転生
熱い!
熱い!
炎が、私を包む。
私は、魔女なんかでは無い。
私は、魔女では無い。
私は、私達は只国の為。人々の為に戦っただけ。
私は、魔女なんかでは無い!
あぁ、誰か。
誰か助けて。
誰か。
「オギャーオギャー!」
ここは?
眩しい光が私を照らしている。
不思議な言葉が聞こえるが、言葉の意味は分からない。
不意に、甘く優しい香と温もりが私を包んだ。
その温もりが新しい母だと分かるのはもう少ししてから、魔女と呼ばれ炎に焼かれた筈の私は異世界へと転生して居た。
ただ、それを知るのは更に後。
三才に成った頃に、ようやく気がついた。
何処までボケてんだか。
白実・美桜
それが私のこの世界での名前。
元はこの世界とは違う世界で生きていた魔法使いだったが、悪魔と契約した魔女として殺された。
どうして転生したのか何て分からなかった。しかも、異世界にだ。
異世界の存在の有無は、この世界でも同じ様だが民間のオカルトでは信じられても、私達の様な魔法を使えるもの達の間では机上の空論とさえ言われ。
転生に至っては、古代永遠の命を求める為政者たちが求めた一つの方法として研究された歴史も持つが、実現した例は皆無であり。
転生など、妄想の産物とさえ言われていた。
それが起きるんだものね。
最初、転生した事は理解出来た。
これは現に赤ん坊に成っていながら、意識がある事で現実として理解出来たからだった。
ただ、それが異世界だと知るにはそれなりに時間が掛かった。
転生して意外に長い間、私はここは何処か遠い異国だと思っていた。
おかげで異世界だと理解するのに、時間を要してしまった。
言葉自体は、獣魔言語の魔法で理解出来た。獣魔言語はその名前の通りに普通は話が出来ない生き物と話す為の魔法だが、知らない異国の言葉にも対応出来る。
それが行けなかったのよね。
獣魔言語の魔法は、無機物つまりはテレビなどには効かなかっただけで無く。人の会話を魔法で自動的に翻訳される為に、私自身のこの世界での言葉の理解に支障を来していたのだ。
結果、言語発達が遅いと母親を心配させてしまったり。
自動車の事を、赤ちゃん語であるブーブーと本気で思っていたりしたけれど。
今は、ちゃんと覚えました。
ただ、この新しい体はとても魔力が少ない。
眠れば回復するとは言っても獣魔言語の様な初級魔法を数回使えば、魔力が枯渇して眠くなる。最も、この世界の人々に魔力はない様子。
当然、魔法も無い。
その代わりなのだろうか。
魔法でも再現出来ない科学の力が生活の細部にまで広がっている。
魔法の使用は極力控えないと行けないけれど、将来、魔力が増えるのかは少し心配している。
「ま、しばらく使う事も無いでしょう」
だって、私はまだ三才。
「みお、どうかしたの?」
「何でも無いよ、ママ。早く行こう」
この世界に私を産んでくれた新しい母親の手を取って、小さな手と足で急ぐのは、私が今日入園する。
近所の幼稚園。
まだ、幼稚園に通う様な子供なのだから。