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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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準備完了、、、!?

旅の準備だろうか、楓とニコライが慌ただしく動いている。

ニコライは巨大なバックパックに色々と物騒な物を詰め込んでいるようだ。

楓は薄めのランドセル程のバックパックに荷物を詰め終えて、既にそれを背負っていた。

見た所、そのランドセルもコンバットスーツと同じ素材で出来ているらしく、銀の鱗状に輝いている。


楓がコンバットスーツの首後部にあるファスナーを開き、そこに内蔵されていたフードを被った。そして左手中指にある指輪を模したスイッチにそっと触れる。

するとその身体は一瞬モザイクがかかった様になり、今そこに居たはずの楓の姿が周囲に溶けた。


「うん、問題ないようね」

再び姿を現すと独り言の様に呟いた楓。

どうやらこのコンバットスーツには、光学迷彩によるステルス機能が備わっているらしい。


そんな中で一人、室田だけは焦るでも無くぼんやりとタブレットを見つめていた。

20分程前にDの使いという男が持って来た物である。その男はどうやら人間らしかった。


「主から頼まれた物をお届けに上がりました。通信費などの心配は無用ですので、ご自由にお使い下さいませ。それと、、、これを」

そう言うと男は、タブレットと共に2つの封筒を室田へと手渡した。

1つは小さい物で、珍しくも無いメッセージカード入れである。そしてそれは封筒のくせに封すらなされてはいなかった、、、

そしてもう1つは紙質の良い、明らかに高級な封筒。こちらはDの文字の赤い封蝋印が施されている。


室田は怪訝な表情でそれを受け取った。

「では私はこれにて。良い旅であらん事を」

男は最後まで慇懃な姿勢を貫き、そして風の様に姿を消した。


室田がタブレットを眺めながら、先の出来事を思い出していると

「ちょっとっ!何ボーっとしてんのよっ!?

私達は準備終わったわよっ!!」

動かぬ室田へと楓のヒステリックな声が飛ぶ。


「マサか・テぶら・で・イクつもリ・じゃアルまいナ?」

巨大なバックパックを背負ったお陰で、ニコライが更に大きく見える。

そんなニコライを睨み見上げた室田は、この家の天井が高い事に感謝しながら、ぶっきらぼうに答えた。


「必要な物があればその都度出先で入手するわい。それより、、、楓っ!!お前はそのキンキラの姿で出掛ける気かっ!?目立ってしゃあないわっ!普通の服を着んか、普通の服をっ!!」


「え~~、、、だってぇ、、、いつステルス性能が必要になるか分かんないじゃ~ん、その度に脱ぐのも邪魔くさいしさぁ~~」

似合いもしないギャル口調で、子供の様な言い訳を始めた楓。

しかし聴く耳も持たず背を向けた室田、今度はニコライへと文句をぶつける。


「お主もじゃっ!その荷物の量、、、何が入っとるんじゃ!?」

問われたニコライが、当然とばかりに真顔で答える。

「ん?、、、ソゲキじゅう・として・ドラぐのフ・ツァすダバM91、、、バクハツぶつ・が・RGD-5しゅリュウだん・C4、、、それト・たいセンシャように・RPG-32、、、、」


機械の指を折りながら、誇らしげに数々のロシア産兵器の名を口にしているが、それも室田の怒声に遮られた。

「バカモンッ!お前らは街中で戦争でもおっ始める気かっ!?

楓は服を着るっ!ニコライは荷物を減らすっ!、、、2人ともやり直しっ!!」


急かすようにパンパンと手を鳴らし、2人に背を向けると室田は、手渡された2つの封筒を未開封のままで、ジャケットの内ポケットへとしまいこむ。

その向こうでは室田に向かって舌を出す楓と、中指を立てるニコライが見える。

何かを感じたのか室田が振り返るが、その時にはもう何事も無かったかの様に、そそくさと準備を進める2人。


「準備OKよっ!」

「おれモ・ダ!」

暫くして2人が声を掛ける。

楓は脱ぎやすいという理由だけで選んだのだろう、、、黒のツナギを着ている。

その顔は美しく、プロポーションも良いだけに、色気無いその姿を単純に

(勿体無い事だ、、、)

と、いつも室田は思っていた。


ニコライの方の荷物も半分には納まったらしく、パンパンだったバックパックにスペースの余裕が出来ている。


白のVネックにグレーのスラックス。

足下は一見革靴に見える黒のスニーカー、そして上から茶色いジャケットを羽織った出で立ちの室田。黒いハットを被りながら2人を一瞥する。

「フンッ、、、まぁいいじゃろ。なら出掛けるとするか、、、」

使い古された黒い革の(かばん)

それを手に取ると室田は、Dからのプレゼントであるタブレットをそこへそっと差し込んだ。


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