君の隣
今回もコメディ要素有です。
前回作品の「隣の君」読んでない人は先にそっち読んだ方がいいですヨ。
木曜日の一時間目、一週間29時間の中で君を近くに感じられるのはこの1時間だけ。
心臓が張り裂けそうだ。
あと…。少しで…。
やっと授業終了の鐘が鳴ってくれた。
教室を皆がわらわらと集団で出ていく中を、また私は赤い顔を隠す様にしてそそくさと出て行った。また君と話す勇気が無かったわけで。
遠くの方で私をあざ笑うように蝉の声が聞こえる。
私は教科書を顔に押し付けたまま、夏の到来を実感することしか出来なかった。
君とは一年の頃に出会った。隣に座っていた君の事をそんなに意識した事はなかった。でもある日。
「あ、あの…。」
「何?」
話しかけられたのがいきなり過ぎて、いつもより倍ぐらい冷たく返してしまった。その当時は君に特別な感情など持ち合わせていなかったが、どうにも人に嫌われるのが苦手だった。
返答した後で、嫌われてしまったらどうしよう。などと考えていると。
「あ、えぇと。い、いい天気ですね。ハハッ。」
とりあえず君はおかしい人なんだと確信した。何がいい天気だ。ここは室内だし、窓から見える空は思いっきり灰色で今にも泣きそうだ。
その後、君は自分でもおかしい事に気がついたのか、恥ずかしそうに席に座りなおす君はどこか愛おしく感じられて、その日から君の事が大好きになった。
しかし私には友達がいない。恋愛の話も出来ないのだ。つまり、自分で解決するしかないのだ。その事についての自問自答はもう飽きた。どうせ答えは一つしかないのだから。
おもむろに立ち上がり、君の前に立つ。
「ねぇ。」
あぁ、緊張するとぶっきらぼうになってしまう癖だけは直したいな。
すでに私の心臓はいつもの一定的なリズムを忘れてしまった。
「な、なに…?」
君は、お腹の空いた鯉のように口をパクパクさせている。やっぱり、君は変人だ。そして、そんな君を好きな私も変人だ。
「好きです。付き合ってください。」
いつか、君が私のものになってくれたらいいと思った。
君は目を合わせてくれていない。ダメかな?私じゃ。この一言言うだけに緊張して、声がでかくなって、みんなの視線を集めているようじゃダメ?
でも、好きなんだ。まわりの視線とか、どうでもよくなってしまうくらい好きなんだ。こういうのが迷惑ならもうしない。でもせめてもう少し君を好きでいてもいいかな?
「はい。」
君のその一言で私の視界は涙と嬉しさでいっぱいになった。
最後の彼のセリフはわかり辛いです。すみません。