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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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第一強制収容所

幸いA400Mは舗装されていない場所へも着陸可能の為、アウシュビッツ収容所から2km程離れた草原地帯へと降りる事が出来た。


「どういう闘いになるかは判らねぇが、一先ずは俺達だけで行く。アンタらはいつでも出れる様に、無線を開いて待機していてくれ」

有働が伝えるとマッキンリーは直ぐ様ニコライへと視線を這わせた。

言葉には出さないがその視線は

「よろしいのですか?」

そう問うている。


ニコライはそれに頷くと

「その・サル・ハ・へんな・カッコウ・だし・バカっぽく・けいソツ・に・ミエる・が・アタマだけ・は・キレる、、、いう・トオリ・に・シテ・やって・クレ」

馬鹿にしてるのか誉めているのか、微妙な言い回しでマッキンリーへと伝えた。


「おい兄弟、、、そこは頭が切れるの一言でよくね?」


「ヤツ・も・トモ・に・たたかウ・ナカま・二・ナルんだ、、、おマエ・の・コト・ヲ・よく・シッテ・もらオウ・ト・おもってナ」


「フム、ニコライの言う事は尤もじゃな」


「そうね、間違った事は言ってないわ」


「ぼ、僕は有働さんを尊敬してますよっ!、、、でもニコライさんの喩えも言い得て妙と言うか、、、」


当の有働は憮然としているかと思いきや

「、、、皆の俺に対する認識って、、、そうだったのね、、、」

壁に手をつき、どんよりした空気を背負いながらそう呟いた。

どうやら思ったよりダメージが大きかったらしい。


「え?今更っ!?気づいて無かった事に逆に驚いたわ、、、でも流石っち、アンタはそのキャラで良いんだと思うよ。さっ!凹むなんて柄じゃ無いでしょ?とっとと出発しましょ!!」

楓が軽くボディブローを打ち込んでウインクを飛ばした時には、皆、荷物を背負ってハッチから出始めていた。

腑に落ちないながら有働も荷物を背負い、それを早足で追いかける。

そして追いついた時、ニコライが見慣れぬ物をポケットにしまうのが目についた。

それはスマートフォン程の大きさで、何かの通信機の様に見える。


「兄弟、今のは?」

有働の問い掛けに少し驚いた様子のニコライ。

見られてしまったかとばかりに頭を掻くと


「タダ・の・おまモリ・ダ、、、」

その一言だけを返す。


「ふ~ん、、、」

有働もそれだけを発すると、それ以上は何も訊かなかった。



暫く歩くと建ち並ぶ建造物が見えて来た。

どうやらアウシュビッツ市街地に入ったらしい。しかし、、、


「どういう訳じゃこりゃ、、、?」

室田が戸惑いを口にし、ニコライと楓がハンドガンを抜く。


「あからさまに変だな、、、みんな警戒を怠るなよ、、、」

そう言うと有働も銃を手にし、ダニエルもそれに続いた。


室田を囲む形で、四方に気を配りながら歩を進める。

だが敵らしき気配は無い。いや、そもそも人っ子一人居ないのである。

全ての商店は閉まっており、通りや家屋にも人の気配は皆無、、、

動く物も音すらも無く、ただ風の音だけがうるさいその様子はゴーストタウンさながらであった。

しかし警戒を嘲笑うかの様に、何一つトラブルも無いままで時間は過ぎる。

呆気ないほど順調に街中を進み、やがて、、、


「見えたぜ」

皆の視線の先に連なる赤い屋根が現れ、その手前にはゲートらしき物も見える。

白黒に塗られた踏切のポールの様な物もあるが、それは開かれたままになっていた。

そしてそこへと辿り着いた一行の目に、ゲートに記された言葉が飛び込んだ。


「ARBEIT MACHT FREI、、、働けば自由になれる、、、か。デタラメの気休めもいいとこだな」

首を振りながら有働が溜息まじりに漏らす。

有働が呆れるのも無理は無い。

このゲートを潜れば、十中八九生きて出る事は叶わない、、、当時のユダヤ人からすれば地獄と大差の無い場所、それがここ悪名高きアウシュビッツ第一強制収容所なのだから。


辺りの気配を窺ってみる、、、

しかし街中同様、人が居る気配は無かった。


「どうなってんだこりゃ?出迎えも無したぁつれねぇ話だな、、、」

途方に暮れた有働が首筋を掻いたその時、室田の荷物から端末への着信音が鳴る。

無人の野にその音はことさら大きく響いた。


Dからの連絡、、、そう思った室田が慌てて荷物から端末を取り出す。しかし、、、

画面に映し出されていたのは、全く知らぬ端末からの着信であった。



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