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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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マシンナーズ

10年程前、日本の某自動車会社と某国立大学による共同研究の末、ある技術が確立された。

それは「ガジェット・プロジェクト」と呼ばれ、再生医療では手に負えない人達を救う目的の物だった。

つまり何らかの理由で失った四肢や臓器、それらを機械化し無理なく肉体と合致させる技術である。


脳から発せられる信号を感知し、元々の肉体と遜色無いレベルで動く機械の肉体。

その完成度は素晴らしく、最終的には脳以外の全ての部位を機械化させる事が可能となった。

そしてそれから5年ようやく認可がおり、医療としての実用化が始まる。

しかし、それは悲劇の始まりでもあった。


本来、医療目的で開発されたはずの技術、、、

しかし人間は愚かしく、人を救う為だったそれは、いつしか人を殺す為の物へと流用される事となる。

日本での実用化を皮切りに世界が知る事となった「ガジェット・プロジェクト」

それを各国軍部が見逃す訳も無く、当然の如く軍事応用が成されたのだ。


それでも最初は当初の目的に沿った倫理的な物だった。身体を欠損した兵士に新たな肉体を与え、再び軍に復帰させる、、、

しかしそれは次第にエスカレートし、真っ当な肉体を持つ兵士達にまでその手を伸ばし始める。

より屈強な兵士を造り出す事が目的とされ始めたのだ。


これにより造り出されし機械化された兵士達、、、人は彼等を「マシンナーズ」と呼び、大いなる畏怖の対象としたのである。


そして楓とニコライ、この2人もその落とし子と言えた。

室田の横に立ち、腕を組む楓。

髪型はショートボブで、凛としたその顔は化粧など施していなくともとても美しい。

どうやら頭部は生身のままらしかった。

首から下は身体に密着したタイトなコンバットスーツに包まれており、鈍く銀色に輝くそれは、細かい鱗の様な表面となっているが、それが何を意味するのかは判らない。


右腿に巻かれたホルスターにはハンドガンが1挺。コルト・ガバメントをベースにカスタムしたオリジナルらしい。

そして背面の腰部には大きめのナイフケースが装着されており、あまり見ない形状のグリップがその姿を晒している。

どうやらこちらは完全オリジナルの物らしい。


楓より少し遅れてニコライも室田の横へと並ぶ。

身体だけでは無く、その顔までがゴツゴツとしており、その姿は岩を削った彫像を想わせた。

金髪を後ろに束ねているが、ポニーテールほどに長い物では無く、申し訳程度の括り目が出来ているのみである。


身体は上下とも迷彩柄の軍服を着込んでいる。

上着は肩口で袖を破っており、そこから見える両腕は肘から先が金属だった。

ズボンは恐ろしい程に太く、特注品であるのが判る。その太さはどうやらその内側にある物が理由らしく、恐らく脚部も機械化されているのであろうと予想出来る。


そして何より目につくのは、両眼がスコープとなっており、カメレオンの眼の様に見た方向へクイクイと動いている。

見る限り武器は携行してない様子であった。


自らの近くへ立った彼等を一瞥し、室田が釘をさす。

「さっきも言うたが、この中継が終わるまで静かになっ!!」


目の前のテレビではDと記者団による質疑応答が流れていた、、、



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