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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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メッセージ

イタリアの貴族が、カーニバルの時期に身分を隠して楽しむ為に被る仮面、、、

それを被り黒いフード付きのローブを身に纏ったDが、深い溜め息と共に嘆きをアピールする。

「諸君の寄せてくれたコメントの数々、目を通させて貰ったよ。

やれ失った資産を返せだの、国という枠組が無くなるなら今後の通貨はどうなるだのと、駄菓子の如き下らぬ物ばかり、、、

この際だ、はっきり言っておこう。

我が君臨せし世界に於いて、人間社会のこれ迄のルールがどうなるか等は知った事では無い。逆に問おう、、、、

諸君ら人間が森林を伐採する時、、、

山肌を削りし時、、、

海を埋め立てし時、、、

そこに住む、他の生物の今後の生活の事にまで目を向けたかね?

向けてはおらんだろう?つまりはそういう事だよ。

いつまでも地上の覇者のつもりで居て貰っては困る。人類はこれまでに諸君が(ないがし)ろに扱って来た、他の種族と同じラインまでランクが下がったのだ。

いい加減その事を自覚して頂きたいものだ。

今や食物連鎖の頂点には、我々ネオヒューマンが立っている、、、

一部の者は我々に対し、悪意を持ってミミックという呼び名を用いている様だが、まぁ良いその事は咎めまいよ。

とにかく、諸君が今後も己の立場を理解せぬ様ならば、不本意ながら(仕分け)を行わねばならなくなる、、、我が求めるのは各分野にて優れた能力を発揮せし者。

そうでないくせに不平不満のみを発する者達は、滅する事もありうる、、、

その事は頭の隅に置いていてくれたまえよ。

さて、話題を変えよう、、、

一部の賢しき者は、我と会う手段を求めている様だ。それは我も望む事ゆえ、むしろ歓迎する事、、、邪魔立てはせぬ。もっとも容易く会うつもりも無いがな。

しかし前に約束した通り、居場所についてのヒントを与えよう。

我は今、日本を離れ、ある島に身を置いておる。そして正体についてもヒントを1つ、、、

D、それは名であって名では無い。

取り敢えず今日はこれ位にしておくよ。

人類にも我に従う者、反旗を翻す者、色々居よう。それと同じく我々の同族、、、諸君の言うミミックの中にも、人類を統べる意志の者も居れば、人類との共存を願う者も居る様だ。

つまり我を目指す者には、人類、ミミック共に協力者も敵対者も現れるという訳だ。

さて、どれ程の賢しき者が我に辿り着く事か、、、ゲーム感覚で楽しませてもらう事としよう。ではそろそろお別れの時間だ、このチャンネルにて又会おう、、、」


画面が暗転し、次に映った画面は照明の消えた誰も居ない部屋となっていた。

このメッセージは世界中の者同様、室田一行も勿論目にしていた。

ヤコブとの一件で時間を取った為、あの日は須磨のビジネスホテルに泊まり、翌日研究所へ向かう前にチャンネルを確認して、あのメッセージを見たのだった。

「フム、ヤコブの危惧は的を得ていたっちゅう訳じゃな、、、」

室田はそう言うと、タバコを探して各ポケットを手でまさぐった。

するとジャケットの内ポケットにある物に気がついた。

それはDの使いが端末と共に手渡した2通の封筒、、、それを取り出した室田


「そういやぁ、こんなのも受け取ったのぅ、、、完全に忘れとったわぃ、、、」

頭を掻きながら呑気にそれを見つめている。


「はあ?何それっ!?Dからの手紙?そんな大事な物、今まで開けずに持ってた訳?元教授とは名ばかりで、ひょっとしてバカなんじゃない!?」

嵐の様に楓の罵りが襲う。

モーター音が響き、ニコライのスコープアイが動く、、、恐らくは冷やかな視線を室田へとぶつけているのだろう。


「確かに、、、これはワシのミスだで返す言葉も無いわ、、、」

珍しく室田が小さくなり、己の非を認めた。


「取り敢えず、開けてみるかの、、、」

そう言って室田は、赤い封蝋印のなされた封筒にナイフを走らせた。

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