第六話「淡い炎」
「フレン!」
「ケ・・ルン」
かすかには意識がある
しかし、傷口を防がないことには、フレンの命に関わる
こんな時にトイフェルがいれば
医療系錬金術は、多少は習ったが無理だった
錬金術は、理解がないと使用できない
どうする、どうすればいい
ここからとりあえずでよう
フレン一人ぐらいならかつげる
「フレン、捕まっているんだよ」
俺は歩いた、入ってきた時より
遥か遠く感じる、その距離を
フレンを傷つけた、俺がいながら
フレンは俺の大切な部下だ
階段が見えた、光が見えた
俺は急いでポッケの中にあった、連絡用スマホを取り出した
そしてトイフェルに連絡を取った
「ん、ケルンからとは珍しいじゃない」
現在地と一つの文が届いた
「トイフェル、フレンを救ってくれ」
・・・!
「メーアさん、ちょっと寄り道していい?」
「何処へ行くか指定してください」
「ありがとう、14番荷物運搬地下通路前までいって」
「フレン、今トイフェルを呼んだ、もう直ぐ来るだろう」
「ケ・・ルン、ご・・め・・ん」
「俺も軽率だった、今はお前が助かる道を探すのが優先だ、少し休んでろ」
「あ・・・り・・・がと」
そして直ぐに、車のエンジン音が聞こえて来た
少し焦り気味の俺を照らす車のバンパーの反射日
そこから降りてきたのは少し頼りなさげな
女神だった
「ブリッツ、どうする」
「どうしましょう」
「私はもうみんなが戻ってると思ったが」
「私達が、一番乗りでしたね」
「お、ケルン隊のグループに連絡があるようだ」
「なになに?」
『らーめんうめぇ!』
「イラってきた、ブリッツ、なんか言い返してやれ」
「了解です!」
『蕎麦を食え』
「違う、全然全身全霊全く違う」
『やっぱり、うどん食え』
「ブリッツ、お前は一回携帯おけ」
「何が悪かったんですか」
「おつむだ」
「あいつら、どこで道草食ってるんだか、会議まであと少しなのに」
「アルタムさん、異常能力組は、今現在、こっちに向かってるそうです」
「そうか、直ぐ来るだろう」
何か様子がおかしい、この場の空気というか
ミッドポイントに入った時から感じている違和感はなんだ
よくわからないが、背中に蟻が歩いているようなムズムズとした違和感、嫌な予感がする
そして、私達を引き離すように、事件は唐突に起きた
「アルタムさん!連絡用スマホを見てください!」
「なんだ?」
焦った様子のブリッツを見るのは久しぶりだ
そして私はスマホに目を向けた
※緊急連絡※
市民会館及び、地下鉄ホープ線に爆破予告
犯人は現在不明
尚、市民会館において、エル・ドラードが暴動を起こしている模様
中から出てきた鋼鉄の錬金術師メルタ・グラニスの証言によると
中にはエル・ドラードの幹部が2人程確認できた
ケルン隊に次ぐ、市民会館に向い暴動の鎮圧を行え
「さて、何か大変なことになりそうだな」
「そうですね、位置情報的に異常能力組は市民会館に向かってます」
「少し気になることがある」
「私はどこでも付き合いますよ!」
「それでは向かうか、地下鉄へ」
「はい!」
心が安らぐと同時に、唐突に連絡が来た
しかし、トイフェルに感謝しなければ
「緊急事態が立て続けに起こるか」
「ケルン、どうする?」
「トイフェル、私達も市民会館へ向かおう」
「フレンはどうするの?」
「今フレンをミッドポイントに一人置いておくほうが危険な気がする」
「理由は後で聞くわ、メーアさんはどうします?」
「私は、トイフェル様を無事にミッドポイントに送るのがリン様のご命令です」
「迷惑かけてごめんね」
「はい」
トイフェル、フレン、メーアと一緒に動けるのは心強い
しかし、市民会館に向かうのはいいが、肝心のアルタムはどこにいるんだ、あいつの位置情報だけいつもわからない
「皆様車にお乗りください」
「はーい」
そして車の扉が閉まるのと同時に新たな連絡が来た
『こちらアルタトゥーム、今現在地下鉄の方に向かっている、少し気になることがあってな、ケルンとトイフェルは、市民会館に向かってくれ、後で落ち合い情報を交換しよう
合言葉は《馬の爪》だ』
「やっぱり、アルタムの言ってることは訳がわからないわ」
「トイフェル、君は気まぐれな天才だ」
「どういう意味よ」
「そのまんまだ」
「まあいいわ、行きましょう市民会館へ」