#9 訓練基地の中はブルマ騎士だらけ。男がいないのは絵が保つかららしい。
「今度はみたらし団子を食べに来てください。オススメですよ」
手ベタベタになるから嫌いなんだよね。
「あ、そそうなんですかっ!?ごめんなさいっ」
ウサ耳をクニャッとさせて、チェルシーはしょんぼりした顔をする。
そうだった、この子心の声聞こえるんだった。
「いや、食べに行くよ!それまでにちゃんと金稼がないとな」
その為に《騎士ギルド》への入団か。
俺はチェルシーと別れると再度思考を巡らせた。
さっきまで全裸で追いかけられたのに、入団できるのかな。
でも、まぁ、そのせいで顔は見られてなかったみたいだけど。
俺は一抹の不安を感じながら、チェルシーに教わった道を進み、騎士ギルドの駐屯所へ向かった。
しばらくすると塀のようなものが現れて、その中に迷彩色の建物が建っていた。
門には見張りが両端に立っている。
その見張りは槍を持ち、まっすぐに前を見て自らの仕事を遂行する。
その騎士は女。
銀色の甲冑の上だけを身につけ、下半身は相変わらず無防備。
そう、ブルマ姿なのだ。
曲線美を更に促すその履物に俺の視線がちらりと下がる。
俺はその見張りの女に「あの」と声を書けた。
「なんだ?」
「あの、ギルドに入りに来ました。仲間に入れて」
「貴様、舐めているのか!!」
となりの男も槍を構える。
たしかに舐めた物言いだ。もう少し考えれば良かった。
だが、しかし。俺にはチート級のステータスがあるのだ。
舐めたくもなる。
「もう俺の攻撃は済んでいる」
「は?何を馬鹿な」
バキャーーン!!
と突然の音と共に、見張りに立つ二人のブルマ騎士の甲冑が破壊された。
「うそっ!!!」
「きゃあっ!!」
二人は声を出して、自分の破壊された甲冑から露出する肌を隠し、そこにヘタレこんだ。
「まだやる?」
俺がそういうと「そこまでだ!!」と聞き覚えのある声がした。
アンジェリカだ。
俺がこの世界に転送された直後、俺を捕まえに来たブルマ騎士だ。
「私はアンジェリカ。貴様の実力は見させてもらった」
と初めて会ったかのように自己紹介する。
やっぱりそうだ。俺の顔を覚えていない。
それも無理ないだろう。
だって全裸だったからなっ!!
俺は心の中で突っ込んでから、彼女の後に着いて行き門の中に入っていった。
○●○●
建物までの敷地には、グラウンドや屋外用の訓練器具などが並んでいた。
それを使ってグラウンドでロードワークをするもの。
器具で筋トレをするもの。
それを横目に、アンジェリカは俺に説明を始めた。
「ここは第3訓練基地。ここで日夜訓練を重ね、《王室》を護る騎士になる。男よりも女の方が多いのは」
そこで一度咳払いをしてアンジェリカは堂々と言い放つ。
「絵的に都合が良いからだ!!」
ちょっと後半は意味が分からないという事で話を流す。
訓練教官の掛け声に合わせて、30人ほどの女子が甲冑ブルマ姿で素振り訓練。たしかに見た目は凄く良い。今は無き昭和の体育の時間を思い出す。
どうして短パンなんか生まれたんだ!!
法律かなんかで禁止しろ!!バカ!!!
閑話休題。
俺とアンジェリカは建物、もとい基地の中に入っていった。
「私たちの隊長に引き合わせる。隊長の許可があれば、入団を認めよう」
廊下でアンジェリカとすれ違うブルマ騎士達は、敬礼をし通りすぎる。
俺は「隊長って?」と聞くと「この基地の最強の騎士。SS級のスキルを兼ね揃え、《雹魔》と呼ばれている」
良い異世界設定に俺はニヤニヤしていると、アンジェリカは足を止め
「ここだ」
と言って部屋の前で止まると、三回ノックをした。
「どうぞ」
中から声がする。
ん?聞き覚えのある声だ・・・。
そして部屋の中に入ると、俺は銀色に輝く綺麗な髪と見事なスタイルのブルマ姿を目にした。
「あ」
そこにいたのは試着室の中で黒レースの下着で出会ったあの女性だった。