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それは置いといて、一発殴らせろ

最近流行(?)のおっさんが実は勇者的な作品を読んで思いついたから書いてみた。

練習がてら描いてみましたが、文章も安定せず、グダグダです。

「はあぁ!」

 振り下ろした聖剣が魔物を切り裂く。

 どうやら今のが最後だったらしく、周りには魔物の死体が散乱している。

「お疲れ様です、勇者様。」

 仲間の一人が声をかけてくる。

「皆、怪我はないか?」

 努めてらしく振舞うが、声をかけられた仲間、武の聖女は顔を赤らめてしまう。

 勇者

 もしも現実でそんな呼び名をされれば悶絶しているだろう。

 むしろそんな呼び名をされる事自体勇者と言える。

 事実、この世界に召喚され、勇者様と呼ばれた時は悶絶ものだった。

 だが、この世界では国の長、つまり国王と同じ、いや、それ以上の権力を持つ称号だ。

 そして、漫画や小説のようにチーレム(チートとハーレム)の称号でもある。

「それより、ラッシュさんは無事ですか?」

 そう聞くと、顔を赤らめていた武の聖女は一気に熱が冷めたような無表情になり、吐き捨てる様に答えた。

「あぁ、あのゴミですか? 無事ですよ。逃げ足だけは一人前ですから、怪我一つ負っていません。」

「そうか。」

 それを聞いて息を吐く。

 もしも彼に何かあれば、それこそ取り返しのつかない事になる。

 そう思いながら、この世界に召喚された時の事を思い出した。



 桜井 由春(さくらい よしはる)はどこにでもいる高校生のはずだった。

 多少運が悪いものの、あまり他と変わらないはずである。

 唯一違うとすれば、友人が自称小説家であり、キャラの名前に採用されたくらいだ。

 読まされた時は悶絶した。

 内容は異世界に勇者として召喚され、女神から祝福を受けて、聖女たちとハーレムを築きながら魔王討伐に出るというテンプレなものだ。

 だが、借り物の力であり、本物の勇者が覚醒すると力を失うというもの。

 その小説では勇者の覚醒と共に力を失い、みっともなく喚いた挙句、現実世界に戻されるらしい。

 その後が書かれていないが、いわゆるザマァである。

 読み終えて感想を聞かれて、取り敢えず殴っておいた。

 本人は、いずれ分かる時が来ると言っていたが、他称厨二の言う事など無視していた。

 それから平凡な日が続くはずだった。

 だが、事実は小説より奇なりと言うもので、本当に異世界に召喚された。

 それもあいつが書いた小説通り、5月の雨の日に。

 その日はテスト前の最終週であった為、何人かが図書室で勉強していた。

 俺も同じ様に勉強していたら、いきなり床が光って、幾何学模様の円が現れ、円から出れなくなった。

 何とか助けを呼ぼうとするが、誰も気付かない。

 円の光が増してきた時、友人が眼に映った。

 勉強嫌いで図書室と無縁の友人が図書室いる事に誰も違和感を持っていない様で、俺は不気味に思えた。

 そして俺は、友人がニヤリと笑いながら、口を開くのを見た。

 声は聞こえなかったが、何故かはっきりと何を言ったのか分かった。

【いってらっしゃい】



 そして目覚めると、辺り一面真っ白な場所にいた。

「よくぞ参られました。」

 出迎えてくれた人物(?)は微笑みながら、こちらを見ている。

「私は」

「一つ質問する。あの阿保は何者だ?」

 その質問に、挙動不審な態度となり、色々と白状してくれた。

 この人物はいわゆる神様らしい。

 ただし、まだまだ若いがそれなりに優秀であるが故に他の神から嫌がらせを受けているとの事。

 その結果、自分が管理する世界に魔王と呼ばれる存在が発生してしまったらしい。

 本来なら即座に処分してしまいたい所だが、嫌がらせの一環で世界へ干渉する為の道具を隠されたらしい。

 何とか自力で信託を下ろし、加護を与えた者を勇者とし、魔王を倒す算段を付けたが、またしても嫌がらせを受け、加護を与えた者の加護が封印されてしまった。

 その封印も勇者の意思で解けるらしいが、護りたいという強い気持ちが必要らしく、加護を与えた者は気弱な為、破るのに多くの試練が必要らしい。

 そこで知り合いの神に相談したら、友人を送ると言われ、俺が送られたらしい。

 取り敢えず元の世界に戻れるかと聞くと戻れるらしいが、魔王を何とかしてくださいと土下座されたので、魔王を倒したら返してもらう事となり、チートをもらう事になった。

 そして、友人が書いた小説通り、勇者として魔王討伐に出ることとなった。



 それが役半年前。

 勇者であるラッシュさん(37歳)は熟練の冒険者で、常に最悪の自体を想定をしながら動く事ができる優秀な方だ。

 そのせいで臆病者と呼ばれ、神様からも気弱と言われる。

 だが、その腕は周りが馬鹿にするものと裏腹に、非常に優秀だ。

 魔王討伐のメンバーに彼を選んだ時、国の偉いさん達はかなり反抗した。

 神の加護を持つとされる聖女がメンバーに選ばれたが、他は貴族の、それも自分達に所縁のある者を推薦してきたからだ。

 だから勇者の権力を使って、推薦された者とラッシュさんを戦わせた。

 最初は魔王討伐の参加に渋っていたラッシュさんだが、世界の為ではなく次代を生きる者達の為に力を貸して欲しいと言うと、快く参加を決意してくれた。

 ラッシュさんの実力は冒険者の中でも指折りで、推薦されたボンクラがゴミの様に転がされている。

 貴族の阿呆どもはラッシュさんを野蛮な冒険者風情と罵るが、魔王討伐に必要なのはくだらん権力ではなく実力だと言ってやると、それ以上何も言わなくなった。

 何故ならメンバーに選ばれたラッシュさんの他は加護を持つとされる聖女2名に魔術の天才と呼ばれる王女。

 ボンクラ供が束になっても敵わないのだ。

 ちなみに、国王はラッシュさんの参加に反対しなかった。

 そんなこんなで魔王討伐が開始した。

 旅をしながらサバイバル技術をラッシュさんに色々教わりつつ、王女から魔王を、武の聖女から剣の扱いを、治癒の聖女から神術を学び、旅を続けていた。

 ただ、悲しきかな。ラッシュさんも年には勝てず、強行軍はできない。

 その為、旅はゆっくりとしたものになっていた。

 また、王女は魔王討伐後の事を考えて俺を籠絡しようとしてくるし、聖女の2人は俺を神に選ばれた勇者と勘違いしてアプローチを勧めてくる。

 その為か、かなり肩身が狭い思いをしている。

 まぁ、年とアプローチだけが原因ではないのだが。

 ちなみに、何やら良からぬ噂も流れている。

 俺は本物の勇者がラッシュさんだと知っているから、借り物の力にアプローチをかけてくる3人と出来る限り距離を取ろうとしていた。

 その為、男色であり、ラッシュさんをメンバーに加えたのはラッシュさんが好みの男性だからと言うもので、一時期ラッシュさんの見る目が怖かった。

 誤解は解けたが、偶にガタイの良い男が俺を変な目で見てくる事があった。



 そんなこんなで、今魔王の間に辿り着いた。

 いやいや、ラッシュさんまだ覚醒してくれないんだけど。

 本来なら四天王戦で覚醒するはずなのに、あいつら小説に出てきた時より弱いんだが。

 しかたなく魔王の間に入る。

 王座に座っていた魔王は、嗤いながら話しかけてくる。

「ふはははは、神に踊らされた愚か者め。」

 あ、そういえばこいつ、他の神が送り込んできたお邪魔キャラなんだよな。

 だから俺が偽物って知ってるはずだ。

「まぁ良い。神を超える為に得たこの力、貴様らで試させてもらう。」

 そう言って戦いが始まる。

 ちなみに、あいつの小説には魔王との戦いは書かれていない。

 四天王戦で覚醒して魔王瞬殺される内容だったから、対策が立てれていない。

 だからこそ初見での戦いだ。

 神様からもらったチートで何とか渡り合おうとするが、自力が違いすぎる。

 一般人がチートを持っても扱いきれない。軽自動車にスポーツカーのエンジン載せるのと同じだ。

 アンバランスな俺に対して、神に作られた体と能力を持つこいつは、言わば専用にチューニングされた専用車だ。

 四天王は対策してたけど、こいつに勝てる道理はない。

「見たか! もはや我が力は神を超えている。偽物の勇者よ、貴様を血祭りに上げ、この世界の神を我が手中に抑えてくれる!」

「に、偽物の勇者だと?」

 武の聖女が問うと、魔王は楽しそうに答える。

「なんだ、知らなかったのか。その男は勇者ではない。力を封じられた勇者の代わりに召喚された、言わば被害者よ。」

「そんな。」

 満身創痍である武の聖女がこちらを見るが、事実である為何も言わない。

「ふ、どこかにいる本物の勇者はいずれ殺してくれる。」

 その言葉に俺は笑いが込み上げてきた。

「ははは、何も知らねぇのはお前も同じか。」

「何?」

「あー、思い出したわ。これでテメェの負けが確定した。」

 そうだ。思い出した。ラッシュさんの覚醒イベントは、全員が窮地になった時だ。

 四天王戦は読んだから対策立てて戦ったから、窮地になる事は無かった。

「ふん、気でも狂ったか。偽物の勇者よ。貴様を殺すのは最後だ。」

 そう言って、魔王は武の聖女に近づくが、その間に割り込む者がいた。

「悪いが、この子達は殺させねぇよ。」

 ラッシュさんがボロボロの体に鞭打って剣を構える。

「たとえ死んだとしても、この子達は守ってみせる。」

 そう言った途端、ラッシュさんの体が淡い光に包まれる。

「そ、その光は!」

 驚く魔王と討伐メンバー達。

 だが、俺からすれば漸くといった状況だ。

「これは。」

 ただ、ラッシュさんも驚いている。

「やってください、ラッシュさん! 勇者としての力を取り戻した貴方なら、魔王くらい簡単に倒せるはずです。」

 魔王を含めた全員が俺を見るが、我に帰った魔王がラッシュさんに襲いかかる。

 それを余裕で捌き、一刀で斬り伏せる。

 苦戦していた魔王をたった一撃で倒した。

 呆気ない幕切れに、俺を除く全員ポカーン。

 確かに、魔王戦は書く事ないなと思っていると、ラッシュさんが寄ってきた。

 そこで俺の知る事を全て話した。

 俺が偽物の勇者である事。

 魔王が言っていた事の詳細を。

 だから3人と出来る限り距離を取っていた事を

 そして、俺が元の世界に戻る事を伝えると、ラッシュさんは悲しそうにしていた。

 今まで魔王軍と戦ってきたのは、偽物であれ俺である。

 その功績を最後の最後で奪うような形になり、面目が立たないとの事。

 また、気の知れた友人がいなくなるから、寂しくなると言われた。

「はははは。そんな事より、もっと大事な事があるでしょ。」

「そんな事って。」

「きちんと娘や婚約者と向き合わないと。」

 そう言って、3人を見る。

 どうやら3人とも何も知らなかったらしいが、聖女の2人は神の加護を宿していた為、生まれてすぐ神殿に引き取られた。

 それも大分強引なやり方だったらしく、それに反発したラッシュさんは家を潰されたそうだ。

 それまでは国王の友人であり、近衛騎士であった。

 子供を奪われ、そのショックで妻を亡くしたラッシュさん。

 それでも国に忠誠を誓ってくれる彼に対し、国王は娘を娶れと言ったそうだ。

 3人は何も知らなかったようで、戸惑いを隠せない。

 そんな話をしていると、王女が声を上げる。

 見ると俺の足が無くなっている。

 どうやら元の世界に戻るようだ。

 最後に全員を見渡して、別れを告げる。

 そこで俺の意識は途絶えた。



 雨が上がり、夕暮れ時の図書室で眠る少年がいた。

 すでに他の生徒はおらず、意識を取り戻した少年は寝ぼけた様子で辺りを見渡す。

「起きたか。」

 そこには友人がいた。

「ラッシュさんは、どうなった?」

「勇者として祭り上げられたよ。王女を娶って娘達とも仲良くなって、ハッピーエンドだ。」

「そうか。」

 ああいう人は幸せになるべきだ。

「で、ものは相談なんだが。」

 そう言って、友人は何冊かのノートを見せてきた。

「他にも行って欲しい世界があるんだ。どこ行きたい?」

「よし、とりあえず一発殴らせろ。」

クオリティ低くて申し訳ない。

登場キャラで王女や治癒の聖女が全く話さないけど、会話させてまとめる自信がなかったから、名前だけ。

ラッシュさん視点も考えたが、作るかどうかは取り敢えず寝てから考える。

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[良い点] 「ああいう人は幸せになるべきだ。」に全面的に同意します。 [気になる点] 修正の提案です。  何とか自力で(信託)を下ろし←神託 魔王を倒したら(返して)もらう事となり←帰して それが(役…
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