害は?」

「町長宅に保存されていた名工の魔剣が奪われ、子どもたちも誘拐されました」

「この盗賊たちは、囮ね」

「こっちが本命なのです!」


 そして、テトによって隔離された一人の盗賊は、見窄らしい格好で紛れていたが、武器や身のこなしがタダの盗賊ではないために、テトが優先して確保し、私の魔力放出の威圧で心を折ってから尋問した。

 その結果、ガルド獣人国に盗賊の【黄牙団】を送り込み、人攫いを目論んだ犯罪組織の構成員の一人らしい。


「目的は、名工の魔剣とドワーフの子どもたちだったのね」


 魔剣は、戦力の底上げになるし、売れば金になる。

 亜人であるドワーフの子どもは、様々な用途の奴隷として人気の商品となるらしい。

 そのために食い詰めた農民を扇動して、囮として町を襲撃し、その隙に名工の魔剣と子どもたちを攫って、どこかに運び出す予定だったらしい。


「町の自警団の人たちは、このまま盗賊の監視と町の警備、それから渡したポーションで住人の治療に当たって」

「チセちゃんとテトちゃんは、どうするんだい?」


 自警団のリーダーに尋ねられれば、もちろん、言うべきことは決まっている。


「盗賊を追って、攫われた子どもたちを取り戻す」


 普通だったら、後手に回り子どもを攫った盗賊を追い掛けるのは、難しい。

 更に、逃げ出せた子どもの証言で盗賊たちは、馬を持っており、既に日も暮れようとしている。

 普通だったら、諦めてしまうことだろう。


 だが――


「チセちゃんなら、大丈夫だよな」


 自警団たちは、見たのだ。

 馬よりも早く空を飛ぶ箒に乗る私たちの姿を。

 また馬のように休憩を挟む必要もなく一昼夜飛べるために、どんな相手も逃さず追い掛けられる。


「アリムを、アリムをお願いします」


 自警団の間から現れたのは、お世話になっている宿屋のドワーフ夫婦や攫われたドワーフの子の親たちが集まっている。


「ええ、絶対に連れて帰るわ。行くわよ、テト!」

「はいなのです!」


 私は、空飛ぶ箒の後ろにテトを乗せて、再び空に飛び上がる。

 そして、大きく旋回して、上空で停滞する。


「子どもたちが連れていかれた場所は……」


 私は、箒を飛ばしながら、膨大な魔力感知の範囲を広げていく。


 1キロ、10キロ……まだ見つからない。

 30キロ、50キロ……と更に距離が広がるほどに、爆発的に増える情報量を【並列思考】スキルで処理していくが、その情報の多さに頭が痛む。

 60キロ…………いた!


「東に67キロ先、移動中の馬車の中ね!」


 海に出て、船で他国に運搬するのかもしれない。

 日が暮れるのに、子どもたちを攫った盗賊の馬車が止まる気配はない。


「それじゃあ、行くのです!」


 結界魔法で空飛ぶ箒の周りを覆い、空気抵抗を減らして一気に空を駆ける。

 飛翔魔法を組み込んだ空飛ぶ箒から放たれる緑色の魔力光が緑の尾のように残る。

 時速100キロを超える速度で、障害のない空を駆け、一直線に魔力感知で捉えた馬車に向かっていく。


 そして――


「追い付いた。テト!」

「はいなのです! ――《アース・ウォール》なのです!」


 加速する空飛ぶ箒から飛び降り、慣性の勢いのまま地面を駆けるテトが大地に触れると逃げる馬車の前方に三メートルほどの土壁が競り上がって道を塞ぐ。

 その後、悠然と空飛ぶ箒を降りた私は、テトの隣に並び、盗賊たちを見つめる。




魔力チートな魔女になりました1巻は、GCノベルズ様より12月26日発売となります。

イラストレーターは、てつぶた様が担当し、とても可愛らしくも大人びたチセが表紙を飾っております。

書店購入特典には――


ゲーマーズ様より、SSペーパー

虎の穴様より、SSイラストカード

TSUTAYA様より、SSイラストカード

メロンブックス様より、SSイラストカード


――以上の書店で配布予定となっております。

また書籍のアンケートにお答え頂くと書き下ろしSSを読むことができます。

ぜひ、よろしくお願いします。

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GCノベルズより『魔力チートな魔女になりました』7巻9月30日発売。
イラストレーターは、てつぶた様です。
作画、春原シン様によるコミカライズが決定。

魔力チートな魔女になりました 魔力チートな魔女コミック

ファンタジア文庫より『オンリーセンス・オンライン』発売中。
イラストレーターは、mmu様、キャラ原案は、ゆきさん様です。
コミカライズ作画は、羽仁倉雲先生です。

オンリーセンス・オンライン オンリーセンス・オンライン

ファンタジア文庫より『モンスター・ファクトリー』シリーズ発売中。
イラストレーターは、夜ノみつき様です。

モンスター・ファクトリー
― 新着の感想 ―
馬車の強度や重さで変わるが、襲歩で時速約35km前後、襲歩を維持できるのは5分前後。 4頭立ての駅馬車が天候に恵まれてた上で、舗装路だと1日で最大180km そうでない場合いけても70km位。 流石に…
[気になる点] 襲撃開始から獲物の確保、のち一部離脱だとして、離脱からの経過時間と道の状態と馬車の出せる速度からしてて、67キロは遠ざかり過ぎなのでは? 田舎道を馬車で馬を乗りつぶすつもりで移動しても…
[一言] 100話おめでとうごさいますー‼︎これからも応援してます。
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