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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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同族邂逅

「こちらアルファ隊!聞こえるかベータ隊!?レンティングとヘルナンデスが負傷!!

気をつけろっ!そこらじゅうにトラップが仕掛けてあるようだ、、、かなりの手練れだぞっ!!」


「こちらベータ!トラップだと?どういう状況だ?落ち着いて話せっ!!」


「わ、わかった、、、レンティングが足元に張られたワイヤートラップに気付いて、それを跨いだんだが、敵はそれを見越して着地点に地雷を仕掛けてやがった、、、それを踏んだレンティングは右足が吹っ飛び、一番近くに居たヘルナンデスも巻き込まれて、、、」


「、、、なんてこった、、、お前等のチームは確かジョン・スミスだけ単独行動してたんだったな?て事は、、、お前を含めてもう2人しかそこには残ってないって事だろ?それでは予定通りに任務は遂行出来ん、、、1度合流して作戦を練り直す必要があるな、、、」


「し、しかし、、、」


「強がるな。とにかく今からそちらに向かう。現在地は?」


「、、、A12ポイントの路地裏だ、、、すまない」


「勝つ為の事だ、気にするな。もう動き始めたので10分で着く、お前等はそこを動くな。では後程、、、ん?う、うわぁ、、、!!」


「どうしたっ!?ベータ隊応答しろっ!ベータ隊っ!?」


「ガガ、、、ガガガ、、ピー、、、、」




遠くであがった火柱と鳴り響いた轟音、、、

狙撃ポイントであるデパート屋上からそれを見ていたニコライは、数時間前の作戦会議にて有働が皆へと言った事を思い出していた。


(今渡した地図、赤いチェックが数ヵ所入ってんだろ?そこには絶対に近づくな、、、俺がトラップを仕掛けてある)


改めて見ると、地図に印された赤いチェックは10ヵ所にも及んでいる。

有働はこれをたった1人で、しかも3時間という僅かな時でやり遂げたのだ。


「フッ、、、たいシタ・やつダ」

思わず漏らした本音の独り言。

いつも悪態をつき合ってはいるが、その実ニコライは誰よりも有働を認めているのである。

そして地図を折り畳み、再びポケットにしまいこんだ時、何かの気配を感じ取ったニコライが素早く物陰へと身を隠した。


するとその直後、屋上へ入って来る為の扉が鈍い音を軋ませながらゆっくりと開く。

姿を現したのは、黒いフード付きのマントに身を包んだ1人の男だった。

ゆらゆらと上体を揺らし、癖のある動きでのろのろと歩みを進める。

マントとフードで全体像はわからないが、フードの奥でチラリと覗いた顔は青白く痩せ細って見える。

そのいかにも不健康そうな印象は、服装も相まって死神を連想させた。


物陰で息を殺しながら男の様子を伺うニコライ。

男はそれに気付いていないのか、リラックスした様子でフェンスに凭れてタバコに火を点けた。

それを燻らせながら街全体を見渡す顔は、右目周辺だけが金属光を放っており、この男がマシンナーズである事を物語っている。


「あ~ぁ~、、、アルファもベータも、なぁ~んにもしない内から殆ど壊滅じゃん、、、

だから言ったんだよなぁ、オイラとインビジブル隊だけで十分だって。ヒトラーちゃん、人の言う事聴かないから、、、」

独り言とは思えない程ハッキリとした口調でそう言うと男は、次に向かいの教会鐘楼へと目線を移す。

するとそこにはビジョン・デコイによって映し出されたニコライの偶像があった。


「オホッ♪偽者見ぃ~つけた、、、」

これも独り言レベルでは無い声で言うと、男はマントからスルリと両腕を滑り出した。

曝された男の両腕、、、

右は肩から先全体が、左は前腕だけが機械化されている。

しかしニコライのそれとは違ってゴツさは無く、大きさ的には生身の人間とそう変わらない。だが不気味なのは、機械化された腕までもが黒い事であった。

更に驚いた事に、男は銃器を保有していなかった、、、手ぶらなのである。


その理由は直ぐに明らかとなった。

男が(おもむろ)に右腕を肩の高さ迄上げる、、、すると手首部分が内側に折れ、そこに姿を現したのは銃口であった。

男が手ぶらだった理由、、、それは銃を持ち歩く必要が無いから。

何故ならば右腕その物が男の得物だからである。

男はくわえていたタバコをプッと吐き棄てると、スコープに改造された右目を右腕と連結させた。

そしてゾッとする笑顔を浮かべ、またも独り言とは思えない声量で言葉を漏らす。


「偽者だけど、せっかく見つけたんだし、、、挨拶代わりに1発お見舞いしちゃおっかなぁ♪」

鐘楼上の偽ニコライを狙う男を、本物のニコライが息を潜めて覗き込む、、、

その手には愛銃ドラグノフが握られてはいるが、ニコライは迷っていた。

実はドラグノフには未だ弾が装填されていないからである。男との距離は10m程、、、

この距離で今から装填すれば、その気配を相手に悟られてしまう。

ならば、、、と、ニコライは懐のハンドガンに手を伸ばした。

そしていよいよ抜き取ろうというタイミングで、男がこの距離でも聞き取れる程の大きな溜息を吐き出した。


(!?)

不審に思ったニコライがそっと様子を伺うと、男はフェンスに突っ伏した状態でしきりに首を振っている、、、せっかく右腕と連結させていたスコープもいつしか解除されていた。


(ナンだ?、、、なんナンダ・このオトコ?)

行動の読めない男に不気味さが募る。

更には隙だらけの様だが、さっきから背中越しに見つめられている様な錯覚に囚われていたニコライ、額と首筋を冷たい汗が伝う。


すると男は勢い良く上体を跳ね上げると


「あぁ~~っ!暑っちぃ~わっ!!いくらスナイパーが目立っちゃいけないとは言え、こんな黒づくめの格好じゃ流石に暑いわっ!!

偵察やら暗殺が任のアサシンタイプがステルス装甲なのは解るけど、スナイパーこそステルスにするべきじゃね!?」

大々的に独り言で不満をぶちまけた。


それを聞いたニコライは、コントよろしくズッコケそうになるのを必死に堪えた。

、、、しかし、男が次に吐いた台詞が再びニコライの肝を冷やす事となった、、、


「ねぇ、アンタもそう思わんかね?ご同輩、、、」

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