奇数人数
4月。クラス替えの時期がやってきた。
「やったー!奈菜、一緒のクラス!」
奈菜は私の親友で一番信頼できる友達だった。
「このクラスめっちゃいい!」
「うんうん、なんかさ、ほわほわしてるよねー」
なんて話していた。
確かにキビキビした感じもなく、男女ともに仲がいいクラスだった。
私はそんなクラスになれてよかったと思ったんだ。
でもそんなクラスを嫌と思うようになったのはいつのことだろうか。
ある日、私と奈菜、そして花と移動教室に向かっている時だった。
「ねえねえ、奈菜」と花。
そう言った時思ったんだ。
奇数だと誰か一人取り残され、独りになってしまう、と。
私はそれに気付き、いつの間にか奈菜と花とは一緒に行動しなくなっていた。
でもそれに気付いたのは私だけじゃなかったんだ。
花も奈菜と一緒に行かなくなってしまったんだ。
そして奈菜は私のところへ来るようになった。独りでいたのは・・・花。
とても複雑だった。胸が締め付けられるくらいに苦しかった。
そう、奈菜が独りになる事は絶対になかったから・・・。
私と花は同じような人だったんだ。思い方が、一緒だったんだ。
そんな花に私や奈菜、そして周りの仲のいい人たちに協力して貰いサプライズをすることにした。
「花がいないと寂しいよ」「花、悩み事あるんだったら話してね!」
などのコメントを色紙みたいなものに書いて、私たちは花にわたしたんだ。
花は泣いた。大泣きしてくれた。
私もつられて泣きそうになって「泣かない泣かない」ってみんなに言い聞かせた。
その時、私たち3人の友情はもっと深まったと思った。
こんなにも友達想いな人たちがこんなにも身近にいたんだって思った。
それからはずっと3人で行動するようになった。
3人とも相手を気遣いながら、交互に話せるようにしたんだ。
今でもあの感動は忘れなれない。
本当に悩まされた、あの日の事。今になってはいい思い出だ。