さあ、はじめよう
八月三日。
今日は待ちに待った、Free・Skilljob・Onlineのサービス開始の日である。
「呪怨ねぇ、あと三分で開始だよ!」
「え、ホント!?急がなきゃ」
現在、月影家はばたばたしていた。
理由は簡単。
「寝坊したあああああ!」
「戒にぃうるさい!」
「んだと!?ライ!?」
「喧嘩しないで準備しなよ」
「「締都はや!?」」
と、言うことである。
そして、2分後。
「全員、準備できたか~?」
「うん」
「できたよ」
「・・・」
上から順に戒都、呪怨、來都、締都。
「おし、できたな。じゃあ行くぞ」
皆で息をあわせて
「「「「リンク、スタート!」」」」
全員の意識が、暗転した。
眼を開けると真っ白な空間があった。
どこまでも果てしなく真っ白な空間に綺麗な女性が現れる。
「ようこそ。今から初期設定を行います。分からないことがあれば質問してください」
感情のこもらない、無機質な声。
まあ、NPCだから仕方ないが。
目の前に、初期設定の画面が現れる。
タッチして入力するタイプだ。
初期設定の仕方は昨日ガイドブックで読んだため、すらすらと入力していく。
LV 1
名前 シュオン
職業 巫女
サブ 操術師
種族 ランダム
称号 なし
HP 100
MP 200(+5)
STR 10
AGI 13
DEF 10
INT 15
MDF 15
DEX 12
LCK 10
スキル
職業▼
退魔術LV1 刀術LV1 治癒LV1 憑依LV1 付与術LV1
サブ▼
魔力操作LV1 干渉LV1 魔力具現化 無魔法LV1 魔力回復LV1
種族▼
?
選択▼
飛行LV1 闇魔法LV1 氷魔法LV1 雷魔法LV1 裁縫LV1
索敵LV1 隠密LV1 魔力強化LV1 予測LV1 舞闘LV1
まあ、こんな感じだ。
種族はたくさんありすぎて決めれなかったからこうなった。
このゲームは自由度が売りなため、やたらとスキルや職業が多い。
中には地雷もあるので注意が必要だ。
私が選んだ職業は操術師と巫女だ。
操術師は魔力を自在に操り、纏ったりして戦う職業。
武器は特になし。
巫女はちょっと変わった職業で、自分に式などをを憑依させて戦う職業だ。
基本の武器は弓か刀。
どちらかランダムでスキルが手に入る。
ステータスはもとはすべて10で、現実で得意とするものに合計5の補正、
職業とサブの補正で+5づつ、10の補正がかかる。
MPの(+5)はスキルの魔力強化の補正だ。
設定を入力し終えたので決定を押す。
「この設定でよろしいですか?」
Y/N
当然Yを押す。
「次は容姿設定です。以降変更はできませんので注意してください」
そうNPCが言うと、目の前に自分を縮小して映し出した自分が現れる。
容姿を変えられるといっても、そこまで大幅に変えることはできない。
性別も身長もまた然りだ。
理由は、本来の自分とかけ離れていると精神的によくないからだとか。
私は髪を銀、目を赤にした。
理由は気分だ。
決定を押す。
「この設定でよろしいですか?」
Y/N
Yを押す。
「はい。初期設定は終了いたしました。また、初回特典として隠密UP効果のついたローブをさしあげます。装備しますか?」
Y/N
得点をくれるらしい。
親切な運営だな。
Yを押した。
「では、これより転移を開始します。ご武運を」
そうNPCが言うと、足元に複雑な模様が描かれた魔法陣が出現する。
それが白く強く輝き始め、意識も途切れる寸前、
「早死にしないで下さいよ」
NPCがまるで人のように感情のこもった声で笑顔で言った気がした。