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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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古の法に依りて

「トンでもナい・コト・に・なっタナ、、、」


「確かにな、、、奴がどんな基準でランクを振り分けるかは判らんが、恐らくAAAとAには各分野で優れた実績を残した者を選考するはずだ。

と、なると大多数の人間はBとCにランクされるはず、、、」


「そしてその半分は、私達をDの元へ行かせまいと敵に回る、、、という事ね」


3人が意見を求めるように室田を見る。

それを受けチラリとだけ視線を返すと、室田はタバコに手を伸ばした。

気持ちを落ち着かせるように深くそれを吸い込み、溜め息と共に煙を吐き出すと、ようやく苦々しく言葉も吐いた。


「これで図式が変わってしもうたわぃ」


「ズしき?」


「ウム、Dの出現とその時に奴の語った今後のプラン、、、それによりD対人類という図式が成り立っておった。しかしじゃ、今回奴の言うゲームとやらのお陰でそれが崩れ去ったという事じゃよ、、、」


「爺さんの言う通りだ。しかもだ、事は室田対一部の人間なんて生易しいもんじゃねぇ。

俺達を行かせたいYグループの人間と、行かせたくないXグループの人間、この2つのグループの間にも必ず争いが起きるだろうよ、、、」

そう言った有働は苛立ちを抑えようと、しきりに爪を噛んでいる。


「つまり今回の件でその図式は、人類対人類に書き換わった、、、そういう事ね」


「D、、、おそロシい・オとこ・ダな、、、」


「しかも厄介なのは、ワシらに牙を剥いて来るのが殆んど一般人という事じゃ。当然そやつらはワシの事を殺しにかかって来るじゃろう。

その時にこちらがどう出るか、、、じゃ。

身を守る為とはいえ、罪も無い一般人を傷つける事、、、いや、現実には殺さねばならん事の方が多かろうよ。出来る事なら避けたい事じゃが、そうも言っておれん、、、

そこでじゃ、お主らにその覚悟はあるか?」


猛禽類の様な鋭い目で室田が問う。

そしてそれに最初に答えたのは有働だった。


「爺さんよ、、、武装して殺しにかかって来る、その時点でもうそいつらはパンピーじゃねぇよ。

確かによ、Dから一方的に押し付けられた死が目前に迫る連中だ、同情すべき点はあるさ。

でもそいつらも、自分が助かる為には他の人間の死には目を瞑るって考えな訳だ。

そういった連中に情けをかけてっとアンタがバカ見んぞ。

そもそもだ、死ぬ覚悟と殺す覚悟は等価交換でなきゃいけない。

その連中もアンタを殺す気なら、テメエも殺される覚悟で来やがれって事だよ」


「流石っちの言う通りよ。向かって来る相手に容赦するつもりは無いわ。その時はハンムラビ法典に則ってお相手するまでよ。

私達は貴方のガーディアンだもの」


「ハンむらビ・ホーてん?」

楓の言葉にキョトンとするニコライ。

そこへ有働がからかいついでに解説を入れた。


「オイオイ兄弟!ちぃと勉強が足りねぇぜ?

古代バビロニア・ハンムラビ王の定めし法典、、、目には目を、歯には歯をで有名なやつだよ」

ニヤニヤしながら言う有働を睨みつけ、ニコライが吼えた。

「キョウだい・イウなッ!!」


その騒がしさを制する様に室田が口を開いた。

「とにかくじゃっ!!これで何をさて置き、奴の居所を掴むのが先決となってしもうた。

Dの正体だのミミックの謎だのは奴に会えば判る事、後回しにせねばなるまいよ。

時間も無い事じゃ、ゲームが始まる前に少しでも情報を獲て策を練らねば、、、」


3人もそれに同意し静かに頷く。

そしてそのタイミングで再び、あの端末の着信音が鳴り響いた、、、

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