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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
133/177

無人の街で

再びドイツの占領下に置かれたアウシュヴッツの街。

無人となったその街中を隈無く歩き、地形を、施設を事細かに把握する。

スーパーやデパート、病院やホテル等の主だった物は勿論、個人商店や逃走時に使えそうな場所等すべてを書き込んだ地図が完成したのは、ヒトラーとの通信を終えてから5時間後の事だった。


「ようやく作戦を練る足掛かりが出来たな」

地図を睨みながら有働が呟く。


「でも開戦まで残り9時間しか無いわよ、、、本当に大丈夫なの?」

疑念とも不安とも取れる目を向け楓が言うと


「9時間しか?、、、俺に言わせりゃまだ9時間もある!だぜ。ま、俺を信じなよ」

地図から目を離さぬままで、有働が自信満々に答えた。そしてそのままダニエルへと指示を出す。


「この地図で青のチェックを入れた場所の鍵を全て開けに行ってくれ。終わった場所には青で丸印をつける事!楓ちゃん、悪いけどダンを手伝ってやってくんね?」


「わかったわ、行きましょダン」


「はい、宜しくお願いします」


歩き出した2人の背に有働の声が掛かる。

「あ、言い忘れたけど2時間で終わらせてね♪」


それを聞いた2人は一瞬だけ顔を見合わせると、小走りでその場を去って行った。

ニヤニヤしながらそれを見送ると、今度はニコライへと視線を移した有働。


「どうだ兄弟、狙撃すんのに目ぼしい場所は見つけたかい?」


「アァ、、、タカい・たてもの・ハ・カギられて・イルからな、、、ただ・1つ・モンダイ・も・あるが、、、」


「問題?」


これに頷いたニコライが、ゴツい鉄の手を顎に添える。

「テキ・の・スナイパー、、、じょん・スミス(アメリカではありふれた名前である事から、名無しの権兵衛という意味で使われる)の・ナ・デ・しられル・オトコ・だ」


「ジョン・スミスか、名無しの名で知られてるってのも訳のわかんねぇ話だが、、、凄ぇのかい?」

有働を見つめ、無言で小さく頷くニコライ。


「アンタとどっちが上だ?」


「ヤツ・の・こと・ハ・ウワサ・で・しか・シランが、、、オソラく・ごぶ、、、」


「そうか、、、一流のスナイパー同士なら同じ場所に目をつける可能性は高い、確かに厄介な問題だな、、、因みにアンタは何処にスタンバるつもりだった?」


「ここ・カ・ココ・だ」

鈍い銀色を放つ指が地図で指し示した場所、それは街のほぼ中心に位置する教会の鐘楼と、道を挟んでその教会の向かいにあるデパートの屋上だった。


「第一候補は?」


「でぱート・ダナ、、、」


「理由は?」


「マズ・このマチ・で・いちバン・タカい・こと・サラに・ひろい・ブン・そげきポイント・ヲ・じょうきょう・二・オウじて・カエられる、、、そして・マンイチ・ミツかった・トキ・とうそうケイロ・が・かくほ・シヤスイ」


「確かにな、、、教会の方は見つかったが最後逃げ道ねぇもんな、、、て、事はだ、名無しの権兵衛君もそこを選ぶって考えた方が良いか?」


「オソらく、、、」


「わかった。じゃあ兄弟は、、、」

そう言うと有働はニコライの耳元に口を寄せ、内緒話の様に策を伝えた。


それを聞いたニコライは

「ショウキ・かっ!?」

大声でそう発すると、スコープをあちこち在らぬ方向へと動かしている。

動揺するニコライを見て愉しそうに嗤っていた有働だが、急に真顔に戻ると自らの胸を1度ドンッと叩いて見せた。

対するニコライは深く長い息を吐くと


「、、、ワカッた、おマエ・ヲ・しんじヨウ」

そう言って準備の為に立ち去ろうとする。

そこへ例の如く有働が声を掛けた。


「あ、2時間で、、、」

しかし、、、

「1じかん・デ・もどルッ!!」

ニコライによる喰い気味の返事にそれは遮られる事となった。

ブゥと唇を尖らせた有働だったが、気を取り直してマッキンリーを呼び寄せる。


「中佐、悪いがアンタは俺に付き合ってくれ。あぁ、、、それと停泊してるA400MからM113装甲車と何人かの兵士を呼んで欲しいんだが?」


「それは構いませんが、、、一体どちらへ行くおつもりで?」


マッキンリーの問いにニヤリと不敵な笑みを返した有働は

「ホームセンター♪」

そう一言だけ答えて見せた。

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