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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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機内にて

室田達はDの用意した車で無事ヤクーツク空港に到着。

車は空港駐車場に乗り捨て、今はエカテリンブルクからモスクワへ約2時間のフライト中である。

因みに銃火器だが、本来なら機内への持ち込みは不可、、、当然である。

しかしマシンナーズは肉体そのものが武器化されている事もあり、皆が特例で銃器携行許可を得ている。よって室田、有働、ヤコブの拳銃はニコライと楓に預ける事で持ち込みに成功していた。


必要最低限の武器のみを持ち込み、RPGなどの重火器やグレネードなどの爆発物はシベリアにて廃棄している。

それらはフランスに到着次第、スケアクロウの者により補充される手筈となっていた。

あ、、1つ大事な事を記すのを忘れる所だった、、、お漏らしをした室田は空港にて着替えを購入、トイレにて着替えを済ませている。


話を元に戻そう、、、

その頃、あるニュースが世界中を騒がせていた。

Dの軍門に降っていなかった最後の大国、中国がDへの協力体制を表明したのである。

隣国が核により壊滅させられても反旗を翻していた中国が、何故このタイミングで?

人々は疑問に感じたが、これには大きな理由があった。


エネルギー、金融、食糧、政治、軍事、、、

これらを掌握出来たなら、それは世界を手中におさめたに等しい。

そしてDは今やそれら全てを手にしている。

この事を武器にDは中国政府へと迫ったのである。

反抗心の塊の様な国、、、軍事圧力で降らぬ事はDも理解していた。

そこでDが切ったカードは、、、金融である。


Dにより世界が変わりつつある今、貨幣価値は右肩下がりとなっている。

しかし未だ各国の貨幣がそのまま使用されているのは、Dが貿易、為替などの面に規制を敷いていないからである。

それはせめてもの救いとも言えた。


だがDはここにきて中国政府に申し渡した。

これ以上逆らうならばそれらを規制し、中国人全ての資産も凍結する、、、と。

当初こそ脅しに屈しない姿勢を見せていた政府だったが、これに難色を示したのは大陸から離れて暮らす、多くの華僑である。


実際問題この頃、中国の財政を含む国力は華僑に依存していると言って過言では無かった。

その後ろ添えが無くなるとあれば、国その物が疲弊、弱体するのは目に見えている。

華僑としてもその莫大な財力が、凍結により押さえ込まれるのはたまった物では無い。

そこで世界中の華僑を束ねる長、陳 大老が政府を交渉の上に説得したという訳だ。


しかし中国は無条件降伏をした訳では無い。

国は明け渡さず、あくまで協力国としての立ち位置を示した。

それは大国として最後の意地だったのかもしれないが、意外な事にDもこれを承諾。

こうしてDと中国政府の間で友好条約が正式に結ばれた。

これが数日前の事であり、今日になって世界に公表されたのだった。


これにより中国企業の銘柄をメインに株価は上昇。暫し暗く沈んでいた経済界が久々に活気を取り戻した。

勿論このニュースは室田達も機内のモニターで目にしていた。


「むぅ、、、えらい事になったのぅ、、、」


「あぁ、、、恐らくDの奴は中国民を全てゲームの対象から外すだろう。これにより莫大な人員と土地や資源を手にし、、、そして財力にも輪がかかったって訳だ、、、」

横並びに座る室田と有働、苦い顔で言葉を交わす。


「これで実質、イスラム圏国家以外の全てがDの手に落ちたって事ね、、、」

楓までが暗い表情となっている。

そしてそれに頷いたヤコブが隣で口を開く。


「ユダヤ人が秘密結社イルミニティやフリーメイソンを団結させ、レジスタンスを組織しつつあるって聞いたが焼け石に水、、、だろうな」


巨体の為、2座席を1人で占領しているニコライだけが、巨大な鉄の腕を窮屈に組み、無言でモニターを睨んでいた。

だが、今や室田一行は世界的有名人である。

勿論、敵意を持った者も多数居る、、、そんな中でこのニコライの姿は目立ち過ぎる。

言うならば「室田御一行様」と書いたプラカードを持って、周囲に居場所を報せている様なものである。


(やはり一般路線での移動は無理があるかのぅ)

室田は内心そう思っていた。

そしてその不安は的中する事となる。

高度1万mの上空で、、、


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