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私は

ふわり。


意識が浮上する。


目を開ければ、そこは草が茂る草原だった。


ここは獣国エルヴンガルテ近くのフィールド、『蒼き草原』。

ここに来た理由は、プレーヤーがきてから結構時間がたったことで、プレーヤーが移動し、

街中に転移したとき見られたら面倒だからだ。


ここは街から一番近いエリアだが、かなり奥のほうなのでまだプレーヤーはいないだろう。


きっと無駄にスペックが高く、顔面偏差値が高い兄弟ならすぐに目立って見つかるだろう。


ちょっとくらい寄り道しても大丈夫だろう。

腰に挿していた刀『イヴクス』を抜く。


それはとても美しい刀だった。


刀なんて使ったことがないのに使い方が少しだけわかる。

きっとスキルの効果だろう。

適当にふると、意外に速く振れる。

ちょっとかじったことのある刀術の型を振れば、隙が少なく、流れるような動作で振ることができる。

これはスキルの舞闘の効果だろう。

このスキルは戦う時にできる隙などを少なくし、流れるようにできるスキルだ。

結構便利だな。


はっきりいうと、刀術と舞闘のスキルがあったとしてもここまで綺麗に速く動けないのだが。

シュオンはしるよしもない。


適当にモンスターと戦ってみようと思う。

LVを上げないといけないし、万が一があっても私は死なないのだから。


スキルLVは・・・もともと50だからここら辺のステージでは少しの経験値にもならないだろう。

まあ、索敵はしておこう。

スキルは偽装状態のLV1の効果しかでないので、だいたい10Mくらいの気配を感知することしかできないようだ。

ついでにスキルLVのMAXは100だ。

例外も存在するが。


そんなことを考えていると、索敵に反応があった。

反応は・・・背後。

かなりの勢で突っ込んでくるな。


普通の人ならひとたまりもないだろう。


しかし、シュオンは普通ではない。


グルンッザンッ


振り向き座間に横一線に刀を薙ぎ払う。


「ぎゅぴ!?」


突っ込んできたのは、角の生えたうさぎだった。

飛んでつっこんできた哀れなうさぎはなすすべなく、躰を真っ二つにされる。


鮮やかな紅が飛び散った。


ひどくリアルなその光景に少し眉をしかめながらも、動揺はしない。

慣れてるから。


やがてうさぎはガラスが割れるようにひびが入り、パリンと音を立てて消えていった。



<ホーンラビットを倒しました。経験値5 取得アイテム ホーンラビットの角・肉・皮>


<次回からもこのお知らせの音声を出しますか?N/Y>



経験値5

ホーンラビットの角

ホーンラビットの肉

ホーンラビットの皮


無機質な合成音が流れる。

取得した経験値と取得物が表示される。

正直五月蠅いのでNを押した。


ヒュッと刀を振り払い血糊を飛ばす。

返り血が付いたままにしておくと、切れ味などが落ちるのだ。

少しローブに返り血が付いたが、仕方がない。


無駄にリアルで困るな。

返り血とか再現しなくてもいいのに。


LVはいつ上がるのだろうか。

今日で最低でも5くらいにはなりたい。


適当にぶらぶら草原を歩いていたら、また索敵に反応。

その方向をみると緑色のジェルようなものが這いずっていた。


正直に言うと気持ち悪かった。


問答無用で刀を突き刺す。

するとジェルはあっさりガラスのように砕けて消えた。



経験値3

グリーンジェルの欠片

グリーンジェルの体液



どうやらグリーンジェルというようだ。

それにしてもここらの敵は最初とはいえ柔らかすぎないか?

偽装してステータスはしっかり下がっているはずだ。

なぜだろう。


そして少し考え、気が付く。


確かめるためにメニューを操作し、表示した。



刀『イヴクス』

攻撃力は使用者のLVと技能に依存。

シュオン専用武器


+STR35



ああ、やっぱり。

原因はすぐにわかった。


STKが高すぎる。

普通の初期装備はこうである。



初心者の刀

+STR3



これをみるとすぐにわかるだろう。

あきらかにオーバーキルになっている。

でもかえの刀はないし、強いに越したことはない。


この武器があればもう次のフィールドに行けそうだ。


私は草原の奥にある森へと足を進めた。











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