マッキンリーの苦渋
アウシュビッツ市街地、ホテル・コロナまで約500mの大通り。
「ガッハッハッハッ!!見たかよ今の?人がボウリングのピンみたいに吹っ飛んだぜっ!!」
「だがストライクとは行かなかったみてぇだな?」
「まぁそう言うなって、次でスペアを取っからよ♪」
軽口を叩きながら、グレネード発射口へと次弾を差し込むマシンナーズの男。
そこへスケアクロウの放った反撃の銃弾が飛ぶ。
「おっと、、、奴等いっちょまえに反撃して来やがった、、、残念だったな、スペアはお預けみてぇだぜ?
さて野郎共!フォーメーション6だっ!!身を隠してカバー射撃で撃ちまくれっ!!」
マシンナーズのリーダー格らしき男が言うが、グレネードの男は意に介さない。
「へへへ、、、なぁに大丈夫だって♪見てな、今すぐスペアを、、、」
だが、グレネードの男が言葉の途中で、スローモーションの様に大の字で横たわった。
下卑た笑みを浮かべたままのその顔は、額に綺麗な穴が穿たれている。
「ほぅら、言わんこっちゃねぇ、、、
野郎共!こうなりたくなけりゃ油断しねぇこった!!俺が前に出る!お前等は左右2人ずつに分かれて援護しなっ!!」
そう言うとリーダー格の男は、何とも言えぬ目を倒れた男に向け、、、
「あばよ、、、」
その一言だけを手向けて前に出た。
両腕で抱えたガトリングをぶっぱなしながら、50m程先にある分厚いコンクリートの車止めを目指す。
巨大な武装を携えたとは思えぬスピードである。
左右の物陰からは男の指示通り、援護射撃の雨が降り始めていた。
ー・スケアクロウ陣営・ー
「クッ、、、1人、前に出られたか、、、こちらの被害はっ!?」
停めている装甲車を盾にして、先程グレネードの男を仕留めたライフルを撃ちながらマッキンリーが声を飛ばす。
「先程のグレネード攻撃で、、、トム、アラン、ピーター、ミルコの4名が、、、」
報告する声には無念が滲んでいるが、やはり彼も弾幕を張る手は休めない。
報告を受け、悲痛な表情で目を閉じたマッキンリー。強く噛んだ唇の端からは、微かに血が滲んで見える。
「そうか、、、他に負傷者は?」
「クリスとアンドレィが、、、意識はありますが、このまま戦闘を続けるのは、、、」
その時、当事者であるクリスの声がそれを遮った。
「まだだっ!まだ俺はヤレるぜっ!!この程度の傷、屁でも無ぇっ!!」
これに鼓舞されアンドレィも続く。
「俺だってまだイケるっ!足をやられて動けねぇが、後方からの支援なら問題無ぇっ!!、、、やらせてくれ、、、中佐っ!!」
マッキンリーは今、苦渋の決断を迫られていた。脳内を様々な考えが駆け巡る、、、
(4人が死に、2人が負傷、、、という事は完全なる戦力は4人のみ、、、か。
仮にクリスとアンドレィを撤退させるとなると、補助で更に2人の兵が必要、そうなると闘えるのは俺を含めて2人のみ、、、
駄目だっ!とても2人では奴等を止められんっ!!、、、一体どうすれば、、、)
悩み苦しむマッキンリーに決断させたのは、やはりクリスの言葉だった。
「なぁ中佐、アンタさっき本部との通信で言ってたよな?男なら任された仕事は命懸けでやり遂げる、だから生き残る事を優先しろなんて言うなっ、、、て。
俺もそう思うよ。で、ここはアンタだけの仕事場じゃないだろ?俺達にとっても仕事場であり想いは一緒、、、そんな俺達にまさか撤退しろなんて言わねぇよな?」
血で紅に染まった顔で清しい笑顔を見せたクリス。
アンドレィも他の兵士達も同意を示す様に頷いている。
これを見て、思い詰めていたマッキンリーの表情がフッと軽くなった。
「よく言ってくれた、、、ならば一緒に死んでくれ」
(スマンな、、、)喉元まで来ていたその言葉をグッと飲み込む、、、詫びてしまえば少しは楽になるのだろうが、それは彼等の覚悟を汚す気がしてどうしても出来なかった。
そんな想いを察してか、クリスが軽い口調で文句を垂れる。
「あ~ぁ、、、俺は死ぬ時ゃ美女の上で腹上死って決めてたんだけどなぁ。何の因果かねぇ、、、だが人類の未来に関われるってんなら、そんなに悪い死に場所でも無ぇな、、、
やってやりますぜ中佐っ!!」
「応よっ!クリスの言う通りだぜっ!まさに死ぬにゃあ良い日、死に日和ってやつだぁ!
だが、ただで死にゃあしねぇぜ、、、1人でも多く奴等を道連れにしてやらぁな♪」
途端に士気の上がった部隊を見て、溜息と笑みを同時に溢したマッキンリー。
しかし直ぐに表情を引き締めると、よく通る声で皆へと指示を与えた。
「次に弾幕が薄くなった時、俺とスタンリーが左の路地に入る。裏道から奴等の背後に回る作戦だ、、、残りの者は援護を頼む。
後の事は考えるなっ!銃弾、爆発物、ありったけをぶちかませっ!!」
「了解っ!!」
部下達が声を揃えたその時であった。
ふいに敵の銃声が鳴り止んだのは、、、




