第七話「戦場と理想」
「トイフェル、一つ言っておく」
「わかってるわケルン、あの力は使わない」
「・・・わかってるなるいいや!」
あの力は使えない、使いたくない
私達は今市民会館に向かっている
あと数分で着くだろう
「そういえば、ゲヴェーア達は武器はもってるのかな」
「んー、持ってなくても奪ってそうだけど」
「トイフェルはあいつらに対してどんなイメージが」
「お騒がせゲスク野郎」
「なるほど、ま、劣勢にはならないだろう」
「そうね」
人の能力の限界を超えた者
それを私達は《異常能力者》と呼ぶ
異常能力者にも種類がある、これはまた今度でいいだろう
腕時計の短針が示すのは12時の方向
メーアのドライブテクニックで、快適に向かうのは
とても休める場所ではない
最後に女神の錬金術の大元
女神の手袋の錬成陣に傷がないかチェックする
「トイフェル、その手袋は予備はあるのかい」
「一応、欠陥品が二つぐらい、あっちは暴走しやすいから使わない」
「僕も指輪の手入れをしないと」
少しだけ落ち着いたのかフレンが目を覚ます
「ここは、どこだ?」
「フレン!僕だよ!わかる!?」
「うるせえ、どこかって聞いてんだ」
「フレン、大丈夫?少しは寝てたほうがいいと思うけど」
「トイフェルさん、その節はありがとうございます、今は落ち着いてます」
「フレン、ここは車の中だよ、僕達は今、市民会館に向かってる」
ケルンがフレンに説明している
するとちょうど話の区切りがいいとこで
「もうつきます」
メーアがそう言った
「いやー久しぶりに楽しみだね」
「何がだ、死にたくはないぞ」
「私の前で人は死なせない」
最後の交差点を右に曲がる
そうすると警察車両の山だった
関係者以外は入れない、つか入らせない
メーアが窓を開ける、警官がこっちに慌てた様子で走ってくる
そして警官は後ろにいる私とケルンを見て
「急いでください!中はもうメチャクチャです!」
と、言った
車を降りた私達は市民会館の入り口へ向かった
「メーアさん、ついてくるの?」
「リン様の命令はトイフェル様をミッドポイントに送ること、トイフェル様の命を守ることです」
「トイフェル、リンさんに会ってきたのかい」
「ちょっと用事があってね」
それにしても物音がしない、受付に着いたが
誰もいない、あるのは逃げ惑う人々が残していった
《残骸》だけだ
「ちょっくら、他のとこ見てくる」
「何かあったら叫ぶんだよ」
「おう」
そう言ってフレンは何処かへ行った
「あいつらどこにいんのよ」
「落ち着こうトイフェル、音が聞こえないってことは防音設備がある場所にいるってことじゃないのかな?」
「ケルン、つまり大ホールにあいつらはいるわけ?」
「可能性があるよ」
するとメーアが何かに気がついたのか
その方向に指をさした
私も気になってそっちを見た
そこには、人がいた
相手はこちらに気付く気配はない
「やあやあ、そこの君、何してるの?」
ケルンがそう切り出して話しかけた
すると顔を上げた、そしてその顔は驚いたような怖いのうな顔をしていた
「!!」
何やら手でジェスチャーをしている
「喋れないのかな」
「恐らく一時的なショックのせいだと思うわ」
するとメーアが、
「大きなホールで暴れてる奴がいる、だそうです」
「よくわかるね」
「なんとなくですけどあってますか?」
そうメーアが聞くと、彼は頷いた
「ここにいるのは危険です、入り口から出たほうがいいですよ」
私はそういった
しかし彼はまたジェスチャーをやっている
「大ホールに、忘れ物だそうです」
「なるほどねえ、だから収まるまで待ってたと」
こう会話をしていると、少しだけ周りを見てきたフレンが到着した
「ケルン何もなかったぜ、あれ?そこにいるのは
マイネンじゃねえか、ここで何してんだ?」
「フレンこの人を知ってるのか?」
「知ってるってかマイネンは、ミッドポイント情報科の人間だ、俺はよく情報科に呼び出されるからそん時に世話になってる」
「それにしても情報科の人が何故ここに?」
「トイフェル、それは喋れるようになってからで良いんじゃないか?」
「そうね、忘れ物ね、私達が取ってきてあげるから、どんなものかだけ教えて、早く逃げなさい」
すると、マイネンはわかったとジェスチャーをし
探しているものは写真だと言った
「さて、そろそろ本番と行きますか」
「メーアさんは、武器ないけど大丈夫なの?」
「大丈夫です」
ついについた大ホール前に
流石に中の音は少し聞こえる、安全を確認して
大ホール非常口の方から入った
私が見た光景は、まだ何も起きてない
普通の戦場だ、何か一つ文句をつけるなら
最悪だ、ちょうど非常口の前にいたのは
アートムケルン最強のマフィア
《エル・ドラード》幹部
ツァイト・オディウム
《lost alchemy》時の錬金術師だ