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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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ブ~ッ!!× 3人

室田一行についてきてもらい、借りたばかりのレンタカーを返しに行った有働。

そのまま室田達の車に同乗し、ポートピアホテルへと向かった。


Dが予約していた部屋は26階にある

「アンバサダースィートルーム」

120平米はある、このホテルで最高級の部屋であった。

白い壁と白い天井、シックな木目のインテリアが落ち着いた雰囲気を醸し出しているが、これから危険な旅になるかも知れぬ面々には、どこか似つかわしく無い。


Dから指定された部屋という事で、楓とニコライは警戒を怠らなかった。

ニコライは皆より先に部屋に入ると直ぐにカーテンを全て閉じ、クローゼットからバスルームまで隈無くチェックをした。

その間、楓が室田に付き添いガードを務める。


一先ず危険は無い事を確認したニコライが、10分後ようやく皆を招き入れた。

しかし今も部屋を歩き回っており、どうにも落ち着かない。


「もうええから座らんかっ!ただでさえデカい図体と言うに、落ち着かん事この上無いわっ!!」

室田が苛立ちを(あらわ)にすると、有働もそれに乗っかった。


「本当、本当、、、爺さんの言う通りだぜ。

座りなって兄弟!大体Dがその気ならいつでも俺達を殺れるはずだぜ?

こんな豪華な部屋に罠を張って呼び寄せる、、、そんなまどろっこしい真似するはずがねぇよ。折角のご厚意だ、束の間のセレブ気分味わう事にしようやっ!」


そう言うと有働は、冷蔵庫からビールを取り出しニコライと楓に投げ渡した。

室田と自分の分のビールも取り出し、2人に目を向けると、躊躇いがちにビールを見つめていた。そこへ室田が言う。


「そのアホウの言う通りじゃ。明日の中継をワシらに見せたい、そう言ってこの部屋を用意した。ならば少なくとも今日1日は、何かを仕掛けて来る事はあるまいよ。

とにかくこっちに座れて、今後の事も話したいでの」


着席した2人に自分のビールを突き出し、乾杯を迫る有働。

室田と楓は応じたが、案の定ニコライだけはそれを無視して一息にビールを飲み干した。


「ヒトつ・おマエに・いってオク、、、にどト・おレヲ・きょウだイ・なんテ・よブナっ!!」

空き缶を握り潰しながらそう言い捨てると、2本目を冷蔵庫から取り出したニコライ。

それを見て首を竦めた有働だが

「ツレないねぇ、、、」

その一言だけを呟き、ニコライの要求に対しては了解も拒否も明確にはしなかった。

そして室田へと視線を移し、真剣な眼差しで問い掛ける。


「で、、、なんでアンタがDと個人的に連絡を取り合ってるのか、、、そこん所を説明してもらおうか」

先程訊こうとして、室田に制された質問である。

室田が経緯を事細かに説明し、ようやく納得したらしい有働。


「なるほどねぇ、、、爺さん、どうやらアンタ余程見込まれたらしいな?」

そう言いビールをグビリと流し込むと、見る間に1本目が空となった。


「フン、、、なんの因果かは知らんがのぅ」

自嘲気味に溢した室田がつられて喉を潤す。

そして思い出したように有働へ問い掛けた。


「それはそうと、これからDを目指すならば当然日本を離れる事になろう、、、お主パスポートは、、、」

尻切れになった言葉が不安を匂わせている。


「抜かりはねぇよ、心配すんな爺さん!、、、ただし抜かりが無い代わりに旅費もねぇから、、、そこん所ヨロシク♪」


「お主、その持ち金でどうやってDを追うつもりだったんじゃ?」


「とりあえずアンタに会えばなんとかなる、、、そう信じてたんでね」


「、、、、、、」

頭を抱えた室田を横目に、今度は楓が有働に問う。


「因みにさぁ流石っち、実戦経験は?」


「ん?あぁ、一応あるよ」


「へぇ、、、意外~っ!」

感想を包み隠さず口にした楓。


「だって俺、、、」

喋り始めた有働と、それを見つめながらビールを口にした3人。


「特戦の出身だもの」


「ブ~ッ!!」× 3人

衝撃的な経歴を聞いた3人は、コントでしか見た事が無い程の見事なタイミングで、口に含んだビールを噴き出していた。


「ゴホッ、、ゴホッ、、と、特戦って、、、あの特殊作戦群の事?」


「ん?それ以外の特戦を俺は知らんよ」

飄々と答えた有働を、尚も3人が驚愕の表情で見つめている。

ニコライなどは動揺を隠し切れず、スコープが忙しなく動いたままとなっていた。

そんな3人を気にもせず、有働は静かに口を開いた。


「それはそうと、、、さっきDを見ていて気付いた事があるんだが、、、」

その言葉に室田が反応した。


「ほぅ、、、それは興味深いのぅ、、、

しかしそれを聞く前にお主に見て貰いたい物がある」

鞄から2通の封筒を取り出した室田。それをテーブルの上に投げ出し有働に問い掛けた。


「お主、、、これをどう見るね?」


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