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炎に巻かれた魔女は転生して  作者: カラスの子
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杖が見せたモノ?

幼稚園編はここまでです。

方向性は決まったので、書く速度上がると良いなぁ。



 私の小さな手の平の中に爪楊枝程の小さな杖がある。

 白銀の杖。

 本来の大きさは二メートル程。

 悪魔が変化したと言われるだけあって、大きさどころか形さえ変わる事が出来るので、私の前に突き刺さった杖を慌てて手にし小さいくして隠した。

 誰にも見られていないと思う。


 夕食後、自室に籠って小さい杖を眺めていたが意を決して杖を強く手にする。


 「解放!」


 「て、ま、まずい!?」


 手にした杖が大きく慌てて今の体で掴める大きさまで小さくする。

 危なかった。

 それにしても。

 杖を見れば、本来の状態ではないが、転生しここが何処の次元かさえ分からないと言うのに、この杖は小さい魔法一つを使っただけで出現した。

 本当に悪魔が変化でもしたのだろうか?

 

 この杖の本来の姿は、黒い球体に六枚のコウモリの様な翼を広げている。

 その姿故に悪魔が変化したと言われたのだけれど。

 今は翼を閉じ、只の杖の様に成っている。


 それでも纏う魔力は高く。流石に、向こうでの時ほどの魔力は無いが、富士山頂くらいには杖の周囲は魔素が濃く成っている。


 大魔法は難しいかも知れないけれど、これなら上手く使えば下位どころか中位の魔法も使える。


 と言ってもここで試す程の勇気はない。

 でも試したい。


 考えた末、小さな魔法を使う事にした。


 部屋の中で試すのなら、炎系や水系は失敗時が怖いので避ける。

 簡単な風や光が良いか?


 窓を開けて、夜空に向かって風を送る。

 試したのは最初微風程度だったが徐々に送る風を大きくして扇風機の強程度まで上げてやめた。

 この程度なら問題ないが、これ以上は室内では不味そうだ。だけれど、手応えは掴めた。


 杖が無ければこんな魔法さえ使え無かったからだ。


 次は光。

 夜も明るいこの世界では、使ったところで意味は無さそうだけれど、逆に、そのお陰で目立つ事も無さそうだ。


「光よ!」


 手の平の上に小さな光球を作り出す。

 スマホの画面くらいの光が作られるが、明るい部屋のでは目立たない。それでも夜が暗かった向こうの世界ではこの程度の明かりさえ多くの人に望まれた。


 LEDの光の下に浮かぶ魔法の光は押さえているとはいえ、儚く弱々しく見えた。





 次の日の幼稚園は大変だった。

 昨日の誘拐事件のせいだ。

 犯人は捕まったものの、近くで起きた事件だった為。保護者や幼稚園は騒がしかった。


 私もお父さんが珍しく送ってくれた。


 「おはよう!なるみちゃん、メイちゃん」


 「「おはよう、みおちゃん!」」


 メイちゃんとなるみちゃんは声を揃えて挨拶して来た。

 保護者たちは保育園の先生達の所に行き、私達は子供達だけで集まる。


 メイちゃんとなるみちゃんに駆け寄ろうとした時だ。

 ポケットに入れていた白銀の杖がブッンと震えたかと思うと周囲が一変した。


 「はぇ?」


 突然、一変した世界。だが、私はその光景を知っていた。


 赤と白の世界。

 前世の世界に存在したこちらで言う世界樹、その奥底の世界。

 空も大地も赤黒く、世界樹の根だけが白く輝く場所。


 ここは世界樹の地下世界でありながら、世界樹の意思の世界。


 『おっぉぉぉぉ』


 「な、なに?!」


 不意に響いた不気味な声に振り返る。

 そこに居たのは人だった。

 それも私が知っている人物。


 「デック?」


 私のかつての友人にして、私を魔女として売った人物の一人。


 「デック!!!!!!!!」


 私は込み上げた怒りのままに叫ぶが、デックは多々悲鳴を上げるだけで此方さえ見はしない。


 何を叫んで・・・。


 デックが叫んでいる言葉。

 それは私のかつての名だった。


 デックが一際大きく叫ぶと黒い何かが生き物の様に溢れでて、気持ち悪い赤い目でこちらを睨んだ。


 「ひっ!」


 瞬間、世界が元に戻る。

 だけど、私は茫然としたまま惚けていた。


 「みおちゃん?」


 いつの間にか側によっていた二人が不思議そうな顔でこちらを見ている。


 「な、何でもないよ。お部屋行こう」


 そう言って二人の手を取ろうとして気がついた。いつの間にか、手の中に杖を握りしめていたのだ。

 まさか、あれはツエが見せた幻なのか?


 それにしてはリアル過ぎるけれど。私は杖を懐に仕舞い込み。改めて、二人の手を取って、建物に向かうけど。手は震えていた。

 あの謎の黒い者達の赤い目に。


 悪意いや憎々しげに見ていた赤い目に。


 力を付けないと。

 かつての魔法使いとしての本能か、それを強く感じていた。

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