謎
意気揚々とタバコに火を点け、興奮気味に鼻から煙を吐く有働。
それを睨んだ室田が言う。
「そうやって勿体ぶるのがお主の悪い癖じゃて、、、JJが言ったそのとんでも無い事とやら、早く聞かせてみぃ」
「頭がいいのに、大事な事には気付かない。
それがアンタの悪い癖じゃて、、、まぁまぁ、焦りなさんな」
そう言って有働は皮肉な笑みを返した。
「流石っちの言う通りね。どうせ暫くは身動き取れないんだしさ、焦ってもしょうがないわムロティー」
室田へそう言ってから、同意を求める様にニコライを見やった楓。
それを受けて、ニコライが徐に口を開いた。
「タシかに・そうダガ、、、じょうホウ・ヲ・あツめル・コト・は・ひつヨウ・ダ。
そしテ・ソノ・とんデモ・ない・コト・とやラ、、、オレも・きづイタ」
「え、、、マジで?」
「本当かぇ?ニコライ、、、」
楓と室田が呆気に取られる中、有働だけがニコライへ笑顔を向ける。
「ほぅ、やるじゃん兄弟っ!」
「キョウダい・いうナ・と・ナンど・いエバ・ワかるンダ・おマエ・は、、、」
半ば諦めた様にニコライの口調は弱々しい。
「てかさぁ、俺的にはあんな重要な事に気付かない方が、どうかしてるぜっ!?」
いつもの通り、ニコライからの非難は無視をして、有働が言葉を返した。
それに対し、唇を尖らせた楓が中指を立てて見せ、つられた室田も中指を立てる。
しかし有働はそれすらも無視してこう続けた。
「じゃ、せっかくだし、、、その気付いた事とやら、兄弟の口から報告して貰うとするか」
もはや兄弟という単語に反応するのも面倒、、、そんな風情でニコライが小さく首を振る。
「さぁさぁ兄弟っ!照れずに言ってみよぅっ!!」
1つ鼻息を鳴らしてから静かに口を開くニコライ。
「アノ・JJ・とか・イう・おトコ、、、たしカニ・こう・イっタ、、、すうヒャクねん・ジンるい・ヲ・みツヅケて・きた、、、ト」
「ザッツ・ライッ!」
指を鳴らして有働が叫んだ。
そして室田の表情を窺う様に見ながら続ける。
「ここまで言やぁ、さすがに爺さんも気付いたろうよ?つまりDを筆頭にあの歴史上の人物達は、生き返ったんでは無く、生き続けて来たって事になる、、、て、事は?」
ムゥと唸った室田、目を見開き、額をじんわりと湿らせている。
気を落ち着かせようとタバコに火を点けるが、動揺からか小刻みに震えている為に上手くいかない。
見かねた有働が、自分のライターで火を点けてやりながら再び尋ねた。
「て、事は?」
大きく煙を吸い込み、少し落ち着きを取り戻したらしい室田。
天を仰ぎ、煙を吐きながらポツポツと言葉を繋ぐ。
「ワシが、、、ワシがミミック細胞を作り出したのは、たかだか数年前。奴等がもし本当に、数百年生き続けておるのじゃとしたら、、、ミミック細胞と奴等は無関係、、、という事になる、、、」
「ピンポ~ン♪」
重い空気の中で、人差し指を立てた有働がご陽気な正解音を口にした。
それを睨んだ室田が苦々しく言い捨てる。
「ほんにお主は空気を読まぬ奴よのっ!」
誰も誉めてはいないのだが、何故か頭を掻いて照れる有働。
そこへニコライが再び口を開いた。
「ムロてぃー・Dとの・ツウわ・ノ・エイぞう・ロクが・して・イルか?」
「ん?おぉ、、、念の為にしておるが、、、それがどうした?」
「モウひとツ・キヅいた・コト・が・アル、、、」
その言葉で咄嗟に有働を見た室田。
それは言葉には出さないが
「お主も何か気付いたか?」
そう問うている。
それを受けた有働は、首を振りこう呟いた。
「マジか?兄弟、、、」




