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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
21/177

D.チャンネル

「そろそろDの言ってたチャンネル見てみない?」

楓に促され、室田が端末を手に取った。


「車で物を見ると酔うたちなんじゃが、、、」

ブツブツと小言を言いながらも、検索エンジンに文字を打ち込む。

「D」と打ち込むと、UPされていた先のサミット中継の映像が、多数ヒットした。

(グロ注意!)だの(衝撃映像!)だの過激な言葉で内容を煽っている。


次に「D チャンネル」と入力してみる、、、

すると確かにヒットした。

既にチャンネル自体は完成している様だが、映像は暗く、どこかの無人の部屋が映っているだけで、そこにDの姿は見当たらない。


しかし書き込み欄は生きているらしく、世界中の言語で色々と書かれている。

その内容は当然ながら非難の声が殆どであったが、中にはDを讃える物や庇護を求める物も見受けられた。


Dの出現は経済面でも一瞬にしてパニックを起こした。

株価、外為、全てに異変が起こり、それは世界中で多くの投資家が自らの命を絶つ原因となっていた。

コメント欄には、この世を去る直前に投資家達が書き込んだらしい「恨み節」も多数見られる。


「まったく、、胸糞が悪いわぃ、、、この期に及んでも人間は自らの欲にまみれ、やれ資産じゃ何んじゃとほざいとる、Dの蔑む顔が思い浮かぶわ、、、」

そう呟いて一先ず端末の電源を落とした室田。

そしてその予想は、日本より遠く離れた地で的中していた。


サミット翌日・北大西洋上・某所

「なぁJJ、人間とはいつからこうも醜い生き物へと成り下がったのだろうか?数百年に渡り、人類を見つめて来たが、今や地球上で最下層の種族と言っても過言では無い、、、それほどの醜さだよ」


「これは私も耳が痛いですな、、、

D様にお仕えして数百年、その間に何度も貴方様を裏切って来ました。にも関わらずD様はその都度私を許して下さり、寵愛して下さった。その事は感謝にたえませんが、私利私欲で裏切り行為を働いた私は、こやつらと同じ醜き者、、、発言権はありませぬな」


JJと呼ばれた男は苦し気にそう言うと、そっとDから視線を外した。


「よい。そなたを責めてる訳では無いのだ。そなたは自分を悪く、狡く、醜い者と自覚しておる。その分、可愛げもあろう、、、しかしこやつらはそうでは無い。こやつらにあるのは被害者意識ただそれだけ。嘆かわしい事だ」


Dは首を振り、手にしていたワインを流し込むと再びJJに告げた。


「これより生中継で全世界へメッセージを発する」


「御意、、、では早速そのように段取りを」


胸に手を当て慇懃に答えたJJが部屋を出る。

そして10分後


「D様、準備が整いましてございます」

戻ったJJが告げ、頷いたDが共に部屋を出ていった。

そして移動した場所はDチャンネルの映像に映っていたあの部屋だった。


照明に照らされる中、豪華な椅子に座したDがカメラへと向かう。

そして開口一番、吐き出した言葉は、、、

「醜き豚共よ、、、私は失望したよ、、、」

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