質疑応答 2
「とにかくだ、、、今日の所は我による支配を告げるに止めよう。
とりあえず当面は大きく変わる事は無い、暫く諸君は今まで通りの生活を続けてくれれば良い。
それと、付き合ってくれたお礼だ、、、
本日最後のショーをお見せしよう」
またもDが指を鳴らす。
すると先と同じく首脳陣の姿が一瞬歪み、再びその容姿を変化させた。
今回はDも含めた8人全員がである。
その姿を見た報道陣の頭上に疑問符が浮く。
確かに見覚えはある面々だが、どうにもはっきりと名が思い付かない。
戸惑う皆へ、姿を変え酷く恰幅の良くなったDが口を開いた。
「フム、顔や肉体を変えてもスーツ姿のままだとピンとは来ぬか、、、ならばこう言えば判るかな?、、、」
一瞬だけ間を置きDの吐いた言葉、、、それは
「鳴かぬなら、鳴くまで待とう、不如帰、、、、」
「!!!」
皆の脳裡を雷が撃ち抜く。
先まで高井戸首相だった男、、、Dの今の姿は確かに教科書で見たあの絵に似ているのだ。
そしてその他の7人。
ヒトラー、エジソン、ガウディ、、、判る顔が半分、未だピンと来ない顔が半分、、、
そこへ再びDの声が響く。
「やはり写真が残りし者の事は判っても、肖像画のみの者は判らぬ様だな、、、
ならば紹介しよう。ショパン、シェークスピア、ミケランジェロ、ノストラダムス、、、
どうだね、豪華であろう?どれも歴史に名を遺した者達だが、この姿とて我等の一部でしか無いのだよ。
さて、それはそうと、、、」
ここまで言うとスーツの左袖を捲ったD。
どうやら時間を確認したらしい。
「そろそろかな、、、」
その呟きを聞き逃さず、すかさず記者が問う。
「そろそろとは?」
「ん?いや何、めでたき今日の日に華を添えようと思ってな、大きな花火を用意しておいたのだよ。その打ち上げの時間がそろそろだと思ってね」
「花火?」
「そう、それも特大のな」
Dの口角が歪に上がる、、、
「その花火はこの場所で見れるのですか?」
そろりと尋ねる記者だが、何故だか汗が止まらなかった。
「フフフ、まさかまさか。
いや、実はね新世界創造にあたり、邪魔にしかならない国が幾つかあってね、、、」
「ま、まさか、、花火というのは、、、」
記者の顔がみるみる青ざめた。
「フム、そうじゃよ。ミサイルという名の花火じゃよ」
家康の顔でありながら、その口からミサイルという単語が吐かれる、、、それはシュールな絵面だが、勿論誰一人笑える者など居ない。
押し黙る者達を他所に、軽い口調でDが言う。
「さて、それではそろそろ我等は御暇するとしよう。これより我はある場所にて暫し過ごす事となる。
そこでだ、この中継にて我等の正体に気付きし者よ、勇気あるならば訪ねて来るが良い。
場所は明言せぬが、定期的にヒントは与えよう、、、待っておるぞ」
「ヒントとはどこで見れるのですか?」
「近く、動画サイトにチャンネルを開設する。賢しき者が我まで辿り着かん事を、、、」
それだけ言い残したD、他の首脳陣同様車に乗り込むと、長い列を成し警備隊と共に姿を消した。
その場に残された報道陣は、未だ目の前で見た事を受け止める事が出来ずにいる。
それはテレビの前の者達も同じであった。
そして彼等の目にするテレビ画面に電子音と共にニュース速報が流れる。
ピッピーピッピー♪
(A国とB国に複数の弾道ミサイルが着弾した模様。詳細は未だ不明、、、)




