新入生
『愛』なんて言葉が世の中には存在する。
それを痛感したのは中学生になってからだった。
小学校から進学し、私は中学生となった。
××中学に入り、他の小学校の人たちもこの中学校に入学した。
紺色に赤リボンのセーラー服。新しい横賭け鞄。短く切った髪。
すべてが新鮮で、すべて始めてばかりだった。
「莉奈!おはよう」「おはよー」
「あ、おはよう!」
体育館前に貼られていたクラス表を見ていると後ろから肩をポンと叩かれた。
そこに立っていたのは遠子と奈菜だった。
二人は小学生からの友達でまあまあの仲良しだった。
私たちはクラス表を見て、その三人の中、私だけクラスが離れてしまった。
この中学校にはクラスが二組しかない。A組とB組。私はA組だった。
「じゃあ、またねー」
なんて言ってそれぞれの教室に入っていった。
「あ、莉奈!一緒のクラス!」
そう話しかけてきたのは美香。この人も小学生との仲。
「よかったー!これからよろしく!」
なんて言っていつの間にか教室の中は生徒で溢れていた。
ほとんどが私と同じ小学校から進学してきていて、その中の8人くらいが他の小学校からきた人だった。
チャイムがなり、先生らしき男性が教室に入ってきた。
「では、体育館に行くからシューズを持って廊下に並んで」
そういうと彼は列の先頭に立った。
私たちは体育館用のシューズを持ち、廊下に並んだ。
そして入学式が始まった。なぜか緊張していて内容をよく覚えていない。
でも新入生挨拶の時、校長先生の前に立った人だけ覚えている。
みつあみヘアの小さな女の子。
その時は気にも留めていなかった。
クラスも違い、関わりあうことなどないと思ったからだ。
だけど、そんなある日、部活動を決めることになったんだ。