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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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ジョン・スミスと黒い三連…(以下自粛)

エレベーターで地上へ出たジョン・スミス。

扉が開くと、そこでは当然の様に武装兵達が銃口を向け待ち構えていた。

ナチスの軍服に身を包んだ者が殆どだが、マシンナーズ・バタリオンのメンバーも複数見える。その数は人間とマシンナーズの合計で20人程。

遠距離戦ならばいざ知らず、近距離の上に狭いエレベーターホール内である。スナイパーであるジョン・スミスが1人で相手をするには(いささ)か無理がある、、、


(あっちゃ~未だこんなに兵が残っとったんかいな、、、)

潜入の過程で数人の兵を倒していたジョン・スミスだが、その残存兵数には誤算があったらしい。


「あのよぅ、、、オイラァやらにゃならん事があるんだわ。それにオメェ等の大将JJもオイラァが出て行く事を許可したんよ、、、

素直に通して貰うっちゅう訳にゃいかんかね?」

作り笑顔で物の試しに言ってみる、、、

機械化された右目のスコープが、様子を探る様に左右へ動くが、、、


「黙れっ!その右腕の武装を解除し、大人しく投降しろっ!!

妙な真似はするなよ、、、すれば一瞬で蜂の巣だぞっ!!」


予想通りの返答に、困り顔で首を竦めたジョン・スミスが独り言の様に呟く。

「こいつぁ面倒くさい事になっちまったねぇ、、、

ニコちゃん、、、アンタとの約束、ちぃ~とばかし遅れるかもしんねぇよ、、、」


「何をブツブツ言っているっ!!

さっさと俯せに寝て!両足を開き!両手を頭に乗せろっ!!」

直ぐ目の前に居た兵士はそう叫ぶと、アサルトライフルのストック部分をジョン・スミスの鳩尾(みぞおち)へと打ち込んだ。

一瞬、身体をくの字に折ったジョン・スミスだが、これでスイッチが入ったらしく、、、

上げられた顔には凶暴な笑みが張り付いている。


「なんだその顔はっ!ああんっ!?

抵抗するつもりなら容赦はせんぞっ!!」

先程 殴打した兵士が、今度はストック部分では無く銃口をジョン・スミスの頬へと押し付けた。

完全にキレたジョン・スミスが玉砕覚悟で動こうとしたその時、取り巻いていた兵士達の後方から複数の悲鳴があがった。

それと同時に、人の倒れる音が周囲にいくつか響く。


「な、、、?」

兵士が後方の異変に気を取られた隙を突き、見事な手並みでアサルトライフルを取り上げたジョン・スミス。

そしてそのまま背後から兵士の首に手を回し、銃口を喉元へ押し当てて人質とした。

いや、、、人質というよりは盾といった方が正しいのかも知れない。


「イッヒッヒ!形勢逆転だぁね坊やっ!?

しかしまぁ、こんな年寄りをよくも手荒に扱ってくれたもんだ、、、年寄りってのは、いたぶるもんじゃ無くて、いたわるもんだぁよ」


「クッ、、、俺ごときを人質にしたところで無駄だぞっ!?何の躊躇いも無く、俺ごと貴様を撃つだろうさっ!」


「それならそれで構わんよ♪

どのみちアンタにゃ盾になって貰うつもりだったんでねぇ。それにだ、、、

誰もアンタに気を回す余裕なんざぁ無いみたいだがね?」


「え、、、?」

兵士が改めて周囲を見ると、襲撃者への対応に必死で誰もこちらになど目もくれていない。


「な?オイラァの言った通りだろ?

しかしアンタも可哀想な奴だぁねぇ、、、ヒッヒッヒッ!」


「オイッ!お前等!このジジイを逃がさないよう二手に分かれて対応しろっ!!早く何人かこっちへ、、、」

全力で声を張ったつもりの兵士だが、背後から首に回された腕のせいで本人が思っている程の声量にはなっていない。

その上、次々に倒される仲間の断末魔が更にそれを掻き消してしまう。


「ほぉら、、、お仲間さんはもう半分以下になっちまったよ?

ええっと、、、ヒィ、フゥ、ミィ、ヨゥ、、、残り7人か!全滅も時間の問題だぁね?」


「バ、バカな、、、

我等 近衛兵団が数分の内に全滅だと!?

音も無く姿も見えない、、、

敵は一体、、、?

だ、だがなっ!このまま逃げ切れるとは思うなよっ!このマデイラ島は諸島の1つ、周辺の島にも兵は配置されているっ!

今頃は援軍が向かっているはずだっ!!

ハハハッ!ざまぁ見ろっ!なぶり殺されるがいいわっ!!」


「ピィピィピィピィうるさいねぇ、、、

どうやらもう盾にする必要すら無いみたいだし、、、坊やはそろそろネンネしな」

ゴリゴリッという嫌な音と共に、兵士の首が有り得ない角度で天を仰ぐ、、、

糸の切れた傀儡と化し、床へと転がったソレを一瞥すると

「1発は1発!これで(おあいこ)だぁよ、、、

おやすみ坊や」

怖い捨て台詞を残したジョン・スミス。

そして再び顔を上げた時、その場に立っている敵は皆無となっていた。

だが、イルカや蝙蝠の様なエコー機能を有するジョン・スミスには判っている。

姿は見えなくとも、その場には未だ3人居るという事が、、、


「ようやくお出ましかぃ?オイラァと一緒に来ておいて、今まで何をしてたんだぃ全く、、、でもまぁ助かっただぁよ、あんがとさん♪」


「遅くなってすまない、、、

皆の脱出経路を確保するのに手間取ってしまって、、、」

その声と同時に3人が姿を現す。

するとジョン・スミスの目の前には、黒いコンバットスーツを着た3人が立っていた。

その内の1人が問う。


「皆は?」


「まだ地下に居るよ。敵はJJとヒトラーしか居ないが、脱出は急いだ方がいい、、、

どうやら周囲の島から援軍が向かっているみたいだしね。

それに何より、、、

あと30分程で、この館周辺2km四方は消えて無くなる、、、その前に全員、出来るだけ遠くへ逃げるんだ、わかったね?」


「な、、、?どういう事だっ!?」


「今、説明してる暇は無いんだぁよ、、、

とにかく30分後だぁ、そのつもりで居とくれ。オイラァはニコちゃんに頼まれた仕事があってね、この場を離れなきゃならないが、後の事は頼んだよっ!」


「、、、わかった」

3人の黒い兵士達は、頷き合うとエレベーターへと乗り込んだ。

それを見送ったジョン・スミスは1人だけ踵を反し、庭に停めてあった敵の軍用車を拝借すると、館を出て港方向へと向かって行った。


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