byシュオン
体に巡る魔力を、指先に拳大ほどのサイズで集めるように意識する。
そうすると指先にキラキラとした半透明の魔力が集まる。
この魔力を魔力操作スキルを使って変形させる。
今回は0、1、2、3・・・と数字の形にした。
最初はゆっくりと、次第にスピードを上げていく。
最終的に、一秒間で1から5までを変えられるようになったら、次は両手でやる。
そしてまた同じスピードになったら準備運動完了だ。
結構集中力がいるから疲れる。
でも今からやるのはもっと集中力が欲しいだろう。
頑張らないと。
今のは魔力操作の練習だ。
次は魔力具現化の練習だ。
両手の指先に拳大の魔力の球体を生み出す。
そして、両方とも”硬化”の概念を込める。
この時、両方とも同じだけの強い概念を込める。
でないと、
拳大の魔力の球体を操作し、二つを全力でぶつける。
ギンッ・・・ピシッ・・パリン!
右側のほうだけ砕けて消えた。
こうなってしまうのだ。
魔力は概念の強さによって優劣が決まるので、差があるとこのように、弱い方が砕けて消えてしまったのだ。
弱い概念でも駄目だ。
そうすると、二つをぶつけてもまるでクッションのようにふにゃりと変形してしまう。
この動作を何度も繰り返し、両方が同時に砕けるようになったら成功だ。
これで基礎練習終了。
集中力が切れると、疲れが押し寄せてくる。
でも、べつに嫌なものではなく、むしろ心地いいものだ。
ついでにこの練習方法は、自分で昨日戦闘中に考えたものだ。
なんかこんな感じでマンガの主人公が練習していたよーな、的な感じで。
そして、今からやるのは、ちょっとした実験だ。
昨日の戦闘で粗方スキルの使い方がわかった。
そして、このスキル達は使いこなせばかなり強くなるのではと思った。
まあ、使いこなせなかったから地雷職となっているわけだが。
大量の魔力に概念さえ込めれば、如何様にもなる。
しかも、魔力操作で使った魔力は消滅させない限りリサイクルが可能だ。
つまり、常時展開していても問題ないのだ。
スキルの特性、魔力の特性様々なものを踏まえてシュオンは考えた。
それはもう、時間を忘れるほどに。
「あ、これなら」
そして数時間後、シュオンは一つの案をだした。
まず、魔力を練り拳大の厚さ一センチほどの六角形の板をつくる。
これに、概念を込める。
込めた概念は”思念行動”と”変質自在”。
意味は、自分の思いどうりに動くというものと、性質を自由に変えられるというもの。
そして、実験。
シュオンは満足げにほほ笑んだ。
「今日の予定、変更だね」
装備を変え、ローブを羽織る。
足取り軽く、シュオンは向かう。
『狼の森(虐殺の場)』へと。
シュオンが『蒼き草原』に踏み入れると周りにはチラホラとプレーヤーが目に入った。
どうやら、昨日の混乱から立ち直った者たちのようだ。
だいたい3~7人のパーティ-を組んでいるようだ。
ソロは圧倒的に少ない。
まあ、当たり前か。
目立つのは嫌だから戦闘は避けようか。
索敵で敵のいる位置を把握して隙間を縫うように駈けていく。
奥に行くとほぼプレーヤーの姿は見当たらなかった。
念のため、奥で試そう。
そう思いながらシュオンは薄暗い森の中に足を踏み入れた。
シュオンちゃん適応力高すぎねえか!?
相変わらずのチートっぷりですねぇ。
感想待ってます~。




