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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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友、、、?

鞄から端末を取り出す室田。

しかしその恐ず恐ずとした動きに、有働が違和感を覚えた。


「どした?爺さん、早く出ねぇと切れちまうぜ?」


「わぁっとるわいっ!ったくお主は事情を知らぬから、、、」

ブツブツ言いながらも室田が着信を受けた。


端末に備わっているテレビ電話。

その画面に映ったのは、あの時と同じ部屋、そしてあの時と同じく年老いた姿だった。

つまりはオリジナルのDである。


「やあ、ミスター室田。

こちらの端末で話すのは初めてだね。

私がこうして本当の姿を晒し、直接話す人間は唯一貴方だけ、、、

フフフ、まるで友人のようでは無いか」


「フンッ、、それはそれは身に余る光栄、、、とでも言って欲しいのかぇ?

下らぬ無駄話はもうええっ!エシュロンシステムを牛耳った上に、この端末のGPS、、、どうせワシらの動きは把握しておろう?

その上このタイミングでうぬが連絡を寄越したのは偶然ではあるまい?」

苦々しく室田が言い棄てる。


「フフフ、まったくツレない事だ、、、

しかしその通りだよ、貴方達の動きは逐一把握している。いやね、研究所で動きが止まっているようなので、1度連絡しておこうと思ってね。かつての部下、、、新田といったかな?あの男、、、

その足取りを探ろうというつもりだろうが、そんな所で情報は得れんよ。その事を教えようと思ってね。」


「フンッ!全てを知っているかの様なその口ぶり、全くイケ好かんわいっ!

お主の言う通り、確かに研究所では情報は得れんかったかも知れん、じゃがここに来たお陰で結果的に新田の情報を手に出来たわい。

しかし、まさかロシア、、、とはのぅ、、、」


Dの反応を窺うようにロシアという単語を口にした室田。


「ほぅ、、、どうやらハッタリでは無いようだ。しかしその情報、どこから仕入れたのかな?」

Dが言うと同時に、楓とニコライが端末を覗き込んだ。更にそこに割り込むようにして有働も覗き込む。


「誰?この爺さん、、、茶飲み友達?」

知らぬというのは恐ろしい、有働が信じられない事を口にした。

それを聞いた室田、笑いを堪えながらこう答えた。

「茶は飲んだ事ぁ無いが友人じゃよ、、、なぁ?」


同意を求められたDも、愉快でたまらぬといった様子でこれに答える。

「フフフ、、、その通り。ミスター室田とは友人だよ、、、有働 流石くん」


不意に名を呼ばれ、有働の全身が力んだ。

「アンタ、、、俺の事、知ってんのかい?」

探る目で画面内の老人に問い掛ける。

しかしこれに答えたのは室田であった。

「そりゃそうじゃ。こやつは謂わばお主の飼い主じゃった男だでな」


室田の言葉の意味を理解したらしく、軽い震えを伴い有働の全身が更に力んだ。

「ま、まさか、、、」


「フフフ、この姿で会うのは初めてだ、判らなかったのも無理はない。

どれ、、、これなら見慣れていよう?」


静かに言うとDの輪郭が歪んだ。一瞬だけ磨りガラスのような質感へと変わり、再び人の姿を成した時、確かにそれは見慣れた姿であった。


「た、高、、井、、戸、、」

絞るようにその名を呼ぶ有働。


「おやおや?かつての飼い主を呼び捨てとは行儀の悪い子だ。

それはさておき、君が居る事で先の疑問が解けたよ。つまり君がミスターに情報を提供した、、、と。まあ良い、それは咎めまいよ。

とにかく、私がDという事だ、、、」


再び姿が歪み、オリジナルの姿へ戻ると

「以後お見知りおきを」

嗄れた声でそう付け加えた。


説明を求めるように室田を見た有働。

しかし室田はそれを手で制すと、Dに向かって話し掛ける。

「で、何用じゃて?」


「相変わらずせっかちな事。まあ良い、本題に入ろう、、、1つゲームを思いついたのでね、明日それを全世界に向けて発表する事にした。その事を貴方には先立って伝えておこうと思ってね。なんせ貴方がこのゲームの主人公なのだから、、、フフフ、、、」


満足そうに言い終えたD。

その顔はいつにも増して愉しそうであった。



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