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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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シベリア上空

ブリッジに上がると先ず一行は、先程ありつけなかった食事を摂る事にした。

余程嬉しかったのか楓などは、カツカレーを前にして心無しか目を潤ませてる様にも見える。


食事を済ませると、今度は装備品の調達に武器庫へ、、、

丸腰だった有働と室田にもハンドガンを選ばせる。

基本的に室田の事は周囲の皆が護るのだが、万一の時の護身用という事で、ジャム(弾詰まり)も起こらず初心者でも使いやすい、リボルバーをニコライが薦めた。


そうして室田が選んだのは

「コルト・シングルアクション・アーミー」

西部劇で保安官が持っている銃は、大抵これである。

その様子を見て有働が言う。


「爺さん、アンタ知っててそれを選んだのかい?」


「何をじゃ?」


「アンタが持ってるソイツ、、、ソイツにはある通称があんだよ。アンタにピッタリの、、、な」


「ワシにピッタリ?どういう意味じゃい?」

怪訝な表情の室田に対し、終始ニヤついたままの有働。

しかし最後は、これ以上無いという程のキメ顔でその問いに答えた。


「ソイツの通称はピースメーカー。平和を生みし者、、、な?今のアンタにピッタリだろ?」

キメ顔でリーゼントを撫で上げる有働の後ろから、聞こえよがしにヒソヒソ声がする。


「ニコライ、見た?今の流石っちの顔、、、」


「アア、、、みタ、、、」


「すんごいドヤ顔したよね?超キモいんですけど、、、」


「ウム、、、さつイ・スラ・わくナ、、、」




「全部聞こえとるわっ!!ヒソヒソ話なら、全力でヒソヒソ話しやがれっ!!」

そうどなった後もブツブツぼやいている有働に、今度はヤコブがソロリと声を掛けた。


「お怒りのところすまない、、、1つ相談なのだが、俺の銃はリボルバーだろ?だが今後の事を考えると装弾数の多いオートマの方が良いと思うんだ、、、で、どうせならマガジンを共有出来るようにお前と同じ銃にしようかと思ってるんだが、、、」


「ん?あぁ、、、いいんじゃね、、、」

そっけ無く答えながら有働が手にした銃、

それはハンドガンとしては世界最強と呼ばれるデザートイーグル。

しかもその中で最も威力の高い50AE弾使用モデルである。

それを見てヤコブが、浮かんだ疑問をそのままぶつける。


「なぁ、、、不死身のミミックを相手にするなら、威力は重視する必要無くないか?

一時的に動きを止める足止めにしか使えんのだし、、、」


「ミミックが相手なら、、、な」

思い詰めた顔で、意味深な言葉だけを残しその場を立ち去った有働。

その背を見送りながら首を傾げたヤコブだったが、何やら決心したらしく1つ頷くと、やはり有働と同じモデルをその手に取っていた。



そして今、一行は空の上に居る。

機体はYS-11、、、日本初の国産飛行機であり、博物館行きレベルの代物と言える。

ロシモフ曰く

「こちらの業務に支障をきたさず、、、と、なると渡せる機体はコイツしかねぇ」

だ、そうである。

そう言われてしまっては同じ会社の人間としてニコライも楓も納得せざるを得ない、、、特に経営者である室田は首を縦に振るしか無かった。


とは言えスケアクロウの一流メカニックが手を加え、オートパイロット機能まで備わっている。

そして勿論、整備も存分に行き届いていた。


ただし、この機体には致命的な欠点が1つ、、、

極端にパワーが弱く、圧倒的にスピードも遅い。

ジャンボ機ならばロシアまで8時間そこそこで到着するのだが、この欠点のお陰でシベリア上空に着いた時には10時間が経過していた。

途中、端末へDからと思われるデータが転送されて来た。

開いて見ると、そこには座標が記されており、どうやらそこに着陸せよという事らしい。


到着すると、パイロットを務めていたスケアクロウ社員はその光景に我が目を疑った。

「う、、嘘だろ、、、」

思わず言葉が漏れる。


眼下に立ち並ぶ誘導灯、、、

しかしそれは滑走路などでは無く、封鎖された高速道路であった。

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