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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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闘う理由

突如現れた黒いコンバットスーツの3人組。

その正体はヤコブ、ショパン、サンドであった。


「き、貴様等ぁ~っ!よくもぬけぬけと顔を出せたなっ!!し、しかもそのスーツはっ!!」

米噛みに青筋を浮かべたヒトラーが、強く握った拳を震わせながら叫ぶ。


「あぁ、、、これか?アウシュヴィッツの兵器工場を破壊しに行ったら、私が着ていたプロトタイプより高性能な物が既に生産されていたのでね。

軽くてコンパクトな上にステルス性能まで備わっているとなれば、、、頂かない手は無いだろ?」


当然の事といった風情で答えたヤコブにサンドが続く。

「アンタ等の企みを知った私は、恩人であるD様を守りたくなった、、、

でも私なんかじゃ力になれそうもない。

そこで何か良い物は無いかとあの工場に忍び込んだら、ゴツいアーマーを着込んだ男と鉢合わせでしょ、、、しかもそれが室田一行のメンバーだって言うもんだから、本当に驚いたわ。

で、事情を聞いた私は、私の中で眠ってたショパンを叩き起こして一緒にここまで来たのよ」


気だるそうなショパンが更に続く。

「僕は元々計画の事は知ってたし、実際に君達は僕も誘ったよね?でもサンドの中で永遠の眠りに就く事しか興味が無かった僕は、当然ながら断った、、、

そしてようやく願いが叶ったというのに、直ぐに起こされて正直たまったもんじゃないよ。

でもまぁ僕達が一緒に居られるのは確かにD様のお陰だし、サンドの救いたいって想いも理解出来るしね。それで今回は僕も力を貸す事にしたのさ。

惚れた弱味というか、、、

おっかない女には頭が上がらないというか、、、あっ!!、、いや、、その、、、」

そのピアノの旋律と同じく、流暢な言葉の旋律を奏でたショパンだが、最後の台詞が引っ掛かったらしいサンドが彼を睨むと、流れるようだった言葉の旋律は消え入るように弱々しくフェードアウトしていった。


「で、どうやってここまで?」

助け船よろしく有働が問い掛けると、藁を掴んだ溺れしショパンが意気揚々とそれに答える。


「ああっ!その事かいっ!?

少し長くなるけど、、、

3人分のスーツを盗み工場を破壊した僕達は、マデイラ島に空路で行けるかダメ元でワルシャワ空港へ向かったのさ。

そしたら受付カウンターで何やら揉めてる人物が居たんだ。で、話を聞いてみたら僕達と同じくマデイラ島に行きたいけど、飛行機は飛ばせないと断られたらしい。

それで、飛ばせっ!飛ばせないっ!飛ばせっ!飛ばせないっ!!の押し問答、、、

その人物こそが君達も知ってるジョン・スミスだったのさ。

で、お互いの素性を明かした僕達は、フリーメイソンの協力を得て、共にヘリでここへ来たって訳だよ。

だから到着が遅れてしまった、、、

もう少し早く着いていればD様も、、、

まぁタラレバを言ってもしょうがないけどね」


「フンッ!驕るなよっショパンッ!!

貴様等ごときが加わっていれども、結果は何も変わっておらんわっ!!

だいたい貴様等は、、、」

激昂するヒトラーだが、それを制する様にしてJJが前に出る。


「してショパンよ、いや、、、3人に問おう。貴様等は我々の同族、何故に人間共に(くみ)するのだ?

優れた生命体が世界に君臨するのは、これまでの歴史を見ても当然の流れ、、、それの何が気に入らない?

元々あの老いぼれダ・ヴィンチが成そうとしていた事を、私が取って代わっただけではないか?目的は何も変わっておらぬ。

そこで提案だ、、、今からでも遅くはない、私の力になるつもりならば喜んで迎え入れるぞ?」


これをショパンが鼻で嗤った。

「目的は同じ?笑えないジョークだね。

ジョークで無かったとしたら君の頭を疑うよ。

確かに同族主体の世界作りって点では同じかもしれない。

だけどD様が望んだのはその世界での共存、、、あくまで人間との共存さ。

でもJJ、君のは違うだろ?

君が望むのは支配だ。暴力と殺戮と恐怖による支配、、、君は神にでもなるつもりかな?」


「そうよっ!アンタなんかとD様を一緒にしないでっ!!

それにアンタは長年D様を裏切り続け、あげく自らに取り込んだ、、、そんな忌むべき男に私達が仕えるとでも?

アンタはD様の(かたき)、私達が敵視するには十分過ぎる理由だと思うけど?」


「フム、、、私は元々Dに敵対していた身だし、ミミックとなったのも不本意な流れでの事。世界を変えると決起したミミックとは根本的に違うが、、、JJ、貴様を見ていて思ったよ。

Dは敵とは言え、どこか親近感を覚える事があったが、貴様にはそれが皆無だ。

むしろ嫌悪感しか湧いて来ない。

そしてDも室田も居なくなった今、私の目的は1つだ、、、身の丈に合わぬ貴様の野望を阻止し、仲間達を、、、愛する女性を生かす為、私はここに立っているっ!!」


「フフン、、、なるほどなるほど、、、

やはり誰も私の懐柔策には(なび)かぬか。

同族のよしみで最後の情けをかけたつもりだったが、、、残念だよ。

間も無く近隣諸島よりの援軍が到着するはず、どのみち貴様等に生きてこの島を出る術は無いのだが、そこまで大見得を切るならばどれだけの事が出来るのか見せて貰おうではないか。

せいぜい足掻いてみせるが良いわ」


3人の返答を予想していたのだろう、

JJは怒りの感情すら見せない。それどころかどこか楽しんでいる様にすら感じられる。

そしてこのタイミングで、ニコライのインカムにあの男の声が届いていた。


(ニコちゃん、、、配置についただぁよ、、、)





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