この命が
今回はほのぼのする話です。
ぜひ読んでくださいな♪
意識が戻ると、そこは人気のない教会の前だった。
おそらくしばらく人が訪れていないのだろう。
地面には雑草が伸び放題で、教会の壁にはツタが這っていた。
きっと気の早いディーにぃのことだから先に来てうろついているだろう。
適当に教会の周りを歩けば見つかるだろうか。
シャラン、シャララン
一歩歩けば、髪飾りと胸元の大きな鈴が綺麗な音色を響かせる。
教会の裏手に回るとそこに、いた。
「ん?」
その人物が振り返る。
紅い瞳と目線があった。
非の打ちどころがない整った容姿。
少し長めの漆黒の髪に血のような紅い眼、血が通っていないような白い肌。
漆黒のコートは裾が赤黒くなっており、右腕と左足には同じく赤黒い鎖が巻き付いている。
胸元で太陽の光を浴びるシルバーの十字架ネックレスは美しく輝いていた。
そして一番目を引くのは背中の悪魔の翼と、腕より太い鱗で覆われた漆黒の尾。
殴られたら痛そうだ。
「・・・」
「ディーにぃ?」
口開けてポカンとし、固まったディーにぃ。
チラっと異様に長い犬歯が見えた。
ぱたぱた
目の前で手を振っているとはっとして、慌てだす。
表情は変わっていないが。
「シュオン!?シュオンなのか!?」
「・・・それ以外にだれが居るの」
ちょっとむってなりながら返事を返す。
「ちょ、おまえ、上になんか羽織れよ!」
ん?
自分を見下ろす。
そういえば肩とかむき出しだったっけ。
そういえば最初にもらったローブはどこへいったのだろうか。
インベントリを探してみると隅っこに発見。
「・・・あった」
適当に操作して装備する。
「・・・・はぁ」
なんか溜息はかれた。
「俺もきるかな」
「・・・ん」
ていうかそれしかないだろう。
その姿はとても目立つだろうから。
漆黒のローブを着たディーにぃ。
「立ち話もなんだし、座るか」
胡坐かいて雑草の上に座ったディーにぃはちょいちょいっと手招きをした。
そして
ぽすっ
私は胡坐の真ん中に座った。
ここは私の定位置だ。
なんか落ち着くんだよね。
私の身長は152センチ
ディーにぃは175センチ
身長は去年止まった。
私は結構童顔なのでたまに小学生と間違えられたりする。
ちょっとコンプレックスだったりもする。
それに対しディーにぃは大人びているため大学生や大人に間違えられる。
そんなディーにぃの上に座っているのを傍からみると物凄く和むらしい(友人&兄弟がいってた)。
「なあ」
「・・・・ん?」
「耳とか触っていい?」
それが狙いだったのかアンタ。
まあ、別に拒む理由もないし。
「・・・・ん」
「おっしゃ」
待ってましたとばかりに目を輝かせるディーにぃ。
銀色の先が紅にそまる耳と尻尾にそっと触れた。
もふもふ
ちょっと触られるとくすぐったいというか変な感じがする。
「・・んッ・・・・・ふぁ・・」
というか力が抜ける。
ふにゃりとなった私にはお構いなしでもふり続けること約10分。
さすがにしびれを切らし、
「もうそろそろ、行かないと」
「ん?ああ、そうだな」
ちょっと名残惜しそうに手を放しながらディーにぃはつぶやいた。
私が立ち上がるとディーにぃも立ち上がって手を差し伸べてきた。
「行くか」
そういってほんの僅かにほほ笑んだディーにぃ。
とは言ってもよくよく見ないと気付けないが。
その差し伸べてきた手を握り返しながら私は頷く。
「・・・ん♪」
ああ、やっぱりこの手はこんなにも暖かい。
そんなことを思いながら。
その様子は日常の風景のようで。
でも、今の状況ではとても異常だということに、彼女たちは気づいているのだろうか。
運命の歯車は廻る、廻る、廻る。
くるくると。
いつ歪んだのかを知らないまま_________
吸血鬼と狐。
ほのぼのしてるのになんか食べられそうに見えるのはなんで?
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