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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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途端に匆忙たりて

「駄目です、、、ここでは、、、」

無念を滲ませ、力無くダニエルが呟いた。


「、、、そうか」

有働が言い


「ダロウ・な、、、」

ニコライは自嘲気味に笑う。


「恐らく敵はヒートナイフを使用したのでしょう、切断された断面が溶けてしまっている、、、残念ですがパーツも設備も不十分なここでは、、、」

暗く沈むダニエルとスケアクロウのリペア兵。


だが、その空気を払拭する様な力強さでニコライが立ち上がった。

「テマ・ヲ・かけた・ナ、、、オレ・なら・ダイじょうぶ・ダ、、、ミギうで・だけ・デモ・じゅう・ハ・うてるし・ナ」


「オイオイ、兄弟、、、いくら機械化部の損傷とは言え、やっぱ痛むんだろ?この戦闘が終わったらパーツ取り寄せて、メカニックに見て貰えるようにすっからよ、それまでは無理しねぇで休んでろって、、、」


そんな労りの言葉は、睨む様なニコライのスコープにあえなくはね除けられた。

「な、、、んだよ?心配してんだからそんな目で見なくても、、、」


たじろく有働にニコライが言う。

「いらぬ・セワ・ダ、、、つうしん・デモ・イッた・はず・ダ、、、コンナ・もの・ハ・かすりキズ・だと」


呆れた様に両手を拡げ、有働が深い溜息を吐き出した。

「かぁ~っ!しかしアンタも強がるねぇ、、、強がりもそこまでいくと立派だわ、、、

本当言うとな、この戦闘が終わったらアンタをドックに預けて、そのままリタイアして貰うつもりだったんだが、、、言っても無駄、、、だよな?」


「グモン・だな、、、ハって・でも・ツイテ・いくさ」


しばし無言で見つめ合う2人。

その真剣な表情に緊迫した空気が張り詰める。

そして、、、折れたのは有働であった。

「わぁ~ったよっ!もう何も言わねぇから好きにしなっ!!」


「ちょ、、、有働さんっ!」

ダニエルがそれを咎めるが


「しょ~~~がねぇだろっ!このガンコなオッサンが決めちまったんだ、もう何言っても無駄さっ!!、、、それに一流のプロが、、、大の男がそう決めたなら尊重してやらねぇと、、、なっ!?」

そう言うと有働は、ダニエルの肩をポンポンと叩いた。

1度チラリとニコライを見やってから小さく頷くダニエル。


「ダレ・が・ガンコ・ナ・おっさん・ダ、、、だが・とりあエズ・れい・ヲ・イッテおく」


「ニッヒッヒッ♪兄弟と呼び合う仲で水臭い事を言いなさんなって!」


「よびアッタ・おぼえ・ナド・ないっ!」


「まぁまぁ照れんでよろし♪それより1つ提案なんだけどよっ!どうせならこの旅が終わった後、その左腕にドリルやらカッターを装備して、スーパーロボットみてぇにして貰うってのはどうよ?戦闘力跳ね上がるぜぇ♪」

ニコライの肩に肘をのせ軽口を叩く有働。

しかも身長差を埋める為に、わざわざ椅子の上に乗ってまで、、、


「、、、アホ」

ニコライがその肘を払いのけると、バランスを崩した有働が椅子から落ちそうになる。

両手をグルグルブンブンと振り回し、何とか踏み止まった有働。

よっこらとばかり椅子から降りると、表情を改めてニコライへ問うた。


「で、その黒いアーマーの男、、、本当にヤコブの大将だったのか?」


「アア、、、まちがい・ナイ」


「そうか、、、大将には訊きたい事が山程あるが、何より今は戦力としてありがてぇ、、、

ま、兵力の補充はルール違反だが、大将は元々こちらのメンバーだったんだ、文句は言わせねぇさ」

言い終えた直後、有働のインカムに楓の声が響いた。


「流石っち、聞こえるっ!?

そこの場所が敵にバレたっ!もう潜入されてるかもしれないから警戒してっ!!

それとマシンナーズ・バタリオンは全滅させたんだけど、新手が1人現れたのっ!ヒムラーとかいう男よっ!!

、、、そいつのせいでマッキンリー隊は、、、

とにかくインビジブルとヒムラーは、直ぐにでもそこを襲うはずよ!私達も今向かってるから、着くまで何とか持ちこたえてっ!!」


「チッ!もうバレたか、、、思ったより早かったな、、、わかった、待ってるからヤコブの大将にもそう伝えてくれ」

そう言って通信を終えると、数瞬目を閉じ、散っていったマッキンリー隊を偲んだ有働。

(マッキンリー、、、やっぱハズレくじになっちまったな。安らかに眠ってくれ)


しかし直ぐにダニエルへ視線を移すと

「外に配置した、マッキンリー隊以外の部隊を全て呼び戻してくれ、、、」

そう指示を出した。


マッキンリー隊以外の、、、

ダニエルはその言葉で全てを察したらしく、悲痛な表情でそれに応える。

「了、、、解、、、」


なんとかそれだけを絞り出し通信機を手に取るが、その行為は彼の悲痛な表情を一層色濃くさせる事となった、、、

「有働さん、、、各隊、、、応答ありません、、、」


珍しく焦りの色を見せた有働が、ホテル内に残った兵士達に怒号にも似た声を飛ばす。

「敵が来るっ!!いや、もう来てるかもしれねぇっ!!各自警戒しろっ!油断すんなっ!楓ちゃんが戻るまで踏ん張るんだっ!!」


途端に慌ただしくなる中、自らもデザート・イーグルのマガジンを抜き残弾数を確認する。

そして1度深呼吸をすると、慎重に辺りの気配を探った。

そこへ右手にAKー12を構えたニコライが問い掛ける。


「ヤツラ・は・せきがいセン・ニモ・はんのう・シナイ、、、とうぜん・ケハイ・ヲ・さとらレル・ような・ヘマ・も・シナイ、、、

さく・ハ・アルのか?」

あの時、ジョン・スミスが居なければ死んでいたであろうニコライだからこそ、この言葉は重い。

しかし有働はそれには答えず、ニコライでは無くダニエルへと言葉を返した。


「例の仕掛け、発動の準備を頼む、、、」

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