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MIMIC(ミミック)  作者: 福島崇史
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駆け引きの時

銃口を動かさぬままに5発の狙撃をヒットさせたニコライ。

騒乱の(のち)に訪れた静寂の中、その謎に興味を示したショパンが問うた。


「さっきのアレ、どういう仕組みなの?種明かししてくれると嬉しいんだけど?」


押し黙ったままでニコライが睨む。

実のところ先の狙撃はマジックやトリックと言った類いでは無く、単純にニコライと装備の性能による物だった。

ニコライの目であるスコープは、狙撃時に用いる「スナイプ・モード」や、体温により敵の位置を察知する「サーモ・モード」など多種多様な性能が備わっている。

そして今回使用したのが「レーザー・モード」

これはニコライのスコープからレーザーが射出される物なのだが、勿論これだけでは何の役にも立たない。秘密は銃弾(バレット)の方にもあった。


実はこのバレットもニコライ専用の特製品であり、先端にはレーザー追尾センサーが仕込まれている。

そしてそれがニコライから射出されたレーザーの反射を捉え、そこを目掛けて飛んで行く仕組みだ。

つまりニコライがそのスコープで狙撃対象を捉えている限り、外れる事は無いという事である。


近代の戦闘では当たり前となっている戦術、、、歩兵がレーザー照準で目標を照射し、その一点目掛け飛んで行く「カッパーヘッド」等で有名な誘導砲のシステムを、ニコライは単独で実現しているという訳だ。

しかし、、、

この手の内、問われたからとて、そう易々と教えて良い物か、、、ニコライはそこを迷っていた。

それを見透かしたかの様にショパン


「あ~ぁ、、、教えてくれそうに無いね、なぁ~んだつまんないっ!じゃあ演奏始めちゃおっかなぁ、、、君が教えてくれてたら、その間は演奏しなかったのになぁ、、、惜しいなぁ、、、せっかく時間稼ぎするチャンスだったのになぁ、、、」

流し目で粘着質な物言いをすると、ピアノに向かいその手を目の高さまで仰々しく掲げて見せる。


「マテッ!、、、」

ニコライの声に降り下ろしかけた手をピタリと止めたショパン、再び流し目でニコライを見ると


「ん?教えてくれる気になったのかな?」

意地悪な口調でそう問い掛ける。

それに対し無言で頷いたニコライに慌てて有働が駆け寄った。


「おい兄弟っ!いいのかよっ!?」


「、、、カマわん」


有無を言わせぬその雰囲気に、有働もそれ以上は何も言えずに引き下がる。

そしてそれを見た楓が


「ニコライが話してる間に、何としてでも私達の手で爆弾を見つけ出しましょう」

そう言って皆を見回した。

しかしここで室田が意外な事を口にする。


「その必要は無いやも知れん、、、」


「え、、、どういう事?」


「それって、、、爆弾の場所が判ってるって事かよ!?」


「うむ、まだ確信は持てんが、1つ気になっている事があってな、、、ヤコブよピアノの経験があるお主ならば、ワシと同じく気付いておるんではないか?」


「、、、あぁ、確かに私も違和感を覚えた」

右手にS&W M686コンバットマグナムを握ったままヤコブが頷く。

そしてそんなヤコブを有働が刺す様な目で睨んでいた、、、

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