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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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その頼みは誰が為に

身を振るわせ着信を報せる端末。


ある程度予想はしていたが改めて画面に表示されたDの文字を見ると、感心半分・呆れ半分といった顔で室田が顎髭(あごひげ)をしごく。


「まったく、ええタイミングで連絡して来おるわぃ、、、」


そう溢すと1度皆へと視線を巡らせた。

それを受け頷く面々。つられる様に室田も頷き、ゆっくりと画面の応答部分にタッチする。


「なんの用じゃいっ!?」

つっけんどんに第一声を尖らせた室田。


「ほほぅ、、、これはこれは御機嫌斜めのご様子。それとも生理中かな、ミスター室田?

いや失礼、品の無い冗談はこれ位にしておこう。用件は他でも無い、そろそろステージ2もケリのついた頃合いかと思ってね、、、」


「頃合いかと思った?フンッ!下らぬ嘘を!

おおかたゲームの様子は、隠しカメラを通じてお主の元へと中継されとるのじゃろ?

で、タイミングを見計らいこうして連絡を入れて来る、、、違うか?」

Dの指摘通りに不機嫌なままの室田が、画面越し睨め上げるようにして問う。


「フフフ、流石にお見通しという訳か。

まぁ隠す必要も無いのだが、JJの奴が言うなとうるさくてね、、、どうせ当の本人はそちらへ行ってるのであろう?全く狡い話よ、自分は生でゲームを楽しんでおきながら我には、、、」


横から突然響き渡った有働の笑い声が、Dの言葉を途中で止めさせた。


「ん?何かおかしかったかな、、、賢しい者よ?」


「ああ、おかしいね!あれだけミステリアスを装おってたアンタが、どんどん人間じみて来てる様子がな、、、アンタ、わざわざ愚痴を言う為に連絡して来たのかい?」


有働の言葉に一瞬だけキョトンとしたD。

しかし直ぐに笑い出すと、暫しの(のち)自嘲気味に言葉を吐き出した。


「確かに、、、な。JJのプロデュース通りに演じてるつもりだが、時折こうしてボロが出る。そして又奴に叱られる訳だが、、、全くこれではどちらが(おさ)か疑わしいわ」


「アンタも色々大変なんだな。心中察するぜ、、、で、本当の用件は何んだったんだい?」


「いや大した事では無い。ステージクリアの祝福と、次のステージの場所を告げる為、、、そんな所だ」


「そうかい、、、ならステージクリアのご褒美に1つ頼みを聞いちゃくれねぇか?」

突然改まって真顔を見せた有働。Dはそこへ懐疑を含んだ視線を投げ返す。


「ほう頼みとな?受け入れるかどうかは内容次第だが、、、一応言うてみよ」


一呼吸置いて有働の口から転げ出た頼み事、、、それは誰も予想だにしない、意外過ぎる物だった。



「ショパンの、、、ショパンの願い、、、叶えてやってくれねぇか!?」



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