第五話 和也との出会い
1993年 6月梅雨
彩子は一人部屋でバイク雑誌を見ていた。そこでヤンキーの顔写真や文通コーナーに目が止まった。
一人の他県に住む美幸という同い年の女の子の友達になりませんか?とゆう募集欄だった。そこには電話番号が載ってあり、彩子は美幸に電話をした。
「もしもし」
と女の声で出た。
「あっあの〜小泉といいますが美幸さんいますか?」
と彩子が言うと、
「あたしだけど」
と電話口の女は言った。美幸だっ!そう思い彩子は
「雑誌見たんだけど」
と話しを切り出した。
美幸…
「あ〜。女からかかってきたの初めてだ」
彩子…
「そうなんだ。」
美幸…
「年、いくつ?」
と気軽に話しを二人は次の日曜日に会う約束をした。
そして日曜日になり少し化粧し大人びた格好で出掛けた。待ち合わせ場所につくとそこには美幸らしき子は居なく10分経った頃前から背は低いが少し大人びた美幸らしき子が歩いて来た。二人は目が合い、美幸が最初に
「だよね?」
と声をかけてきた。
「うん。美幸?」
と言うと美幸は頷いた。
そして二人は喫茶店に入りお茶をしながらお互いの話しをし夏休みに、美幸の家に泊まりに行く約束をした。
いよいよ美幸の家に泊まりに行く日が来た。少し大きめの鞄に服を詰め電車で2時間程かかる美幸の地元の駅についた。そこにはすでに自転車で向かえにきた美幸の姿があった。
その風景は彩子の住む街とは正反対のド田舎だった。見渡せば田んぼが広がるのどかな場所だった。
「遠かったでしょ」
そう美幸は彩子に言った。
「まぁまぁねっ。」
二人は自転車に乗り、美幸の家に向かった。美幸の家は一軒家で部屋は10畳ほどで広く綺麗に整頓されてある少し大人な部屋だった。
一日、二日と過ぎ二人は毎日、夜遅くまで遊んだ。三日目、二人は夜中1時頃に駅前に行き一台の原付バイクを盗み二人乗りでその辺を走った。田舎の夜は都会は違い車などほとんど走っていなく、二人はバイクで走っているだけでただ楽しかった。そこで美幸が、
「行きたいとこがあるんだけど行ってもいい?」
とある集合住宅の団地へ向かった。美幸は好きな人の車を見に行った。二人が帰ろうとすると後ろから五代のバイクが煽ってきた。暴走族だった。
暴走族に道を塞がれ一先ずバイクを止めた。
バイクに乗っていた男達もバイクを止め、近寄ってきた。そして今から遊ぶ事になった。男は全員で5人いた。
そして男の一人がシンナーを配りはじめた。もちろん彩子も美幸も吸う事になった。ある一人の男が彩子を見て一目で気に入った。彼の名前は和也。
そして美幸の事を気に入った男もいた。みんなで美幸の男の家に行き、浴びるほどシンナーを吸った。そして和也と彩子は付き合う事になった。それから彩子と美幸は家に帰ることなく、10日ほどその家に居続けた。毎日、シンナーを肌身離さずもちSEXをする日が続いた。
そんなある日、団地内で警察がうろつきはじめた。仲間の一人の男が警察の様子を見に行くと、
「捜索願いが出てるがこの二人を知らないか?」
と聞かれたらしいが知らないフリをし戻ってきた。
暫くすると警察の姿はなくなり、その夜みんなで暴走しに行く事になった。
暴走の途中、休憩をする事になりある神社に忍びこんだ。そこは壁一面に遺影のような物が飾ってあった。そこでもシンナーを吸いながら、彩子と和也はSEXをした。1993年7月30日の出来事だった。
そして次の日、彩子と美幸は一先ず美幸の家に帰る事にした。美幸の母親に二人で頭を下げ謝ると、美幸の母親は許してくれた。
そして美幸の母親は
「今日は晩御飯してないから、駅前で食べておいで」
とお金をくれた。ただし、そこには条件がありバイクには乗らずに自転車で行く事だった。だか彩子と美幸は守らずに隠しておいたバイクで御飯を食べに行く事にした。そして美幸の運転で彩子は後ろに跨がり、バイクを走らせた。
ガッシャーンッ!!
車に跳ねられ事故を起こしてしまった。
ふっと彩子が目を開けるとバイクから10m離れたとこに跳ね飛ばされたが無傷だった。走ってバイクのとこに行くと美幸に
「早く逃げよう!」
と彩子は美幸を揺さぶった。美幸は後頭部から血を流し
「ムリ…」
と気弱な声で言った。
彩子は電話BOXに行き救急車を呼び、美幸の男にも電話した。救急車に乗り、病院に着いた。美幸は頭が切れただけで対した事はなかった。待ち合い室に行くと、和也や美幸の男や他仲間達が10数人座っていた。
そこには彩子の親や、美幸の親もいた。彩子は和也と交わす言葉もなく親に連れて帰られた。この日を最後に和也と会う事はなかった。数日後、和也に電話をすると別れを切り出され、彩子と和也は別れる事になった。もちろん美幸ともこれが最後となった。夏休みはあっという間にわずか残り一週間となった。