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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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分岐

20m程進んだ所で最初の分岐点が現れた。

右へ曲がるか、直進するか、、、

更に少し先には左への分岐も見えている。


「さて、どうするかの」


「ここは2手に分かれて探す方が早いと思うが、、、」


「ん~、、、正直まだラスプーチンの言葉は信じきれないのよねぇ、、、戦力を分断するのは危険な気もするんだけど、、、」


「オレ・も・かえデ・ト・どうイケん・ダ・いまノ・フォーめーしょン・で・ススむ・のが・トクさく・ダト・おもウガ、、、」


ヤコブの提案に楓とニコライは否定的である。


「うむぅ、、、」

1つ唸った室田がチラリと有働を見やった。


「お主はどう思っとるんじゃ?」

その問いにポリポリと首筋を掻きながら、面倒くさそうに答える有働。


「ラスプーチンの言葉は信じていいと思うぜ。いや、、、正直、奴自身は信用出来ねぇが、JJが現れその口からもルールが説明された事で、ラスプーチンの言葉の信用度もグンと跳ね上がった。JJ、、、Dの側近ともあろう男が、つまらん小細工をするとは思えねぇからな。

とにかく時間がねぇ、ここは2手に分かれるべきだ」


「なるほど。それもそうじゃな、、、

ならば先と同じ組み合わせに分かれ、楓とヤコブはこのまま直進。有働とニコライは右の道を探索。ワシは楓組に同行する。何かあればインカムで連絡を取る事、、、以上じゃ」


「え~っ!?又このゴリラとかよっ!その組み合わせ、異議を申し立てるぜっ!!」


有働が駄々っ子よろしく地団駄を踏むが、誰一人それには反応しない。

楓、ヤコブ、室田の3人は完全無視で直ぐに歩き始めた。


「サテ、、、こちらモ・ウゴく・ぞ、、、ゴリら・が・イッしょ・デ・もうシワケ・ないガナッ」

皮肉と共に右の道へと入るニコライ。

口を尖らせた有働が、渋々それに続いた。


そして直進した楓組だが、直ぐに訪れた次の分岐で再び足を止めていた。

「ねぇムロティー、どうやら危険は無さそうだし、私はステルスのまま左の道に進んでみようと思うんだけど?」


一瞬だけ考える仕草をした室田だったが

「まあ良かろう」

と、意外な程あっさり楓の申し出を飲んだ。


「じゃあヤコブ、ムロティーの事お願いね」


「心得ている。君も気をつけてな」


姿は見えぬが頷いたであろう楓。

擦る様なゆっくりとした足音が、少しずつ遠退いて行った。


一方、有働とニコライ。

少し歩くと通路の左右に鉄格子が見えてきた。

それは小部屋に分かれており、どうやらかつて牢として使用されていたらしい。

右手に2部屋、左手にも2部屋。そして前方は行き止まりとなっている。

有働が左耳を押さえ、インカムに話し始めた。


「聞こえるか爺さん?」


「ああ、電波は良好じゃわい」


「こちらは行き止まりだが、地下牢になっていた。今から牢の中を探索する。オーバー」


「うむ、了解じゃ。くれぐれも気をつけてな。どうぞ、、、いや、オーバー」


「ハハハ、わざわざ言い直さなくても、どうぞでいいじゃねぇか。とりあえず何か見つけたら直ぐに連絡するぜ。んじゃ、そっちも気をつけろよ。アウト」


通信を切ると有働は、ニコライと一緒にそれぞれ牢の扉を開きにかかる、、、

が、施錠されているのか、錆びついているのか、全ての扉はビクリとも動かない。


「難儀やのぅ、、、」


「ドイて・いロ」

ぼやく有働を押し退けたニコライが、ゴツい己の左手を扉へと向ける。

手首が内側へと折れ込み、現れたのは巨大な銃口の様な穴。

そこから、これまた巨大な鉄の杭が凄まじい勢いで飛び出し、そして又凄まじい勢いで直ぐに引っ込んだ。

その目にも止まらぬ高速ピストンが、轟音と共に扉を破壊する、、、分厚い鉄の扉が、まるでダンボールの様にひしゃげていた。

淡路島のドライブインでヤクザ共の車を破壊した、あのパイルバンカーである。


同じ要領で、4つの扉全てを消し飛ばしたニコライが何事も無かったかの様に言う。

「サア、、、しらベヨウ」


「カァ~~ッ!凄まじいなソレ、、、

そんなの見せつけられたら、今後はからかうのを控えようかって気になっちまうぜ」


それを聞いたニコライはニヤリと笑みを浮かべ

「ヨイ・こころガケ・だ」

そう言うと、今、己が開いたばかりの場所を一足先に潜って行く。

見ていた有働には、それはそれはとても窮屈そうに映っていた。

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