質疑応答 1
「諸君が一番知りたいであろう事。先ずはそれに答えよう。我々が何者か、、、
我等とて元々は人間だった。そして人間の手により人間を超えさせられた、、、とだけ答えておこう」
静かに語るDの表情は、その口調と同じく穏やかな物だった。
「つ、、つまり人の手に造られた、、、と?」
「フッ、、さぁてね。恐らくこの中継を目にしている者の中には、我々に心当りのある者も少なくないのでは無かろうか、、いや我々の出現により焦りを感じている、、といった所か?」
「、、、で、では質問を変えます、、首相、、いやMr.D、、新たな指導者を名乗られましたが、その真意は?」
「真意?そんな物は無いよ、言った言葉そのままの意でしかない。今すぐという訳では無いが近い将来、国という枠組みすら世界から消える。そして私が世界唯一の指導者、この世の全てを統べる絶対者となる、、それだけの事だ。
因みにだが、、、この高井戸首相の姿は私の本体では無い。いや、私の姿の1つであるのは確かなのだが。
まぁ、その辺りの事は諸君も追々理解出来る事だろうがね、、、」
「そんな暴挙を世界が黙ってる訳が無いっ!」
1人の記者が声を荒げると、虫けらを見る様な目を向けたDが底冷えする声を響かせる。
「君はジャーナリストを名乗るには知能が足りぬようだな、、、考えてみたまえ。先ずはここに居る警備にあたっている者達、、、彼等がこの状況で何故に動かぬか。
そして我々が何故に首脳陣の姿をしていたのか、、、答えは1つ。
既に政府、警察、軍部、放送局など各国の中枢は我等の手にある、、、という事だ」
「ほ、本物の首脳陣は何処へ?」
「だから先も言ったでは無いか。勘違いして貰っては困るのだが、我々は先程から化けている訳では無いのだよ。
簡単に言うならば、取り込み、己の一部にした、、、そういう事だ。」
「と、取り込んだ?固く護られた各国のTOPに不審者が近付くなど不可能だっ!そんな話が信じられるかっ!!」
尚も喰い下がった記者に対し、今度は憐れみの視線を投げるD。
「やはり君は残念な人間だな。
いきなり本丸を狙う訳など無かろう。
しかし下から準々に潰して行くのはそう難しい事では無いのだよ。
つまり下っ端の議員から取り込み、秘書やSPそして家族と段階的に近付いただけの話だ。
長い年月はかけてしまったがね、、、」
「人類への復讐、、、滅ぼすのが目的か?」
「まさかまさかっ!君達は大事な労働力であり資源なのだから」
「資源?」
「そう、、時に知的財産であり、時に食糧としてね。」
「!!」
「そうだな解りやすく言うならば、我々は世界を舞台に諸君を養殖、、、いや、放牧するっ!!」




