#2 ステータスルーレット
「ここは・・・」
そこは真っ暗の空間。
漆黒の闇。
自分の手を見ようとしてもその手はなく、自分の存在そのものもない。
妙な感じだ。
「じゃーん!!ルーレットターイムッ!!」
その声とともにあたりは一転。
真っ白な光に包まれ、目の前に白いローブを着た子が人生ゲームのルーレットをどでかくしたようなものと共に出現した。
「君のこれからのステータスを決定しまーす!!どんどんパフパフ〜!!」
あたりからクラッカーが破裂したり、カラフルな色紙が撒かれたり、パフパフが鳴り響いたりする。
ステータスッ!?
って事は。
スキルとか能力値とか、俺の今後の全てをそんなルーレットで決めてしまうのか?
「そんな理不尽が通用するかっ!!!断るっ!!!」
「だが、断るっ!!!!」
え?拒否を拒否された。
「君ねー、アタシ一応これでも君がこれから行く異世界を担当している神様なのよ?それを断るって正気の沙汰じゃないわね?」
神と名乗ったその女の子は口を尖らせながら、ルーレットに寄りかかってバンバン叩いて不満を露わにした。
「テンション上げてやってんだから、君もちゃんとやってくれるかなー」
なんかスッゲー怒られてる。
「ごめんなさい」
俺は素直に謝罪。
すると「以後気をつけるように」とローブ姿のその子、もとい神様が言った。
スッゲー偉そう。ちょっとムカつく。
神様は一度咳払いをすると。
「それじゃあもう一度改めまして、ステータスルーレット開始!!」
神様は満面の笑顔でそう言うと「ルールを説明します♪」
○●○●
話を聞くと俺は3回ルーレットを回すらしい。
1回目は、マックスレベル値。
これは俺のステータスが伸びる為のレベルの限界の数値らしい。
ルーレットは2〜99。
つまり、マックスレベルが2だと、レベルを1上がってしまえば終了。
あとはどんなに頑張っても、成長する事は出来ないという事だ。
「ちなみに村人のマックス値は大体5くらい。だから冒険出来ないし、街でのんびり暮らすしかない。大体勇者クラスでも70〜80。魔王で90台かな」
なるほど。だからRPGとかの村人は勇者に想いを託すのか。
「てか魔王いんの?」
「いや、今の時代は勇者が倒しちゃったから、もっぱら人同士の国取り合戦ってトコかな。まぁ、行けば分かるよ」
神様はさっくりと言い放った。
2回目は、成長度。
これはレベルが一つ上がる度にどれだけ上がるからしい。
つまりマックスレベルが5の村人でも力の差や知力の差が出てくるのは、この成長度が違うからだ。
これは1〜7つの星であらわされるらしい。
なんで星なんだよ。数字で良いじゃん。
「ん〜、なんとなく?」
ずいぶん適当だな。
3回目は、スキル。
これは移動後の環境などで後天的に決まるらしい。
今はSS、S、AAA、AA、A、Fの6段階らしい。
なんで突然Fなんだ?
毎回ランクで思うんだが、なぜSから始める。
「それだったらAから始めれば良いじゃん。また適当か?」
「FはFAILEDのF。つまりスキルのない一般人ってこと。そこからAに飛ぶのはスキルがあること自体凄いからね。あと、言っとくけどSはSPECIALって意味がちゃんとあるんだからねっ」
「そんな顔されても。いや、可愛いけど」
てか、随分としっかりとした設定だな!!
成長度の適当具合に回してやれよ、それ!!
そんなこんなで俺は、自分の今後を決めるルーレットを回す事になった。




